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メキシコ・スタディツアー(前編)

2018年、秋。人生で初めての海外、メキシコに上陸。大学のメキシコ人先生の企画による、メキシコ・スタディツアーに参加していたのだ。そのとき夜な夜な綴った日記を読み返しながら、当時のツアーを振り返る。

スタディツアーに参加した経緯は、単純な外国への憧れであった。一度は日本を飛び出して異国情緒に触れたい。でも、英語ができない私に普通の留学はハードルが高い。そんなとき、このスタディツアーの企画を知る。私はすぐに参加を希望し、出発までの2ヶ月間アルバイトに励んだ。メキシコ・スタディツアーはたったの9日(そのうちのまる2日は機内)で実施され、しかも特に英語を話せなくても良いのだ。なんせ、向こうの人も英語を話せない(スペイン語が公用語)のだから。

Mexico/2018

9月2日(日)。
20時46分。雨が降り出した。雷がゴロゴロ鳴っている。さっきまで晴れたり曇ったりしていたけど、外にいるときに降らなくてよかった。

空港から飛行機で機内泊をした。スペイン人の乗務員に座席の番号を聞かれたとき、機内で飲み物や食事を問われたとき、とっさに日本語で返してしまう自分が情けなくて落ち込んだ。
機内泊は初めてで、座席の前にパネルがついており、映像を観たり音楽を聴いたりできた。

飛行機に乗ること自体、国内線で三回ほどしか経験がなかったため、機内で映画が観られるだけで感動したらしい。なんと可愛らしい、過去の自分。
スタディツアー一行は10時間ほどかけて日本からメキシコへ飛び立った。

海外の匂いがした。甘かったり、香辛料みたいな匂いもした。
リムジンバスで移動中は外の景色に夢中になった。ブロックみたいな建物が連なり、白やピンクや赤や水色や黄色や、カラフルで興奮した。


道路は古い看板が多くあるのが印象的。道路のど真ん中でアイスキャンディを売っている人がいて驚いた。

道路のど真ん中のアイスキャンディ売りは記憶にもかすかに残っている。何車線もある道路のど真ん中だ。そんなところにいて車に轢かれないのか?と心配するかもしれないが、大渋滞しているためその心配は無用である。とはいえ、必ずしも安全とは言えないし、日本で同じことをしたら警察に通報されるだろう。

ブロックの建物は落書きが多かった。廃れた雰囲気が好きだ。
メキシコの人は背が高くて怯んでしまう場面がいくつかあった。道を譲ってくれたり、エレベーターに入れてくれたり優しい人もいた。
メキシコの街並み、風景が魅力的でホテルからいくつか写真を撮った。赤白ピンクの建物が好き。

建物のカラフルさは今でも色鮮やかに記憶に残っている。なんでも、気分によって度々壁を塗り替えるのだそうだ。日本の湿潤な空気とは異なり、湿気の少ないカラッと乾いた気候だからこそそういった鮮やかな色々が映えるのである。

9月3日(月)。
21時52分。歴史地区の観光帰りに地元の本屋さんというような小さな本屋に寄った。そこでふらふらと本を見ていると、リックアンドモーティのアートブックを発見。日本でもずっと欲しいと思っていたため購入。

リックアンドモーティとはアメリカで放送されているカートゥーンネットワーク系列のアニメである。日本ではNetflixの配信でしか観ることができず、アートブックについても海外からの取り寄せになるため現物を発見して嬉しかったのだ。

移動中はやはり窓の外の景色に夢中になった。山の形に沿ってカラフルな家が密集していてすごい光景だ。

観光したピラミッドには『太陽のピラミッド』と『月のピラミッド』があった。太陽のピラミッドには息も絶え絶えに登った。酸素が薄いためかなりしんどい。しかし、頂上からの景色は素晴らしかった。他人のお墓の上に座っているのかと思うと、不思議な感じがした。

広大に広がる土地にどんと佇む大きなピラミッドも記憶に鮮明だ。日本ではあまり見ない大きな野良犬がそこら中にいて、物陰で涼んでいた姿もよく覚えている。

その日の昼食は近くのレストランでとったのだが、外国らしいと感じたのは大量のハエがブンブン飛び回っていたことだ。料理にたかってしまうが現地の人は誰も気にしていない。我々も仕方ないのであまり気にせず、ハエのとまった料理を口に運んでいた。

夜は近くのジャンクフードの店でメキシカンハンバーガーを食べた。バンズがサクサクで肉も美味しくて、パイナップルが挟まっていたのが美味しかった。サイズも大きくてすぐにお腹が膨れた。

9月4日(火)。
23時22分。観光二日目。今日は『ルイス・バラガン邸と仕事場』を見に行った。

ルイス・バラガンとはメキシコを代表する建築家であり、実際に生活をし、作業をしていた『ルイスバラガン邸と仕事場』は世界遺産となっている。


入り口から玄関までの間にひとつの空間がある。『心の準備をする場所』らしい。
この空間は入り口から光が入り、光の落とし方がどの場所も計算されている。黄色い光が差し込まれていた。
階段は手すりなどはなく、むき出しで横から落ちそうだ。

部屋にある絵には全て機能的な意味があるそうだ。光の反射のことを考えているらしい。部屋の数が多かった。友人のための部屋、特に大事な友人のための部屋など。普段は使わない部屋が多く、客室が多いのが興味深かった。
家の中は壁が少なく、大きな部屋を屏風のようなもので区切っている形式だった。『はりつけ』が多く、キリスト教の影響を強く受けているそうだ。天井が高く、窓も大きい。
屋上は壁に囲まれており、空の空間しか見えなくなっている。外の空間から切り離される。
庭は基本手入れしないそうだ。自然は自然のままにということらしい。とても面白い建築だった。

バラガン邸の中で写真を撮ることはできなかったが、各々調べていただければいくつかのサイトで建築物の中を確認できると思う。

昼食後、歴史博物館へ。石の彫刻が多かった。
真ん中に穴のある大きな円形のオブジェのようなものがあった。古代のお金のようだと思ったが、穴の中に生贄の血や心臓などを入れる儀式の道具だったらしい。

人型の彫刻が多いのはもちろんのこと、鳥や小動物などもちらほら見える。ネズミやウサギ、へび、カエルなどあった。全てを見ることは不可能なほど大きな博物館だった。

博物館の外では伝統的な見世物が披露されていた。真ん中に軸があり、ヒモに吊るされた人々がくるくると回りながらゆっくりと下へ降りてくる。軸の上にいる人は笛と太鼓を奏でていた。

現地に到着し、初めの3日間は観光がメインであった。メキシコ・スタディツアー後半はより専門的な勉強のため、タラベラ焼きの工房見学、メキシコの大学生徒と交流しながら行ったワークショップについて綴る。

#行った国行ってみたい国

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