(10)スキー合宿
中学校の行事に、スキー合宿があった。
歩くことが精一杯の私にスキーだなんてとんでもないことだった。
事前に説明があった。皆がスキーをしてる間、待機の先生方のいる小屋の傍で一人ソリ遊びをするよう提案された。断る理由も見つからず適当に了承した。
ソリ遊びは思っていたより大変だった。
雪の緩やかな坂をソリでくだったら、爽快だ。しかしその分足場の悪い雪の上を転びながら登らなければいけない。辛いなら雪の上にでも座っていればいいのに、子どもらしい無邪気さで何度も繰り返すのだった。
喉がカラカラでヘトヘトになって、小屋の先生方に休んでいいか聞いた。快く休ませてくれて少し面食らった。皆のスキー教室が終わるまではしんどい思いしてソリ遊びしていなきゃいけないとすっかり思い込んでいた。自分の真面目なところは不要なところでよく発揮されるようだ。
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