旅する演劇プロジェクト「白線の内側」【感想】
2022年9月11日(日)、スターダストプロモーション所属の西垣有彩が出演する演劇「白線の内側」の昼公演を鑑賞してきた。
国内を旅する演劇プロジェクト「タビゲキ」は「白線の内側」の台本を書いた劇作家 桐山瑛裕と主演を務める俳優 佐松翔によるプロジェクト。
記念すべき1回目の公演は山口公演。佐松翔を含め、西垣有彩、奏夢の三人の山口出身俳優による「白線の内側」となった。また、山口公演は10日の夜公演と11日の昼・夜公演は「白線の内側」終演後にYamakatsuのミニライブが行われた。
会場は山口県周南市徳山にある商店街の小さな劇場「シネマヌーベル」。
シネマヌーベルは数年前までテアトル徳山という小さな映画館だった。私も幼い頃父に連れられて1度だけ来たことあったけどシネマヌーベルになってからは初だった。
会場は空調がめちゃくちゃ効いてて暑がりの自分にはめちゃくちゃありがたかった。A席のチケットだが全席自由であったため、2列目の真ん中のブロックを陣取れた。
舞台「白線の内側」
◯登場人物
・アキラ(佐松翔)
ー主人公。俳優を志しセブンエイトでアルバイトしている。
・リン(奏夢)
ーアキラの幼なじみ。金持ちの娘だが、ラフな格好でお嬢様という感じではないフツーの活発な女の子。ぴーちゃんというインコを飼っている。(←私的に超重要だが物語的にはあまり重要な設定ではない)
・ミナミ(西垣有彩)
ーアキラが電車で会った不思議な女の子。
ラーメンズが好き。
以下のストーリーはネタバレになるので見たくない人は目次から感想まで…アーカイブ配信も決まったらしいので尚更スキップで、、
◯ストーリー
雨の夜。息を荒げてチェック柄のラフな若い女がタクシーに乗り込んできた。女の名前はリン。
「早くどこでも良いから出して!音楽もかけて!なんでもいいから!」
リンは声を荒げ、タクシーは流行りのロックバンドの曲を流して走り出す。
そしてカバンを持って病服のミナミを連れて走るアキラ。
2人が目指す先はーー
リン・アキラ「「新幹線!!」」
アキラ「どうしてこんなってしまったんだ….できることなら戻りたい、3ヶ月前のーー
8月15日に…!」
時は遡ること3ヶ月前ーーー
役者を志す青年アキラと幼なじみリンは遊園地でデートをしていた。
車のアトラクションに、ジェットコースター、コーヒーカップ…..
幼ななじみで''デート''というアキラにリンは少し恥ずかしがりながらも、お互いに良い相手を見つけたいよな~と悪態をつきながら別れる2人。
帰り道アキラは駅のホームに座って小説を読む清楚な服装の女が目に止まる。
アキラ「小説好きなんですか?」
真っ直ぐな目で女は答える。
どうやらお笑い芸人ラーメンズの本を読んでいるようだ。
アキラ・ミナミ「「器用で不器用な人、不器用で器用な人!」」
アキラは「すみません、初対面なのに…」とばつが悪そうにしていると女は満更でもない様子。
女はアキラに読んでいたラーメンズの本を渡す。「貸しますから!またこの電車で会いましょう!」
電車のドアの向こうに行く女をアキラは呼び止め名前を聞く。
「ミナミです!」
翌日昨日のことでウキウキしたアキラはリンにいつものようにウザがられていた。
「どうしたのって聞いて!」
アキラのウザ絡みに折れたリンは渋々聞く。「どうしたの?」
「恋しちゃったんだ!昨日出会った人に!」
(昨日…?私?)リンの期待は一瞬で打ち砕かれた。
そして昨日の顛末をリンに話すアキラ(早送り⏩️)
リン「あんたが普段乗らない路線でしょ?電車でまた会えるなんて何百万分の一…」
落胆したアキラはダメ元で電車に乗る。
するとミナミが乗り込んできた。
顔を見合わせる2人。
ミナミ「運命みたいですね!」
アキラがLINEを聞き出すと快諾するミナミ。
ーー2人の恋は始まったばかりだ
(♪ファンキーモンキーベイビーズ「告白」)
リンが陰から見守る中、アキラがミナミに告白。2人は付き合うこととなった。ーー
アキラの家にあがるミナミ。2人は仲睦まじく愛を深めていた。
リンが遊びに来るとミナミは嬉々として迎える。
リンが帰ってから、ミナミは言う。「私、あの子好きだな。」
リンとミナミは親友になっていた。
ある日アキラはリンの家に。
インコのぴーちゃんが脱走した…青い鳥、幸せの青い鳥のぴーちゃんが飛んでってしまった、、ではなく、本題は父が脱税をしたお金300万円を自分のベッドの下に隠されていたということだった。
アキラは今日もセブンエイトでアルバイトをしていた
(♪ザ・タイマーズ「デイ・ドリーム・ビリーバー」)
「失礼します。本業の方から電話が…」アキラは俳優になるためにアルバイトに勤しんでいる。
久々に会う友人と飲むアキラ。席を立ち「今日の分これで」と1000円を出すが友人が出してくれることに。少しばつの悪そうにアキラは言う。「売れてから多く返すから。」
またあくる日。同じ時期に俳優を志した同期の作品の上映会。アキラは同期との才能の差に絶望した。
ミナミを家に呼んだアキラ。
「急に呼び出してごめん。実は言いたいことがあって」
アキラは俳優を諦めて働いて一緒に暮らそうとミナミに告げる。
しかしミナミは夢を諦めるアキラを許さなかった。
「俺に理想を押しつけるな!夢を追わなくてもお前のために…!」
「私が夢を追うアキラくんの足を引っ張るなら…!」
互いに相手を思いやって衝突する2人。
ミナミは問い質した。
「貴方は本当はどうしたいの!?」
アキラはやはり夢を追うことを諦めきれなかった。
椅子に座って微睡む2人。
咳が止まらなくなりミナミは倒れたーー
救急車の中、アキラは生暖かいミナミの血の感触しか覚えていなかった。
ミナミは知らない名前の遺伝性の病気だった。かなり進行していたのだ。
病服を来たミナミはいつもと変わらない屈託のない笑みでアキラに明るく接する。
アキラは手術費のためにこれまで以上に働いて稼ぐことを決心する。
来る日も来る日もアルバイト、ミナミに会う、アルバイト、ミナミに会うの繰り返し……
しかしその日々も突如終わる。
アキラはリンの部屋の下にある大金を思い出した。あれがあればミナミは、助かる….
いつもの遊びに行くようにリンの部屋へ。リンがお茶を入れると、席を外した隙にアキラはカバンに大金を詰め、逃亡した……
リンはすぐにアキラが300万円を盗んだことに気付き、家を飛び出す。
雨の中、息を荒げタクシーを捕まえたリンは「早くどこでも良いから出して!音楽もかけて!なんでもいいから!」
リンは声を荒げ、タクシーは流行りのロックバンドの曲を流して走り出す。
そしてカバンを持って病服のミナミを連れて走るアキラ。
リンとアキラ、2人の目指す先は
「「新幹線!!」」
アキラとミナミに追いついたリン。
アキラに話があるとリン。ミナミは立ち去る。
「この金でミナミは助かる!」
「わかってるの?そのお金は…ミナミはそれで喜ぶの?」
「わかってる!わかってるよ!」
声を荒げ、土下座するアキラ
「お願いします…」
「ミナミからは絶対にアキラには言わないでって言われてたけど…ミナミもう助からないの。」
電車が通過する。
「じゃあこの金はなんだったんだよ!」
「ミナミが好きな人にそんなこと言えるわけないでしょ!」
病院で寄り添って座るリンとミナミ。
「ミナミちゃんの私の嫌いなところ。強がらなくても良いんだよ。弱いところ見せてくれなきゃ損だよ。ミナミもアキラも不器用だけど私も不器用じゃん…」
そう言って笑い合うリンとミナミ。
ミナミ「2人は仲良くしてね…」
肩を寄せ合うアキラとミナミ。
「どこに行きたい?」旅行の計画を立てる2人。
ミナミをおんぶして歩くアキラ。
「まだラーメンズ2人で観てないよな」
「「器用で不器用な人、不器用で器用な人!」」
初めて会った時のように2人の息はぴったりだった。
東京の仕事が決まったアキラ。
ミナミがアキラと小指をつなぎ、「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲~ます!指切った!」約束をした。
「秋なのに雪が降ってるよ!」
眠るようにアキラの肩で息を引き取るミナミ….アキラの慟哭が虚しく響く…….
リンにいつものように悪態をつかれながら東京への出発を告げるアキラ。素直じゃないながらも送り出すリン。
電車には出会った日と同じ服装のミナミが座っていた。
今度はアキラから「指切りげんまん針千本飲~ます!指切った!」。物言わぬ電車にいるミナミに別れを告げ、アキラは未来へ踏み出した。
「がんばれ!」
ミナミの声が響き渡った。
感想
西垣有彩ちゃん、かわいすぎた、、、
ミナミとアキラの馴れ初めのシーン、登場から佇まいがかわいい。小説読んでて声かけてみたら意気投合して仲良くなって、告白したら付き合えて……ガチ恋するわそんなん、、
そしてファンモンの「告白」が流れて付き合いだすシーンでミナミの伏線があって、それから喧嘩して和解した後その伏線が回収され倒れてしまうのも辛かった。会ったら健気に明るいとこも、アキラがリンから助からないことを聞いた後の指切りげんまんした後別れたミナミの切ない表情、もうしんどすぎた……
そして冒頭から鬼気迫る演技でフルスロットルに舞台の世界に誘った奏夢さんのリン。ツンデレ幼なじみ、ちょっとアキラに気があるけどミナミの親友として真っ直ぐに2人を支えるポジション。口は悪いけどミナミのお姉さん的な親友でアキラの悪友って感じ凄く姉御感があって好き。盗んだ金をアキラに問い質すシーンの真っ直ぐアキラを見つめるところ、怒りとかミナミを救えない悲しさとか、色々籠ってた。
ちょっとインコのぴーちゃんで私の主現場のukkaの推しである葵るりちゃんが頭をちらついて離れなかったけど、シリアスになりがちな中安心させてくれた。(はずだけど推しの顔がちらついてソワソワしていた。アキラがミナミ付き合い出してキュンキュンして、ありっさにガチ恋しかけてたので尚更←)
佐松翔さんのアキラも真っ直ぐな夢を追う青年で嫌味なこともなく、ミナミと付き合い出しても嫌な感じ全くしなかったの凄い。キュンキュンしている時私は自分のお腹の肉をつまんでかわいさに悶絶して耐えてたけど、純粋にキュンキュンして「コイツめ~」って嫉妬心も皆無でしたな。
ミナミと喧嘩するシーンや、盗んだ金をリンに問い質されるシーンも声を荒げるけど、全てミナミへの思いやりがアキラの行動原理だった。優しさが理由だったから、観ていて胸をキュッと締め付けられて切なかった。
舞台芸術ではパイプ椅子で序盤の遊園地のジェットコースターとか病院のチェア再現してるのが本当に見えた。服装で時系列がわかるのも面白かった。
また、開演から音楽が流れて、「デイ・ドリーム・ビリーバー」がアキラのアルバイトパートを象徴したり、アキラとミナミが付き合いだすところは「告白」が流れるというのもわかりやすくて良かった。また、退屈せず良いスピード感に感じられた。
冒頭のシーンに重要な局面持ってくる演出も、初めは三角関係なのかな?とかアキラの「あの日に戻ってやり直したい!」からタイムリープものかな?とか色々憶測するのも楽しかった(ほぼ外れてるけどそれもそれで裏切られてて良き)。
知り合ったばかりのミナミからリンに「私、あの子好きだな。」から、病院でのリンがミナミに言う「あなたのそういうところ嫌いだな。」というところと、
ミナミからアキラへの指切りげんまんからアキラからミナミ(霊)への指切りげんまんの対比がほんと好き、、
最後に千秋楽ということで挨拶があったが、夜公演残してるからかありっさの挨拶が短かったのも、佐松さんが突っ込んでたけど面白かった。
Yamakatsuミニライブ
5曲披露。2回目の鑑賞で曲が県民なのに一致してないためセトリが分からない弱いオタクなのだが、特に4曲目がめちゃくちゃカッコ良かったし、最後の曲めっちゃ踊るの楽しかった。トランスとかデカめの音圧がめちゃくちゃ気持ち良かった。
終わりに
演劇はギアイースト以来だったが、ガチの演劇は初めてだった。いや、高校の文化祭の演劇部の演目以来かも。
ありっさは山口出身で誕生日も近いのだが、そのことを知ったのはばってん少女隊から卒業することを発表してからだった。
第1回スタプラフェスで初めて観たけど、その頃にハマっていたかったが…絶対に推してたしるりちゃん並みに沼ってたんだろうなと思う。
今回ukkaのリリイベ会場の西武園競輪場に逃亡したと思われるぴーちゃんの衝撃もあったが、純粋に楽しい劇だった。
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