(8)小さい友人
夏休み、母の実家のある会津で過ごす。
優しい祖父母が迎えてくれる。二人とも温厚で、口数は少ないが、たまに言う冗談が可愛い人だ。
従姉妹の家族は、家族ぐるみの付き合いの友人家族と一緒に遊びに来ていた。従姉妹の友人は私より6つ歳下だった。生意気で喧嘩腰な弟のせいか、その子は実際より小さく見えた。
少し臆病で、恐るおそる伏し目がちに私と話してくれる。小さい女の子は可愛くて、妹のように愛しく思ってると、次第に楽しく話をきかせてくれた。
みゆちゃんの美人な母親には、おでことスネにアザがあった。
.....
小さく見えた理由を後日知った。
手紙を書きたいから、みゆちゃんの住所を教えて、と従姉妹に言ったら、居場所は教えられないんだ、と返ってきた。父親から逃げているのだった。
父親から虐待を受けていたのだ。
なんで?と思った。あんな可愛い子、しかも自分の子どもなのに。どうして暴力を振るうの?
どうかみゆちゃんに幸せな日々が訪れてほしいと思った。
無力だった。
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