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【ダウ理論をデイトレードで生かす為の6つの原則】

前回の記事ではテクニカル分析についてお伝えしました。テクニカル分析の根幹となるのが今回の『ダウ理論』です。ダウ理論は長期投資だけでなく、短期売買にも活用できるものがあります。6つの考え方、その仕組み、そしてデイトレードへの応用方法をご紹介します。

前回の記事はこちらから。

目次

【ダウ理論とは】

ダウ理論とは、金融市場が時間とともにどのように動くかについての理論です。

ダウ理論には6つの原則があり、チャールズ・ダウが1900年から1902年の間に書いた論説で提唱しました。はまた、エドワード・ジョーンズとともにダウ平均株価を考案し、ウォールストリート・ジャーナル紙を共同設立をした人物です。

【なぜダウ理論が重要なのか?】

ダウ理論の核心は、価格の動向に関する理論であり、100年以上経った今日、デイトレードや投資で使用されるほとんどのテクニカル分析の基礎を形成しています。

トレーダーの中で少なからずテクニカル分析を使う人は9割以上います。トレーダーの大半が基軸としている根幹となる理論がこのダウ理論です。

例えば、上昇トレンド、下降トレンド、サポートとレジスタンスなどの考え方も、ダウ理論から始まりました。

【ダウ理論の6つの原則】

ダウ理論のポートフォリオに適用される6つの原則は以下の通りです。

・株価(為替)はすべての事象を織り込む
・市場には3種類のトレンドがある
・主要なトレンドは3つのフェーズに分けられる
・インデックスは互いに確認し合わなければならない
・出来高は価格を確認するものでなければならない
・トレンドは明確な反転があるまで持続する

これらは非常に分かりやすいものです。この基礎を落とし込むことで様々な事が見えてきます。それぞれをもう少し深く掘り下げてみます。

①市場はすべてを割り引く

このダウ理論の原則は、効率的市場仮説から取られたものです。企業収益からマクロ経済まで、入手可能なすべての情報はすでに現在の価格に反映されているというものです。これはテクニカル分析の思想でもありますが、ファンダメンタルズ分析や行動経済学とは対極にあるものです。


②市場のトレンドには3種類ある

この3種類のトレンドは、占める時間の長さによって分けられます。

長期トレンド
(プライマリーサイクル)上昇または下降の明確な方向性を表す。通常、1年~数年間継続する中期トレンド
(セカンダリーサイクル)長期トレンドと逆行する調整局面を表す。通常、3週間~3か月継続する短期トレンド
(マイナーサイクル)中期トレンドの短期的な調整局面を表す。通常、数時間~3週間継続する


③主要なトレンドには3つの段階がある

3つのトレンドには、価格が以前に何をしたのか、『スマートマネー=機関投資家大口』と一般大衆の動きによって決定されていきます。この3つのフェーズは、強気相場か弱気相場かによって異なる名称が付けられています。


◆強気相場の流れ

強気相場の場合、蓄積(=Accumlation)から始まり、大衆参加型相場(=Public Participation)に移行していき、過剰相場(Excess Phase)で終了します。

流れは下記になります。大口投資家や機関投資家が買い集めを始めます。それに徐々に気づいた大衆がそれに乗ることで価格が押し上げられます。過剰となった株価で大口投資家が売り抜ける事で強気相場が下落へと変わるのです。

◆弱気相場の流れ

弱気相場の場合の流れはこのようになります。

強気相場から大口投資家が売り抜け上昇に勢いがなくなります。大口投資家や機関投資家が買い集めたものを市場に分配(放出する局面(Distribution)することで始まり、その下落に大衆が恐怖し逃げる局面(=Public Participation)に移り変わります。そして下落に拍車がかかりパニック局面(=Panic Phase)に移行します。

パニック局面が過ぎ去り弱気相場が落ち着いた後、恐怖が収まり低い価格帯で推移します。その後また強気相場が繰り返されます。

次の強気相場に備えて資産を購入(蓄積)したり、大きな上昇の後、次の弱気相場に備えて資産を売却(分配)をいち早く行うのは、常に機関投資家・大口投資家のスマートマネーです。なぜなら市場を動かすほどの莫大な資金力が彼らにはあるからです。

一旦価格が反転すると、一般大衆はその勢いに追随します。大きく値が動いた後は、頂点で欲に駆られて買った人や、底値で恐怖に駆られて売った人を彼らは餌にするのです。

これらは、一般的なブレイクアウト戦略使う個人投資家から、機関投資家がお金を奪う構図にリンクします。テクニカル分析を鵜呑みにしたり、無料で得られるブレイクアウト戦略などを使いすぎると負けてしまう本質がこれです。


④インデックスは互いに確認し合わなければならない

ダウ理論は初期段階において、工業株価平均と鉄道株価平均で構成されていました。

当時、両者はばらばらな動き方を示すものと認識されていました。それらが同じ方向性を示さない限り、本格的な上昇トレンド/下降トレンドとはいえないと考えたのです。

現代では複数の市場(あるいは銘柄)で相関性を確認し同じトレンドであれば強い方向感が生まれていると判断します。

ダウ工業株30種平均とダウ・ジョーンズ輸送平均を作り、この2つの指数で互いを確認するようにしました。最近の投資家は、ダウ平均(DJIA)、S&P500、ナスダック100といった異なる国の株価指数に同じ概念を適用しています。

例えば、一方の指数が52週高値を更新しても、もう一方の指数がその高値を下回ったままであれば、最初の指数の強気なブレイクアウトはそれほど強くないと考え、反転する可能性があると判断されます。

2つ目の指数が52週高値を更新すると、値動きの幅が広がり、上昇を続ける可能性が高くなると思われます。反対に52週安値を更新した場合は下落の可能性が高くなると考えます。


⑤トレンドは出来高を伴う

これは現在でも出来高データが使われる主な理由です。出来高とは、一定期間内に行われた取引の件数や金額のことです。価格チャート上の出来高は、通常、線または日本のローソク足でプロットされた価格の下に棒グラフとしてプロットされます。

出来高が最も多くなる場合は、数十億円を操るスマートマネーが入った場合であり、出来高が価格トレンドとともに上昇している場合は、スマートマネー(大口資金)がトレンドに乗じて買っている事を意味します。

反対に、価格が上昇しているにもかかわらず、下落時に大きな出来高が発生する場合は、スマートマネーが上昇トレンドが反転することを期待して売っていることを示しています。


⑥トレンドは明確な反転があるまで持続する

チャールズ・ダウは、トレンドは常にあなたが考えているよりも長く続くということを伝えています。だからこそ、トレンドに逆らって取引を始める際には、トレンドが転換したことをはっきりと認識する必要があるのです。

またトレンドに逆らったトレードは危険であるという、根本的な理由もここから来ています。

・「トレンドの見極め方」と「トレンドの反転の見極め方」

ダウ理論で考えれば、トレンドとその反転を見極める事ができるとしています。これを「山と谷」という考え方で行います。この考え方は非常にシンプルなものですが、自分のトレードに生かすにはトレードの練習を重ねることなしに実行するのは難しいでしょう。

ダウは、私たちが皆そうであるように、市場価格は一直線に上昇したり下降したりするわけではなく、トレンドは曲線的であることを観察しました。

この曲線の頂点と底辺を「山」「谷」と呼びます。山が高値、谷は安値と呼ぶこともできます。やるべきことは、それぞれの高値が前回の高値と比較してどうなのか、それぞれの安値が前回の安値と比較してどうなのかを比較することです。

現在の高値は前回の高値に比べて高いでしょうか?

現在の安値は前回の安値に比べて低いでしょうか?そこに着目するのです。この流れが変わった時にトレンドは終了します。

【デイトレーダーが意識すべきダウ理論の教訓まとめ】

では、デイトレーダーはこのダウ理論をどのように落とし込めば良いでしょうか。

①株価(為替)はすべての事象を織り込む

➡︎デイトレードの教訓1:経済学者は経済を予測し、投資アナリストは企業の収益を予測します。しかし実際の所の株価は全て織り込み済みなので意識せずにOKです。その代わり、市場に初めて出る突発的なニュースには株価を動かす力があるので注意する必要があります。

②市場には3種類の主要なトレンドがある

➡︎デイトレードの教訓2:3つ以上の時間枠のチャートを見るようにしましょう(マルチタイムフレーム分析)。取引しているチャート、より長い時間枠のチャート、より短い時間枠のチャートの3つ以上を見て下さい。そうすることで、現在のトレンドが市場のどの局面にあるのかを立体的に知ることができます。

③主要なトレンドは3つのフェーズに分けられる

➡︎デイトレードの教訓3:デイトレードがスマートマネー(大口資金)の流入と一致するように、全体像(主要なトレンドの一部)を把握して下さい。スマートマネーと足並みが揃えば、実証済みの順張り手法は、とても効果的です。大切な事は自分がエントリーするタイミングに大口がいるのかいないのかです。

④指標は互いに確認し合わなければならない

➡︎デイトレードの教訓4:同等の資産の動きが互いに連動しているのかを探して下さい。外国為替を取引している場合、ドルが2つまたは主要な通貨に対して動くかどうかを確認します。また、インデックスを取引している場合は、同じ銘柄を測定する1つ以上の株価指数に注目します。例えば、フォード・モーター・カンパニーの値動きを確認するために、ジェネラル・モーターズを見ます。

⑤出来高は価格を確認するものである

➡︎デイトレード教訓5:株式トレーダーや先物トレーダーは、機関投資家や大口投資家の買い集めや市場への分配のような特徴的な値動きを確認するために、出来高を効果的に利用しましょう。

⑥トレンドは明確な反転があるまで持続する

➡︎デイトレードの教訓6:新しい方向へ取引する前に、ダブルトップやヘッドアンドショルダーのような反転価格パターンが発生するのを待ちましょう。そうでなければ、すべての逆トレンドの動きは一時的な修正であり、市場に安く買いで参入するチャンスであると考えてください。


以上が、テクニカル分析の根幹となるダウ理論のまとめになります。テクニカル分析では勝てないとの記事を以前から書いておりますが、知っていなければトレードで勝つこともできません。

様々なファクターの本質的な部分を抜き出しトレードに活かしてください。

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