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【応用編】これだけはやっておきたい!コロナ第2波に備える学校ICT活用(GIGAでも使えます)

基礎に続いて、応用編です。前回の「基礎編」に、少し情報を足していくだけで、分散登校や休校中の対応だけでなく、学習の個別化、反転授業からからブレンディッドラーニングまで、その足掛かりがつくれます。

ステップ4 授業を分解しよう

再度休校になった際の学習を充実させたい、普段からのICT活用をもうちょっと頑張ってみようという方は、まずは「(普段の)授業を分解」してみることをオススメします。オンライン授業や普段のICT活用を考える際に、とても役立つはずです。

どういうことかというと、先生に馴染みのある「指導案」の流れでいうと「導入からまとめで、それぞれ何をしているか」を書き出していく感じ。下の「活動例」の内容を、自分の授業に合わせて具体的に書き出していきます。

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ステップ5 ICTの使いどころを探そう

分解ができたら「各要素のどこでICTが使えるか」を考えていきます。ただし、条件として「休校になった場合に、家庭でも利用できるものであること」を加えさせてください。ICT活用となると「電子黒板」や「(教師用)デジタル教科書」など一斉提示のためのツールが利用されることが多いですが、これらは休校中の利用は難しいです。

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① 導入
順番に見ていきましょう。まずは「①導入」ですが、ステップ2・3のチャットツールをうまく使えます。授業支援ソフトもありでしょう。反映させると、こんな感じでしょうか。

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「学習のめあて(本時の目標)」、授業前に共有したい派 / したくない派 に別れそうですが、共有できる授業だけでも共有してみましょう。前回の授業は、板書をスマホで撮って写真でアップするだけでもいいと思います。

「これじゃ、めあての確認になってないよ」と思われるかもですが、これをやっておくだけで、休校時の自宅学習やオンライン授業がやりやすくなるはずです。

② 展開
ここでは、教科や単元によって、映像授業やデジタルドリルが利用できます。学校ではYouTubeが見れない環境が多いですが、休校時に家からなら、見れることほとんど。これもURLで共有することになるので、チャットに合わせて貼りましょう。ドリル教材が学校で導入されている場合は、該当箇所(単元やURL)を記載してあげればOK。こんな感じですね。

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ここまでくると(多くはありませんが)自分で進められる子は、どんどん進められそう。もちろん休校中だけでなく、少しずつ、普段からここまでできるようにしていきましょう。不登校の子、1回の授業ではわからなかった子など、これで救われる子もきっといるはずです

③ まとめ
(②展開の)協働的な学習や、その後のふりかえりについても、チャットのコメント欄を使ってしまえばいいと思います。ただし、ここはそれに特化した授業支援ソフトも使ってみたいところ。自治体や学校で導入している必要はありますが、ロイロノートスクールタクト がよく使われています。使い方次第でいろんな場面で利用ができますが、ツールの性質から考えると「共有する場面」「ふりかえる場面」が適した活用のポイントではないかと思います。

休校時には、先の画像のような投稿を毎日学年やクラスのチャットに投げてあげるだけで十分だと思います。もちろんやらない子も大勢いますが、Zoomなどの「オンライン授業(リアルタイムで双方向性のあるもの)」で普段の授業をそのままやるよりは、いいのではと思います。教室で先生の話を聞くのが難しい子が、家でのオンライン授業で話が聞けるかというと、、、さらに難しいはずです。「オンライン授業」は、そうした子も学びに参加できるよう、意欲のサポートや質問の時間、交流の時間などにあてた方がいいでしょう。

反転授業、ブレンディッドラーニング

「コロナ第2波に備える学校ICT活用」、ステップとしてはここまでなんですが、以下の投稿のような「情報」を子ども達に渡してあげることで、近年ICT界隈でよく耳にする概念や手法は、実現できたりします

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反転授業 … あらかじめ、チャットに投稿した映像授業を見てから、授業にのぞむ形にすると、いわゆる「反転授業」になります。より多く演習や発展的な学習に、授業内の時間を割けるようになりますよね。

ブレンディッドラーニング:反転学習の話になると「事前に映像を見てこない問題」がありますが、なら授業内で見てしまってもいいです。そうすると、授業内では、映像を見てから学習する子、問題にどんどん取り組む子(デジタルドリルでも教科書でもいい)、映像でわからなかったところを先生に質問する子・教え合う子など、アナログ/デジタルだけでなく、様々な学習のスタイルが混ざり合うことになります。

『学び合い』を実践する場合にも、このような「情報」を学習者に渡すことが、学習を促進させる要素になるのでは無いでしょうか。すでに1人1台の学校で、まさにそのような形の学びを実現している先生も出始めています。

学習の「個別化」と学習者中心主義

反転授業やブレンディッドラーニングは、手法の色が強いですが、このような授業スタイルで起こっているのは、つまるところ、学習の「個別化」です

今までは、先生に教えてもらうペースで、教科書のペースで、学習を進めていた。それが「情報」が与えられることで、自分のペースで、自分のやり方で進められるようになります。学習者に「権限」が移る。私が思う「学習者中心主義」というのは、このことです。自分の学びの舵取りは、自分でやっていく。だから必然的に「個別化」します。

逆に「情報」の量を減らして、教師の「権限」が増えると、「一斉化」して「教師中心」になります。学習のゴールも提示されず、テキストも与えられず、とりあえず先生の指示に従うしかない。「ここから先は、まだ勉強しちゃいかん!」は、権限行使の典型です。

学習の「個別化(個別最適化)」となると、手法やツールにばかり目が行きがちですが、本質的には、教師から学習者である子ども達に「情報」と「権限」を渡すことで成立します。AIドリルや映像授業を使っても、「はい、この単元をみんなでドリルで復習しましょう」「ここから先は、まだやってはダメです」となると、その効果も発揮できません。

「情報」や「権限」を渡すのは(特に心理的に)難しいし、子ども達の学力や意欲、発達段階に応じて、足場をかけてやっていく必要があります。休校対応やGIGAスクールでの端末整備をきっかけに、それが少しでも進んでいくと、学びのあり方が変わっていくのではないでしょうか。

※ なぜ「学習の個別化」や「学習者中心主義」がいいのか/そうすべきなのかは、またどこかで書こうと思います。



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