見出し画像

コロナ総括⓬コロナ撃退に成功した中国・韓国に真似るべき点はあるのか?

 コロナ対策で成功を収めた国として、日本のほかに韓国と中国を挙げることに異論をはさむ人は少ないだろう。 感染拡大初期、早々にアウトブレークを経験した両国だが、そこからの立ち直りは早かった。
 両国の勝因について、見ていくことにしよう。そこにはやはり感染症克服のファクターとして、「国の形」の違いが見え隠れするが・・・。


外出禁止を8週間徹底すれば
感染は自ずとおのずと収まる


 COVID19の感染を鎮しずめるのは意外に簡単なことだ。
 徹底的に市民の外出を禁止して、その状態を2か月カ月保てば、感染はほぼ消えてなくなる。そのメカニズムはこんな感じで説明できるだろう。
 まず、自宅待機を2週間続ければ、その時点で保菌者の多くは発病する。
 発病者は入院し、その家族は要観察対象として隔離する。これで、顕在的な感染者とその接触者が、他者に伝染させることはなくなってしまう。
 ただ、この病気が厄介なのは、無症状感染者が多数おり、しかも彼らも他者に病原体を伝染うつすことだ。この対策としてもやはり、自宅待機が有効だ。
 無症状者はおおよそ4週間ほどで体内から病原体が消失する。
 その間、外出しなければ、他者に伝染させるうつすことはなくなる。
 ただそれでも、同居している家族には感染はが広がる可能性はあろう。
 その場合、罹患した家族は発病すれば、前期の「顕在患者」が辿るたどるコースで、本人は入院、家族は要観察対象として隔離することで、やはり感染は広まらない。もしくは家族感染者がまた無症状であった場合も、4週間待機していれば病原体は消失する。
 仮に、5人家族で1週間に一1人ずつリレー方式で無症状感染が連鎖した場合でも、最後の罹患は4週間後となり、さらにそこから4週間すると病原体は消失する。その間誰かに有症者が出れば、そこで家族も隔離か経過観察となるので、やはり、市中感染者はいなくなる。
 つまり、8週間で家族全体が完治したことになる。
 少子化が進む中国の場合、3世代家族でも5人という世帯が多いから、8週間=2か月後カ月後には社会的に感染が収まることになる。
 この方式を徹底的に行い、想定通り2か月カ月余りでCOVID19に打ち勝ったのが中国だ。

故意にウイルスをばらまいた場合、最高刑は死刑


移動制限(住民の外出制限、公共交通機関の運行停止、区域外からの入境者に対するPCR検査の実施と一時隔離)、工場の操業制限、オフィス従業員の出社制限、居住施設入口入り口での検温実施(発熱者は病院へ直行)、学校の休校、集会の禁止、映画館やスポーツジムなどの営業禁止、飲食店の入場制限などなど。
 これらの措置は地方政府からの通知という形で取られた。当初、個々の通知には罰則は明示されていなかったが、その後、感染者が増えだすと各地方政府は、既存の法律を活用した厳罰化を打ち出す。
 たとえば黒竜江省は、2月4日同省内の感染者が150名を超えた時点で、以下の量刑を通知している。

・故意に新型コロナウイルスを拡散した者は「危険な方法で公共安全に危害を加えた罪(刑法114条、第115条11項)」が適用され、最高刑は死刑。
・検疫や強制隔離を拒否しウイルスをばらまいた場合は、「過失によって危険な方法で公共の安全に危害を加えた罪(警報刑法115条第2項)」に該当し、最高で懲役7年。
・新型肺炎絡みで勝手に検問を行ったり、交通を遮断するしたりする行為は刑法117条、119条の「交通施設破壊罪」「交通器具破壊罪」に抵触し、最高刑は死刑。
・新型肺炎のデマを流す行為が、国家の分裂や転覆を図る謀る「国家分裂扇動罪」「国家・政権転覆扇動罪」で最高で懲役15年(参考;BUSINESS INSIDER、2月5日)。

 中国の最高人民法院(最高裁)や最高人民検察院(最高検)、公安省などは2月6日、の厳罰化を認める通知を出している。それによると、感染者が隔離を拒否し、公共交通機関などを使用した場合は、「公共安全危害罪」が適用できるということだ。
 この場合、最高刑は死刑となる。
 2月11日にはさっそく、安徽省臨汾市合肥市で、武漢滞在居住歴を隠した夫婦が同容疑で逮捕。山西省霍州市の人民法院は2月21日、集会禁止の規定を破って、住宅街の地下室に集まって賭け事をしていた被告たちに、懲役11か月カ月の判決を言い渡している。

密告奨励金!ドローンでの監視!


 また、「感染者狩り」ともいえる通報に対しても、報奨金を払って奨励している。武漢市武昌区新型コロナウイルス肺炎予防抑制指揮部は3月10日、同区内にいる未収容・未隔離の感染者やその濃厚接触者などの情報を募り、一番早く通報を行った者に対し200元(約3100円)の奨励金を支給すると発表した。
 街中には40倍ズームカメラを搭載した無人ドローンがパトロールし、指揮官が拡声器で取締り取り締まりを行うのは日常茶飯事、感熱カメラ付きドローンによる発熱者の取締り取り締まりや、消毒剤散布用のMMCドローンなど、ハイテクを駆使して、空からも違反者をあぶりだし続けた。
 どうだろう。第1章で見た欧州の「緩さ」とは全まったく違う徹底ぶりだろう。
 国家の形が異なるので、日本もここまでのことは、到底できはしない。
 だが、コロナ対策は基本的に「徹底的に外出禁止を貫く」だけのことだ。中国は都市封鎖後6週間で1日の新規感染者を全土で20名人にまで激減させている。COVID19の発生地で被害の最大の被害を出した武漢でさえ、封鎖10週間で都市機能が再開した。

画像1

警官が金づちで雀卓破壊…新型肺炎、中国各地で強硬措置 朝日新聞 2月6日

画像2


大型散布車で所かまわず大量の消毒薬を散布

画像3

上空のドローンから市民に注意を呼びかける(頭条新聞のweibo公式アカウントより)
滝沢頼子 | 中国ITジャーナリスト、UXデザイナー/コンサルタント3/13(金) 

PCRとトリアージが韓国の勝因とは言えない


 お隣、韓国のCOVID19対策は、一見、中国とは真正反対のようにも見えた。
 何なにしろ、大々的な都市封鎖は行わず、個人も事業者も外出禁止や営業停止ではなく、個人も事業者もあくまで「自粛」を基本に対策を行っていたからだ。
 この点は、日本と相通じるところがある。
 こうしたことから、日本のマスコミは「K(Koreaの意味)防疫の成功」と称えたたえ、その真髄神髄は、ドライブスルー検体検査に代表されるようなPCR検査の適用拡大と、生活治療センターと呼ばれる軽症者隔離施設にスポットを当てた。確かにたしかに、この2つは優れた措置ではある。だが、ドイツやアメリカ、イタリアなどではPCR検査の適用拡大を韓国以上に進めたが、結局、感染拡大は止まらなかった。生活治療センター的な施設を作り、トリアージ(重軽症の振り分け)を徹底している国も多いが、同様である。
 韓国の真の勝因は何かを探っていくと、そこに浮かび上がるのは、中国と同工異曲-結局、「強権」的対応にたどり辿り着く。

ナイトクラブの感染爆発。7日で3万5000人を追跡調査


 4月19日に新規感染者が20名を下回った韓国は、約2週間後の5月6日にCOVID19感染収束宣言をし、自粛を解除する。ところが皮肉なもので、その翌日の5月7日、ソウル市梨泰院にあるナイトクラブで、新たな感染爆発が起こる発覚する。
 この感染第二波に対して、政府の動きは速かった。
 発覚1週間後の5月14日にはなんと、濃厚接触者や接触が疑わしい人3万5000名に検体検査を行い、131名のが陽性者であることを明らかにしている。
 さすがのPCRキャパシティキャパシティーと納得しないでほしい。
 なぜ、これほどまで大量の接触者らを把握できたのか。
 驚くべきはそこだ。

感染者は10分で個人情報丸裸
1分ごとの辿ったたどった道のりまで


 現在の韓国では、COVID19に感染した人が出た場合、その人の行動履歴は漏れなく詳細まで把握されてしまう。
 ご当人の持っているクレジットカードや携帯の位置情報、電子決済の履歴、そして、撮影で得た本人写真の画像解析データと監視カメラ映像データとの照合・・・。
 こうした作業により、本人が思い出せないような、ちょっとした立ち寄り場所までも、何時何分に訪れたのか、さらには監視カメラデータがある場所では、マスクの着脱履歴まで明らかになるのだ。それも、当初はこうした移動経路の分析に丸一日かかっていたものが、4月には10分程度で終わるようになったという。
 驚くのはここからだ。
 こうして分わかった移動データは、保健福祉省や移動経路上にある自治体のホームページに開示されるのだ。さすがに、個人名称だけは伏せられているが、感染患者の1時間ごと、時には1分ごとの移動経路を表示する――どのバスに乗ったか、いつどこで乗り降りしたか、さらには患者の年齢、職業やあらかたの住所のほか、利用したコンビニ、移動につかった乗り物、よく訪れるレストラン、家族での会食、マッサージを受けるための外出まで、個人的な詳細も記されている。


公開情報から個人特定
SNSに晒される晒(さら)される人多数

ここから先は

3,263字
この記事のみ ¥ 100

サポートどうもありがとうございます。今後も頑張ります。