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大地のような宇宙のような 広くてありのままに在る 黒田泰蔵さんにお会いして

2019年11月25日(月) 晴天 昼下がり。
白磁陶芸家 黒田泰蔵さんのアトリエにお邪魔した。

こんないい日に、世界的にご活躍される黒田さんのところに訪問させていただけたのはこの上なく"贅沢"そのものだった。

(編集委員をつとめる雑誌の取材でお伺いしたのだが、この日のことを編集委員としてではなく1人の人間として書き留めなければバチがあたるような。そんな気持ちになったので、思うままに書きつづることを許して頂きたい)


陶芸家 アーティスト 哲学者

黒田泰蔵 氏

日本が誇る世界的な陶芸家にお会いできる前夜。私は緊張してしまってなかなか寝付けなかった。

というもの、黒田さんを紹介して下さったのは叔父の和幸おじさん(群馬で器屋 akamanmaを営む)で、数年前からおじさんのお店に行くたびに黒田さんの作品を拝見し、そしてお人柄の魅力を聞いていたからだ。

「人間国宝に当然なりうる。むしろそれをも超える人」「黒田さんの作品を買うなら家を売ってもいい」

叔父の言葉には一点の曇りも無く、いつも真っ直ぐに胸に響いていた。尊敬するおじさんが尊敬する黒田泰蔵さんにお目にかかるのは、知らぬ間に私の一つの夢となっていた。

黒田さんのアトリエは山と海が眺められるとても落ち着いた場所にあった。
11月下旬なのに半袖短パンで過ごせるようなあたたかい日で、うっすらと見える大島がとても美しかった。


庭はとても綺麗に整えられ、石でできた椅子や陶器などが自然に溶け込むように置いてあった。心地よい香りがするなと思ったら、案内してくれたスタッフの方が「ジンジャーの木です」と教えてくれた。


建物の中に入ると、黒田さんが素敵なガラスの器でかき氷を食べながら、「こんにちは、こんな感じでごめんね」と朗らかに出迎えてくださった。

かしこまらず、ありのままにそこにいらっしゃるお姿に、昨日からの緊張がすっと解けて安心している自分がいた。

お部屋を眺めると、白の壁と天井に黒縁の窓。
黒田さんの作品と共にとても美しい絵画やオブジェの数々が飾られてあり、まるで美術館にいるようだった。



言葉を話すのは人間だけ。
アートをするのも人間だけ。
神に近づくための行為がアートで、
それが許される職がアーティスト。
アートが食べていくための道具であることは認めるけれど、それ以上にアートをする為に生まれてきたと感じている。


カナダやフランスでのエピソードを交えながらとても楽しそうに黒田さんが語って下さったのがとても印象的だった。

取材の詳しい内容は発行を楽しみにして頂きたいので多くは語れないのだが、陶芸家であり、アーティストであり、哲学者のような黒田さんの思想から、こんなに伸びやかに柔らかく正直に自分の人生を生き抜いている人がこの世にいるのか。と鳥肌が立った。


相手が誰であろうと、黒田さんは黒田さんのままお話しされるのだろうなぁと感じたと同時に、自分もそんな生き方をしたいなぁと恐れ多くも感じた。


「ガンダーラから出土したと言われる印なんだ!かっこいいよね」と楽しそうに黒田さんの本の後ろにサインと印をしてくださった。

そして別れ際には、「こっちへおいで」とハグをしてくださった。

今まで黒田さんと呼んでいたのに「泰蔵さん」とその時は下の名前で呼ばせていただいている自分がいた。本当にあたたかいハグだった。

作家として大変な時期もあった。
生後8ヶ月の頃にお父様を亡くして父性愛を求めていたというお話もあった。
哺乳類、生物、宇宙、かあちゃんのお話もあった。
言葉にできないから作るというお話もあった。

黒田泰蔵さんにお会いする前は固まっていた自分が、帰る頃には肩の力が抜けて体が軽くなった思いがした。

何かこれからの人生に悩むことがあったらこの記事を読み直して、またこの日のことを思い出したいと思う。



泰蔵さん、貴重なお時間を本当にありがとうございました。
和幸おじさん、祥子おばさん、この様なご縁を頂き、akamanmaの姪であることを幸せに思います。本当ありがとうございます。
雑誌関係者の皆様、この様な貴重な機会をありがとうございます。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

#黒田泰蔵  さん
#akamanma

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