『夏目友人帳』⑰貴志、旧鼠が狙う「龍」の卵拾う!
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『夏目友人帳』⑰貴志、旧鼠が狙う「龍」の卵拾う!
ある日、夏目貴志は、鳥の卵を拾う。透かして見たのか、振ってみたのか不明だが「ともかく生きている」ことが分かり、家に持ち帰りニャンコ先生に親鳥のように温めるように頼む。
貴志はが卵を拾った日から、玄関の塀に「陸」「伍」「肆」「參」「貳」と日にちがカウントダウンされていく。この文字は磯月ネズミという妖が書いたものだ。旧漢字の数漢字シビレますよね!
ネズミは貴志に「主が所望しているので横取りは許さん。主は早く食べたがっている」と迫る。ここでも「喰らう」が使われるが、自分以外の命を取り込むことが「喰う」。卵は「辰未」という龍の一種だと判明する。
貴志は正面切って宣戦布告を受け入れるわけではない。「隠し通す」ことを選ぶのだ。ここにも、貴志の内向型「思慮深さ」と「争い嫌い」を見ることができる。
貴志の元で「ヒナ」に孵った「辰未」は可愛らしい女の子だ。最初に見たものに似せて肉体を作るそうだが、ミラーニューロンのなせる業、生物界ではよくある噺で「みにくいアヒルの子」の変形譚。
貴志はこの女の子に名前を付けようとニャンコ先生に言うと、、「卵から生まれたからタマ」と即答「タマ」と命名された。幼稚園児ぐらいまでに1週間ほどで育ち、貴志はまるで「親」のように世話をするのだった。が、タマは食べ物を取らなくなり「衰弱」していく。貴志は困惑するが、タマは「成長したくない、貴志と離れたくない」と絶食してしまったのだ。
幼子の健気さ、と涙を誘うが、貴志は「いつまでも一緒だよ」と安心させる。旅立ってもいつでも会える、とタマを連れ出して言い聞かせているところに、磯月のネズミがタマを連れ去ろうとする。ニャンコ先生はネズミの力で封印され、タマは命の危機に瀕して「辰未」という種にメタモルフォーゼ!
ネズミを嘴で挟み、殺してしまう寸前で「タマ離すんだ!」という貴志の声も耳に入らない。
自分が変身したことのショックで感情のコントロールが不能だと判断したニャンコ先生が「斑」となって、タマを説得する。最後にはめでたしめでたし、とタマは飛び立っていくのだった。
物語自体は「よくある話」にすぎない。ポケモンのように新しい「種」としても「辰未」という翼を持った「不死鳥」「鳳凰」系の龍が現れた、という妖怪紹介のようにも見える。
しかし、私がここで取り上げたいのは「タマ」という名前だ。
ニャンコ先生はカンタンに名前を決めた。貴志もそうだな、と同意した「タマ」という、ハッキリ言って今では「ネコ」にすら付けないような廃れた「名前」
タマという字に、25個もサッと出てきます。
玉、珠,玲,玖,圭,碧,瑞,丸,環,玉,瑶,球,弾,霊,賜,魂,珪,瑤,贈,彈,瑰
私はさすがニャンコ先生だと思いました。カタカナで表しておけば、これだけの漢字が自在に使える。「玉」って「命」の事ですよね!
投資の世界でも「玉」は「お金・資金」。他の字も、全てが「強く」「気高く」「無二」「永遠」などが含まれた周波数の高い「字」ばかりなんです。
ネズミの主が「辰未」が孵ったらすぐに「喰いたい」という理由がわかりますよね?そう、ありとあらゆる宇宙のパワーをそっくりそのままいただこうという魂胆です!
以下は、参考資料
・「辰」 十二支の第5番目。 「しん」ともいい、十二支獣として竜があてられる。 3月の異称として用いられるほか、時刻としても用いられ、今日の午前8時を中心とした前後2時間を「辰の刻」「辰の時」。辰は「振」(しん:「ふるう」「ととのう」
・「未」「巳」十二支の第八。方角では南南西、時刻では午後二時、また、午後一時から三時までの間を指した ミ・ヘ ビ・いまだ・まだ・ひつじ。まだその時がこない。まだその事が実現し終わらない。いまだしい。打消しの語。
・「辰」と「未」では時間に連続性がない。午前7~9時、午後1時から3時の間には4時間の空白がある。
・磯月ネズミー多分「旧鼠」が主の「式神」=陰陽師が使役する鬼神のことで、人心から起こる悪行や善行を見定める役を務めるもの。 式の神 / 識の神(しきのかみ)
・磯とは、いそ/海や湖で石や岩の多い波打ちぎわなど。月つき。天体の一つ。地球の衛星 磯月という場所。
・旧鼠(きゅうそ)は、日本の妖怪の一つで、ネズミが歳月を経て妖怪となったもの。『絵本百物語』『翁草』(おきなぐさ)などの江戸時代の古書や民間伝承にあるもので、ネコすらも食べるもの、子猫を育てるもの、人間に害をなすものなどがいたとされる。
あらすじ
藤原家の庭先に産み落とされた卵。育てるもののいないその卵を、夏目はニャンコ先生と温めてみるとにする。日に日に大きくなる卵、そして、それを主からの命で奪おうとやってくる妖。確かに生きているその卵を守ろうと決めた夏目の前で、ついに卵の中から姿を現したのは、なんと小さな小さな人の形をした「辰未」という妖の雛だった。
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