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肥大型心筋症の治療転帰・メモ

肥大型心筋症と薬、手術、運動の効果について書いています。メモなのであまりまとまっていません。
絵はAIが描いてくれた「肥大型心筋症の解剖学的素描」です。
これ↓が元ネタです

PubMed、Web of Science、Cochrane の検索を通して得られた 1,383 件の研究からさらに特定された 41 件の研究の系統的レビューとメタ分析が実施された。
治療法として、薬理学的、侵襲的カテーテル治療、および運動療法が挙げられ、それぞれの効果をVO2maxで評価した。

1.薬剤

全ての薬剤を含んだ、356人のメタ解析の結果、薬物治療における効果として、VO2max で示される機能的能力に影響を与えなかった。
VO2max 1.11 mL/kg/min、95% CI: -0.04~2.25、P  < 0.05
個々の薬剤でも評価しており、抗狭心症薬(90人)、抗不整脈薬(10人)、ARA(67人)、ベータ阻害薬(78人)、カルシウム拮抗薬(64人)、利尿剤(26人)、トリフォスファターゼ阻害薬(21人)について調べており、カルシウム拮抗薬のみ、VO2maxの増加が見られた(3.01、95% CI: 0.94~5.08、I2=0% )
安静時の圧格差について、マヴァカンテン mavacamten は左室流出路狭窄の圧格差の低下に寄与していた。ただしこれは単一研究の結果である。
ピーク圧格差について、薬物治療群全体で低下が認められた。とくにβ遮断薬は明確な低下が見られた。マヴァカンテンの全体の影響は有意ではなかったが・・・。
LVEFについては、薬剤の種類にかかわらず全体で2.5%の低下を認めた。
NYHA分類による症状の変化では、有効であり、薬剤間での違いあった。ARB, CCB, マヴァカンテンでは有意な低下がみられたが、ベータ遮断薬や利尿薬では影響がなかった。

2.侵襲的治療

912人を含んだ解析で、侵襲的な治療(心筋切除術、ペースメーカー、カテーテル中隔縮小術)は VO2max を増加させることが分かった。
VO2max +3.2 mL/kg/min、95% CI: 1.78~4.60、P  < 0.05
心筋切除術、ペースメーカー、カテーテル中隔縮小術、すべてがVO2maxを上昇させることが分かったが、とくに大きな効果を示したのが、カテーテル中隔縮小術だった。
安静時の圧格差について、マヴァカンテンとならんで左室流出路狭窄の圧格差の低下に貢献したのが、侵襲的治療であった。心筋切除術、ペースメーカー、カテーテル中隔縮小術の間での効果の違いはなかった。
ピークLVOT -92.9mmHgの低下を認めた。特にカテーテル中隔縮小術とペーシングとでは前者が効果的であった。心筋切除術についてはデータなし。
LVEFについては、侵襲的治療全体でも4.7%ほど低下した。術式による差があり、ペースメーカーが一番低下した。とくにカテーテル中隔縮小術との差が大きかった。
侵襲的治療はやはり効果的で、3つとも症状を改善した。改善の度合いは3つの手法で違いがある。ペーシングより、心筋切除術、カテーテル中隔縮小術のほうが症状改善に寄与した。これら2つは同じ程度の影響であった。

3.運動療法

109人を含む解析で、構造化された身体運動プログラムについて、禁忌は報告されておらず、機能的能力の最高の増加が証明された。
VO2max  +4.33 mL/kg/min、95% CI: 0.20~8.45、P < 0.05
この運動療法が薬物治療、侵襲的治療に比べ最もVO2max増加に寄与するものであった。
安静時の圧格差について、運動療法と左室流出路狭窄の圧格差の低下との関係が示されることはなかった。
ピークLVOTは運動によって、非常に小さな、しかし有意な低下を認めた。
LVEFについては運動療法は有害な影響を及ぼしていない。
身体運動もやはりNYHAスコアを下げている。3つの治療戦略で有意な違いはあった。侵襲的治療が最も大きな程度で改善している。


安静時に左心室流出路(LVOT)閉塞のある患者は、安静時にLVOT閉塞がない患者と比較して、VO2maxが大幅に改善しました(2.82 mL/kg/min; 95% CI: 1.97, 3.67 vs. 1.18; 95% CI: 0.62 、1.74、P  < 0.05)。ピーク LVOT 勾配は 3 つの治療オプションで減少し、侵襲的治療で最も高い減少が観察されました。左心室駆出率は、薬理学的および侵襲的処置において減少した。運動後には効果は観察されなかった。症状の状態は 3 つのオプションで改善され、侵襲的処置ではさらに大幅に改善された。

結論
侵襲的中隔縮小療法は、VO2max を増加させ、症状状態を改善し、安静時および最大 LVOT 勾配を低下させるため、閉塞性患者に検討される価値がある。身体運動は補助療法として登場し、安全で機能的能力の向上につながります。薬理学的薬剤は報告されているNYHAクラスを改善するものの、機能的能力の改善には寄与しない。


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