愛する者を同時に凝視できるか

私は一卵性双生児の父である。
一心不乱ソーセージと乳ではない。
一卵性双生児は全く同じDNAだ。
我が子達が退院し
家に戻ってきた時のこと。
なんとなく顔は違く見えるが
どこが違うのかマジマジと眺めていた。
目や鼻や口などパーツごとに
よーく見てみると見事に同じである。
全体的なバランスがビミョーに違う。
しかし一点だけ
決定的な違いを私は見つけた。
上の子のつむじは1つで
下の子のつむじは2つであったのだ。
つむじは一卵性でも違うことがあるらしい。
今もって謎である。
私はつむじが2つある。
つまり我が天才性は
下の子に引き継がれたことになる。
いや。
2人とも私のようになってはいけない!
絶対に!!!!!
ダメ絶対!!!!!
そして私はあることに
気付いてしまった。
「愛する者を同時に凝視できない」
ということを。
あなたも試して欲しい。
目の前にいる2人の人間を同時に
凝視できるだろうか。
出来ないはずである。
全く同じDNAである我が子を
私はどう頑張っても
同時に凝視することができなかった。
片方を凝視する時
もう片方を凝視することを
諦めなければならないのだ!
私は深遠なる哲学に辿り着いた。
同時に凝視することを諦め
物理的には等量のものを
概念的には無限大の愛を
2人に与えなければならないと悟った。
深遠なる真理に浸った私は
自分のチモキを落ち着かせるために
深夜に小さな小さな音量で
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの
"I Made a Mistake"をかけた。
その瞬間うるさいっ!と叱咤され
すぐに音を消した。
"I Made a Mistake"をかけたこと自体が
I Made a Mistakeだったのである。
双子育児の初めの数ヶ月は壮絶だ。
私も4キロくらい痩せた。
双子かわいいーじゃ済まされない。
世のツインズダディは
ヘルプマストである。
シゴトシゴト言ってんじゃねえ!!
さっさと家に帰っておぱぱせよ!!

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