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黒田基樹著『図説 享徳の乱 新視点・新解釈で明かす戦国最大の合戦クロニクル』の読みどころをまとめました!

みなさんこんにちは、戎光祥出版の石渡です。黒田基樹先生の最新刊『図説 享徳の乱 新視点・新解釈で明かす戦国最大の合戦クロニクル』が刊行となりましたので、改めて読みどころをまとめてみました。

​今回は読みどころをいくつかのポイントにわけて紹介しようと思います。

①29年におよぶ長く広範囲にわたった戦いの動向を詳しく解説。         享徳の乱は古河公方・関東管領・室町幕府・堀越公方をはじめ、千葉・佐竹・小山・結城・岩松・大森・駿河今川など多くの人物・一族が登場します。しかも関東・京都を中心に、東北や東海まで巻き込んでいます。つまり、「あまりに複雑過ぎる」。しかし、黒田先生の研究で、彼らの動向が時間軸に沿って解説されていますので、何年に誰がどうしていたかが一目瞭然です。本文では年月を目立たせるなど、文字通りクロニクル形式で読み進められると思います。

②けして多くはない関係史料の再検討を通じた「新視点」による叙述。                享徳の乱の動向を把握するときに中心になるのは、古河公方足利成氏が出した文書です。しかし、やっかいなことは当時の手紙には、「○月○日」と月日しか記されていないことが多いのです。そのため、緻密な検証によって、その手紙が何年に出されたのかということを特定していかないといけません。黒田先生の分析によって、それがついにできたということで「新視点」としております。

③本文と一緒に楽しめる図版を豊富に掲載。                  最新研究による系図をはじめ、関係地図、史跡、城郭位置図などを掲載し、わかりやすく楽しめる構成にしました。また、本書冒頭には中世の関東地図も掲載しています。本書を手に史跡をたずねてみるのもよいかもしれません。また、戦いの臨場感が伝わる「太田道灌状」の現代語訳を抄録していますので、あわせて読んでいただけるとおもしろさ倍増です。

④乱の経過だけではなく、どのような時代だったのかも紹介。                   堀越公方と扇谷上杉氏や山内上杉氏の所領争い、所領の一円化から国衆になっていく岩松氏など、乱にかかわって起こった問題や事象についても紹介されています。戦国時代の幕開けとされる享徳の乱で、室町時代から戦国時代へどう移り変わっていったかという点も注目できます。

⑤好きな人物や一族とともに楽しめる。                             足利成氏、上杉顕定、上杉定正、太田道灌、長尾景春、また地元の一族など多彩な人物や一族が登場するので、みなさんの思い入れのある武将や一族がどういう活躍をみせていたかを最新研究で楽しむことができると思います。ぜひ戦国を切り開いていった個性あふれる武将たちの姿に思いを馳せてみてください。

このように本書は最新研究による「新事実」が満載の読み応えがある1冊になっています。多くの人の手にわたってほしいと思いますので、ぜひ宜しくお願いいたします!

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