人生いろいろ

友人が亡くなったという知らせが届いた。
共通の友人からのLINEで知った。
死因は癌。
病気に気付くのが遅く、あっという間に亡くなってしまったそうだ。
それを聞いて不謹慎ではあるが「よかった」と少しホッとしてしまった...。
彼女のことをよく知る人の中にはきっと同じ気持ちになった人がいるはず。
なぜなら彼女は「死にたい」と「生きたい」の間をゆらゆらしていたから。

彼女は私が出会った初めてのメンヘラさんでした。
はっきり覚えていないが、気づいた時には抗不安薬のようなものを服用していたと思う。
私が学生の頃はまだ今のようにカジュアルに精神科に行けない(通院していると公表しにくい)世の中で、お薬を飲んでいるなんて大丈夫なのかな?とハラハラした覚えがある。
一緒にいる時の彼女は不安定なところはなく、いつもみんなの中心にいて友人関係を拡げていく社交的な人だった。
しかし私は彼女とノリが合わないことが増えてゆき、彼女経由で仲良くなった友人の方が気が合い、彼女以上に親しくなっていった。出会ってから30年経った今では彼女と連絡を取ることもなくなっていた。

今から10年前くらいだろうか。
彼女は自殺未遂騒ぎを起こし、友人からの信頼を失った。
死にたいという彼女を励まし支えた友人を軽んじたのだ。
心配した気持ちを踏みにじられがっかりして距離を置いたと、少し経ってからその友人から話を聞いた。
さらに、これが初めてではなく何度か繰り返されている事、それによって家族と疎遠になっている事も聞いた。
ここまでほとんど伝聞の内容になるけれど、私の中の「彼女」は会っていない時期の部分も補完されていったのだった。

彼女の訃報を聞き、すぐに頭に浮かんだのは過去の自殺未遂。そうでなければいいな...。自殺は周りの人の心も殺す。
病死だと聞いてホッとしたのはこういうことだった。
病気がわかって治療をすすめたこと、パートナーに甘えて頼れたこと。彼女の最期の様子を聞けてよかった。
生きたいという願いは叶わなかったけど、死にたいと思う彼女はもういなかった。
亡くなったのにホッとしたなんて誰にも言わないけど、彼女の写真に手を合わせて「やすらかに過ごしてね」と声に出した。
ありがとう。

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