「おぼろげな46%」問題の真相。小川アナのゲスさと、けっこうやるじゃん進次郎。

徹ちゃん「大嫌い」と公言してた進次郎と一騎打ち

「おぼろげにシルエットが見えてきた46%」発言でまた炎上している小泉進次郎が、4月25日のアベマTV橋下Barに登場!
こりゃメッタ斬りにされて終わりかと思ったら、論戦は最終的に進次郎やや巻き返しと私には見えました。

46%発言については最後に置いておくとして。
まず橋下さんの進次郎批判(橋下さん進次郎を「大嫌い」と以前からずっと公言してましたが)は以下が主なポイント。

①脱炭素には原子力は不可欠ではないか。
②脱炭素シフトで石炭など化石燃料技術が廃れると、そこに中国が入り込んで結局日本は損をする。
③ガソリン自動車技術で世界トップの日本がEVに舵を切ることの経済的損失。
④福島処理水問題では、早々に放出を明言し、福島にお詫びすべきだった。

原発廃止論では進次郎の宗旨変え批判で橋下さんがやや有利

①については、進次郎の言い分は以下の通り。
・晴れたり曇ったりして不安定な自然エネルギー、そして日照りが続いた夏の過剰発電問題、こうした不安定さが、産業基盤を揺らがせるため、結局、安定的なベースロード電源が必要というのが旧来の話。このベースロードで火力に頼ればCO2が排出されるから、やはり原子力が重要となるというのが、橋下さんの論議だと思う。
・ただし、昨今では過剰発電時の余剰電力によって、水素を生成しそれを貯めるという技術が相当レベルでうまくいくようになっている。だからこの点も考慮すると、そろそろベースロード電源論が不要になって来た。
・問題は自然エネルギー活用でもものによって、すぐできるものと、そうでないものがある。地熱などは開発に10年近くかかる。こうしたものは2030年までには相当厳しい。一方太陽光などは比較的早くそして急激に安くなっている。こうしたミクスの中で、どうしても足りない時に、原子力の話は最後に出すべきだ。
■対して橋下さんの反論は、
「原子力ゼロと言っていた進次郎さんが、今は、最後は原子力もありという。その点は政治家としての方針変更のはずだ」。
→進次郎の知見もかなりなものだったが、政治家の方針変更という意味では橋下さんが勝ちと見た。

「脱炭素で化石ビジネスは中国独占」とはならず

続いて②の脱炭素運動の中で、炭素系の技術で中国がはびこる(これ、橋下さんだけでなくサンケイの論調)。橋下「進次郎さんは中国は大国としての行動を期待している、といってるが、甘い」と。
■進次郎の反論
・まず、大国としての行動、というのは、中国は二枚舌で都合が悪くなると「まだ国民一人当たりのGDPは途上国並み」という詭弁で国際貢献を逃げる。そこに釘を刺したまでのこと。
・中国と日本の化石燃料活用技術を見ると、もうほとんど差がなく、既に日本が劣る分野は多い。だから、石炭火力などで東南アジアプロジェクトに競合しても勝てない可能性は高い。
・何より、世界の潮流は「脱化石燃料」のため、たとえば石炭関連のプロジェクトなどには、ほぼ日欧米の金融機関は出資しない。また、欧米の一般企業は炭素活用企業との取引をどんどん辞めている。中小企業でさえ、取引相手から外されている。
・結局、世界が新しい方向に動き始めており、そちらの方がはるかにビジネスチャンスは大きい。にもかかわらず、古くて小さくなる市場を中国と取り合っても投資価値は低い。
・過去に日本は東南アジアに石炭火力発電所を篤志で開発してあげたが、そうした国が国際会議の場で日本支持に回ることは少なかった。つまり、国際協調手段としても投資価値は低い。それよりも、日米欧印で連携して途上国に対処する方法で恩を売る方が、外交手段としては明らかに合理的だ。

ガソリン車撤廃→EV化
進次郎「2035年オールEV化というが、ハイブリッド車はEVにカウントされる。また、FCV(水素電池)や固体電池などでは日本が圧倒的なトップにおり、この点で有利に運ぶことは可能。すでにホンダは、ハイブリッドさえ全廃して2040年に完全EV化を宣言している。そこにはFCVや固体電池の目論見がある」、この件、後ほどまだ書きます。

福島処理水問題
橋下「当初、前大臣が海洋放出を謳った中で、進次郎さんはそれを全否定した。そして福島の人たちに希望を持たせた。この点をまずは改め、きれいごとを言うより、本気でお詫びして福島の人たちに理解を求めるべき」
進次郎「経緯に誤解がある。引継ぎ時点では経産省さえも海洋放出を確定しておらず、様々な選択肢の中で有力としていただけだ。ここで海洋放出にする、というのは閣内不一致かつ越権行為であり、それはできない。発言をよく見てもらえば、放出しないといったのではなく、放出と決めることに反対だと言ったまでだ」

「勝ち過ぎは許さない」欧米のご都合主義

全体を通して思い出したのは、F1 のレギュレーション変更についてですね。かつて1980年代、F1レースではホンダが常勝、ロータス、ウイリアム、マクラーレンとホンダがジョイントしたチームが連覇し続けていました。勝過ぎ日本!を止めるため、ターボエンジンを禁止するというレギュレーション変更に出た。つまり、欧米のやり方というのは、どこか勝ち過ぎの出る杭が現れると、そこに不利になるように必ずルール変更をするということ。
今回の「脱炭素」もそうなのでしょう。あまりに大きくなり過ぎた中国をルール変更で苦しめるためのフォーメーションと見て取れます。SGDsなどでGAFAMが「ルールにはずれた」中国企業をガンガン締め出しているのを見てもそれは確かに明らか。
そしてね。グレタさんとか前面に出して、脱炭素=正義と見せかけているのも欧米のうまいところ。でも本当は「ルール変更で商売に勝つ」魂胆だというのが透けて見えます。だってさ、もし本気でSDGsを突き進めるなら、車はEVではなく、FCVに帰結するはずです。なのに、FCVへは舵を切っていません。理由はさ、FCVは日本が技術大国だから。つまりね、「中国を凹ませても、日本が得をしちゃあ、意味ない」からでしょう。本気の脱炭素よりも、商売の脱炭素なんですよ。

橋下さんは世俗的・ビジネス的に考えており、浮足立った運動論は嫌い。一見、進次郎は運動家に見えてしまう。ただ、その実、「ビジネスのためのルール変更」という一番世俗的な問題が根本にあり、欧米はそれを「運動」に委ねて錦の御旗を取りに行っている。進次郎はそこに気づいてるんだろうね。いや、財界はもう世界の魂胆に気づいて次の商売ルールに前のめりだから。橋下さん案外今後は、進次郎とも協調路線になるのではないか。橋下Barにもまた出てほしいし。

「炎上ネタで話題になる」ことを狙ったのかな、小川アナ

さてさて、最後に。
ここまで読んで、「あれ?進次郎ってただのポエムマンじゃなかったの?こんなに考えてたの?」と不思議に思う人が多いのじゃないでしょうか。
いや、彼は聡明ですよ。私も委員会やシンポでかつて何度も一緒していますが、情報の要点を吸い上げ、さらに半歩先の提言をするのが得意。話者の意図をくみ取るのも上手。そして、ウソはつかず潔い。だから、一緒に仕事をした人の多くは彼を支持します。ただ時折ポエム発言をするのは珠にキズ。彼もそれは承知しています。

今回の46%発言についても彼の言いたかったのは、
「経産省の梶山大臣と調整しながら、あらゆる施策を列挙し、その炭素削減想定レンジを足し上げる作業をしていた。レンジ上限を足しこんでいくと、46%までは達した。通常なら中間値の足し上げや、ミスを嫌う役人目標なら下限値足し込みになる。そこを意思をもって上限値の加算をした。だからアスピレーションという意味であり、確定ではないから”おぼろげ”だ」
と解説していました。この話には政策決定過程をよく知る橋下さんも納得していて、「周囲からもそう聞いている」と太鼓判押していた。
それだけのことなんですよ。
だとすると、疑問符が付くのは小川彩可アナ。「おぼろげなシルエットってなんですか」とまず突っ込むべきだし、そして「梶山大臣と足し上げ作業をやったのは聞いていますよ」とさらに助け舟を出すべきでしょう。
そういうのはやらず、あの、伏目にらみと沈黙、そしてため息。明らかに、「こりゃポエム発言で一本とった」という内心どや顔が見えます。実際、その通りの展開になった。その読みはさすがだけどさ・・・。
でもね。俺も同じジャーナリストだから、ああいうときは、話者の本心を探って情報を得ようとします。それよりも、「炎上ネタで話題になる」をとったんだね、小川さんは。

https://abema.tv/video/episode/89-77_s10_p120

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