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(7)帰宅部

部活を辞めたら、夕飯までの自由な時間が増えた。

図書館に行くのが好きだった。部活を何らかの理由で辞めたクラスメイトもいた。独りじゃないことがとにかく嬉しかった。


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“It(それ)”と呼ばれた子、という本が目に入った。その子に何があったのか気になった。実母による酷い虐待を受け、母親から名前で呼んでもらえなかったのが彼だった。酷い話だった。これが本当にあったことなんて。

虐待を受けてもなお母親を愛する子の気持ちは、子の純粋なこころは、絶対に守られなければいけないものだと私にも分かった。私ですら親に愛されていた。この子はなんで愛されなかった?そんなことはあってはいけないんだ。子を救いだせる大人はいなかったのか。私はその大人になれないものか。


みえない未来のなか、少しの将来を探した。




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