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【基礎編】これだけはやっておきたい!コロナ第2波に備える学校ICT活用(GIGAでも使えます)

こんにちは。eboard代表の中村です。6月に入り、全国のほぼ全ての学校で休校が再開しました。まだまだ分散登校の地域もあれば、すでに地方では、一斉登校で通常通りの学校運営が始まっている地域もありますね。そんな中、東京都の感染者数は3日連続で20人を超えており、分散登校の長期化や再度の休校などもありえるのでは、、、と考えています。

そこで!「コロナ第2波に備えて、これだけはやっておきたいICT活用」を考えてみました。「普段からやっておいて絶対に損がない内容」になっており、何か真新しいことをするわけでもないので、第二波が来なくても、やる価値が十分にあります。自分が校長だったら、これを先生方にお願いします。教育委員会にいたら、自治体内の全校がこれができるように支援します。

思ったより長くなってしまったので2つに分けて、まずは「初級編」。学校に限らず、塾などでも十分に参考にしてもらえる内容です。

ステップ1 ICT環境の調査

今更感ありますが、まずは学校の全児童・生徒について、ICT・インターネット環境について調査をしましょう。教育委員会から調査を行うようにお達しが出ている自治体も多く、すでに取組済みの学校も多いかと思います。調査すべき項目については、「ICT環境 家庭 調査」などで検索すると、すでに実施されている学校のPDFファイルなどが大量に出てくるので、参考にしてみてください。

以下のような項目が網羅されていれば、いいのではないでしょうか。
・インターネットに接続できるパソコン、タブレット、スマートフォンなどの端末の有無(購入予定を聞いても良いと思います)
・休校時、上記端末を児童・生徒が日中自由に使えるか(親が仕事に使っている、兄弟がいて台数が足りないなどで「あっても使えない」こともあります)
・インターネット回線と料金(定額制か、従量課金=いっぱい使うと料金が増えるか)

ただ、保護者からは「ICTの調査があったけど、結局その後何もなかった」「何のための調査だったかわからない」という声もよく聞きます。学校としては「もし全員に環境があれば…」という何となくの期待で聞いていたり、「やはり全員の環境は揃ってないから、紙でやるしかない」などの結論に落ち着いていることが多いです(その結果は、特にお知らせされない)。

◯ 調査を踏まえて、できること
そこで、なかなか大変かと思いますが、以下いくつかの提案です。この辺りは、教育委員会の方で整備頂けるとありがたい。やってる自治体、学校もあります。
① 通信費の補助(生活保護世帯)
先月厚労省からの通知があり、生活保護世帯については、ICTを活用した教育での通信代について、追加でかかった実費分が保護費として支給されるようになりました。実務的なところがどうなっているかが私も把握しきれていないところがあるのですが、スクールソーシャルワーカーと連携して、「ICT環境が家庭にない生活保護受給世帯」については、普段から対応のフローを決めておくと良いのではと思います。

② 端末の貸し出し
1人1台ではなくとも「数十台のタブレットがある学校」は、実はかなりの割合で存在します。ネットワークの制限や教育委員会の許可が必要だったりと、扱いが難しいケースが多いですが、学校端末を貸し出すのもありだと思います。普段から、家庭への貸し出し発生などを考慮して、教育委員会でLTE端末を予備として保管してたりすると、非常時に役立つのではないでしょうか。環境整備が進んでいる自治体では、故障時の貸し出し用に予備を保管しているケースも多いです。

ステップ2 チャットツールを用意(NGの場合は…)

授業支援システム、ドリル教材、映像授業など、ICT教材・ツールは多々あります。休校時には、Zoomスカイプなどのオンライン会議システムが話題になりました。が、まず最初に入れるべきは、主にテキスト(文字)による「チャットツール」ですお知らせを送ったり、ファイルを共有したりなど、休校時には欠かせないツールになります(普段から欠かせないものであるべきだけども)。

どんなツールがあるかは、以前書いた記事を参照してみてください。漏れているところとしては、 Microsoft Teams でしょうか。ただ、Teamsの導入についてのページを見る限り、「公立学校が自分の学校だけですぐに導入」というのは難しいのかも(ちがってたらご指摘ください)。Google ClassroomEdmodoなどは、個人のメールアドレスでも試せます。

どれでもいいと言えばどれでもいいのですが、以下の機能は欲しいところ。理由は後述します。
・先生ー先生間、先生ー生徒間でのファイル共有の機能があること。ファイルをフォルダ管理することができること。
・ファイルごとにURLがあり、その共有ができること。

このチャットがわりに、スクールタクトロイロノート などの授業支援システムを利用するケースも見かけるのですが、個人的には「ちゃうな」と思います。課題やスライドを送るなど、授業や学習に関するものは、授業支援システムでいいと思うのですが、「連絡」は別のものを、その用途にあったものを使うべきです。雑な言い方をすると、ワードやパワーポイントに連絡事項を貼り付けて、送ってるような感じ。そりゃちゃうな、と。

(利用NGの場合)
「いじめの温床になる」「使えない子がいる」「個人情報が…」など何らかの理由でNGになった時は、学校ホームページを使いましょう。休校時に、学校からのお知らせとして、日々の連絡事項をあげてしまえばいいです。「毎日更新するから、学校ホームページを見ておいてや」と。休校期間中に学年ごとで「今日学習してほしいeboardの単元」を毎日更新してもらっていた学校などもありました。

ステップ3 毎日のファイルを共有しよう

これで、いざという時の準備は整いました。しかし「チャットで何を送ればいいのか分からない」という先生も多いのではないでしょうか。初めて好きな子にメアドを教えてもらった気分でしょうか。昨今はメアドって言いませんね。今の子は、そんなドキドキもないのでしょうか。

話がそれましたが、そんな先生はまずは以下をやってみましょう。ちょっと手間ですが(慣れると余裕)先生にとっても、めちゃくちゃ役立ちます
ファイル共有機能を使って、配布物(お手紙)と、授業内で利用する自作のプリント教材を、全てアップロードしましょう。たくさんあって時間がかかる場合は、とりあえず1学期分とかでもいいです。できるものからでもOK。できればフォルダを作って、ファイルを整理してください。
チャット機能を使って、その日の授業で使ったプリント教材のURLや教科書・ワークのページ・問題番号を共有しましょう。そして、授業の終わりに「チャットに今日の授業のページとプリント、アップしといたで」と毎回言いましょう。こんな感じでしょうか。

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※ 大人の事情で、まなびポケットでの投稿をキャプチャしております。

これの「めちゃくちゃ役立つところ」は、以下の通りです。
◯ 休校時の対応として
休校になったらとりあえず「今まで通り、授業やってるペースでページとプリントあげてくから、教科書読んで、ワーク自分で進められる子は進めてや」でOKです。普段からこの流れができていると、子ども達も自然にできるようになっていきます。これが、休校時の学習保障の「軸」になります。ペースをつくるのが大事。もちろんこれだけでできる子は、かなり少ないので、これを軸に「解説動画もアップしといたで」「わからんところあったら、チャットで聞いてや」「教科書とワークの問題できたら、写メ撮ってチャットにあげてや」など、付け足していけばいいです。

◯ 普段からの学習の補助として
・授業でどこをやったか / やるかが、すぐにわかるので、予習・復習がしやすい。
・定期テスト前など「先生、すみませぬ。方程式の授業のプリントなくしました」が減る。子ども達もさかのぼりやすい。
不登校の子、欠席してしまった授業分も学習できる。少なくともペースは把握できる。
・休校での在宅勤務時や急にプリントがほしい場合、先生も自宅からプリントを利用できる(これぞ、リモートワーク)。
・(ちゃんと整理しておくと)他の先生とも、すぐに共有できる。「あー去年の運動会の案内プリント、どうしたっけ」がすぐに見つかる。
などなど

ちなみに、何でプリントの共有をURLにするかですが、共有がしやすくなるからです。ちょっと難しいかもしれませんが、ファイルの公開範囲を一般公開(URLを知っている人であれば、誰でも見れる)にして、そのURLを学校ホームページに貼るなども、できるからです。プリントにQRコードにして、載っけたり。使い道が広がります。難しければファイルをそのまま都度共有でもOK。

(チャットツールがNGだった場合)
「許可されなかったうちの学校は、ダメだ」と卑屈にならずに、取り組みましょう。たとえば、学校でGoogleアカウントを1つ取ってしまえば、ファイルをアップロードすることは可能です。そこにファイルをアップして URLを学校ホームページに貼れば、同じような運用ができるのではと、思います。お手紙にURLやQRコードを記載してもいいです。できることからやってみましょう。


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