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名前物語③貴志に会いに来る妖怪たちは自殺志願者。
名前物語③貴志に会いに来る妖怪たちは自殺志願者。
第3話は夏目貴志のところに、署名=名前を返してもらえるという評判によって、妖怪どもが貴志を訪ねてくる展開だ。
名前を返す儀式に、貴志は妖怪の署名した紙を口にくわえ息を吸い息を吐く・・・
すると煙のように、名前が空中に溶けて妖怪の吸う息とともに体内に「命」として吸収され晴れて成仏。
成仏は仏教語かもね?
晴れて「消滅」することができる。そう、バンパイアだって「不死」を苦しんでいる。
生れたからには死ぬのが当たり前。
当たり前の地球人としては、長生きでも100年ぐらい。だけど死ねない方々もいるのね。生きてることは「四苦八苦」だから、命は限りがあった方がいい。と私は思う。
息を吐くと息とともに流れ出す命。その「ふーっ」と吐き出す行為はお払いですよね?夏越の祓を連想しませんか?
あれって半年分のケガレを祓う神事ですよね。
フーっ3回息を吹きかけるって、お決まりがありますよね?
息ってどんな意味があるのか?
あらゆる災いを消滅させるという意。サンスクリット語シャーンティカśāntika(扇底迦せんていきゃと音写)の訳。
密教修法における四種法の一つ。思わぬ災い、病気、世界的不安感や
武威、天災などを除去する。行ずる者自身の心のなかの災い、すなわち煩悩を消滅する意義がある。
辞書では
1 いき。いきをする。「気息・絶息・喘息・大息・嘆息・窒息」
2 生きる。生活する。「消息・生息・棲息」
3 休む。いこう。「安息・休息・脇息」
4 やむ。しずめる。「息災/終息」
5 こども。むすこ。「息女/息子
平たく言えば息=生。生きてる証拠ですよね?死んだら息しませんから。
だから
「無病息災」とか「息災延命」って願文でも使われます。
この無病息災の反対が四百四病
「四百四病」とは仏教用語のひとつで、人間がかかる一切の病気を
意味する言葉です。「しひゃくしびょう」と読みます。
人間の体の4つの要素である、地・水・火・風の調子が悪くなると、それぞれに101の病気が生まれるから。
まぁ、
息災っていうのは全部パーフェクトという意味
なんだな、と捉えています。
「痛いの痛いの飛んでけー」という時も、フーフーしますから、私たちの習慣に沁みついている「お祓い」行為なんでしょうね。
3話では「名前も名乗らない」妖怪が、夜中に訪ねてくるのですが、
貴志は起きて「名前を返す」儀式をしてあげるの。
名前がエネルギーとなって渦を巻いて、妖怪に吸い込まれると妖怪の体がぴかーッと光って、光の粒子になって消滅していく。
このエネルギーの描写もスゴク秀逸!
名前が本人が書いたエネルギーとして、紙に固定化されたまま年月が経ち、
貴志は「固定化」して定着した「命」のエネルギーを吸い込んで、吐き出すことで「返却」することができる。
名も名乗らない=名乗れなかったのかもしれませんが、妖怪が消滅する瞬間の「名前を取り戻した」ときの歓喜の表情は何とも言えません。
名前を取り戻すということは「自我」を取り戻すことなんですね。
貴志のところに「返してください」と、やってくる妖怪たち、消滅したいわけですから、
ある意味では「自死」志願。けれども、それはなぜか?
この世の役目を果たしたから、寿命のありがたさを知ったから、自我の大切さを知ったから、パーフェクトになって光のエネルギーと同化することができたんですね!
目にみえなくなっただけで、光のエネルギーとしては、もっと上のほうに上昇していったんだと思いました!
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