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BOSS NS-2の修理

BOSSのNoise Suppressor NS-2の修理です。

1987年に発売されて以来の現行機種。かなりのロングセラーですね。

30年以上のロングセラー

ノイズを除去するだけでなく、センドリターンが付いてたり、他のエフェクターに電源供給も出来たりします。

このNS-2も生産時期によって、色々とバージョンがあると思います。

最近のは表面実装になってるのではないでしょうか。

裏のラベルが剥がれてますが、おそらく結構前の台湾製です。


症状確認

一応DS-1繋げてますが、音出ないので意味無し

スルー音は出ますが、エフェクトをONにすると音がかなり小さいです。

THRESHOLDは効いてるみたい。

REDUCTIONのLEDが点きっぱなしなのも気になる。


分解

分解して中身の様子を見てみます。

底面の4本のネジを外して裏蓋を外します。

基板が見えたので目視でチェックしましたが、壊れてそうな部分は見当たらず。

SIP8のオペアンプいっぱい付いてる

故障箇所を調べる

回路図があったので、信号がどこまで来てるのか地道に調べていきます。

ファンクションジェネレーターで1Khzの正弦波をNS-2に入れて、オシロスコープで波形を見てみます。

この時にエフェクトをONにするのは勿論なんですが、THRESHOLDも0にしておきましょう。
現状、音が小さい状態なので、音が出る状態にしておきます。
THRESHOLDを0にしておけばノイズサプレッサーは効かないので。

まずエンベロープ回路の方を見てみます。

まずIC2の3番から入って、1番に出力しています。
ここは問題なく信号が来てます。

IC2の3番、1番

次に繋がってるIC3を見てみます。

2番、1番を見てみると信号が低い。

IC3の2番、1番

6番、7番を見てみると、更に信号が低い。

IC3の6番、7番

という事なので、IC2とIC3の間に付いてるパーツを調べます。

C15の電解コンデンサを調べます。
プラス側は信号来てますが、マイナス側は信号が来てません。

この電解コンデンサがかなり怪しいので交換してみます。

端っこに付いてるC15のコンデンサ

コンデンサ交換

フラックスを塗って、gootのTP-100でハンダを吸い取り電解コンデンサを外します。

 gootのTP-100であっという間に取れます

新しい電解コンデンサはニチコンのMUSE ESを使おうと思ったんですが、高さがあり過ぎて、筐体に当たってる。

取り付けてしまったので、テストだけはします。

同じ様にオシロスコープでC15の両端の信号を確認して、無事に直ってました。

C15の両端に信号が来てます

動作チェックその1

DS-1を繋げて動作するかチェックしてみます。

以前に修理したDS-1

まず、エフェクトONの状態で音は出る様になりました。

各ツマミも動作している様ですが、何か変。

そもそもDS-1のノイズが除去出来て無い様な…。

THRESHOLDがほぼ最大じゃないと動作しない。

NS-2はこんな物なのかと、ちょっとガッカリとこの時は思ってました。

同じ種類のコンデンサ

とりあえず直ったので終わりにしてもいいのですが、同じパーツが原因でまた壊れる可能性が非常に高いので、1uFの電解コンデンサを全部交換します。

ここの修理動画を沢山見てる人なら判りますよね?

電解コンデンサは経年劣化で1個壊れてたら、全部壊れてると見て間違い無いです。

ただここで私は大きなミスをします。

同じ種類の1uFだけが全滅してると思ってました。

後にハマります。

クリアランス

1uFの電解コンデンサを全部交換する訳ですが、家に大量に余ってたMUSE ESを使ってしまおうと思ったのが裏目に。

ニチコンMUSE ES 両極性

背が高くて収まりません。

仕方ないのでBOSSのDD-3でも使ったニチコンのUMWというオーディオグレードの電解コンデンサを使います。

貴重なニチコンUMW

このコンデンサ、なんと生産終了しているようです。

小型の電解コンデンサはなかなか良いのが無くて、修理で使うならこれ一択みたいな感じだったのに、これからどうしたらいいのだろうか?

この貴重な電解コンデンサを惜しげもなく使います。

全部交換したので、動作チェックします。

ギターアンプに繋いでチェック

せっかくなので、動作チェックにはLANEYのGH-100Lを使います。

センドリターンの付いた真空管アンプです。

下記の様に繋げてます

定番の繋ぎ方をします。
INPUT → ギター
RETURN → LANEY GH-100L SEND
OUTPUT → LANEY GH-100L RETURN
SEND → LANEY GH-100L INPUT

弾いてチェックをしてて、変なノイズが混じる事に気がつきました。

ノイズサプレッサーが動作した時にノイズが発生してる。

ミュートした時もノイズが発生する。

詳しくは動画を見てください。

OFF状態でも電源のノイズが大きい様な気がします。

動画内ではTC ELECTRONICのSENTRYと比較したんですが、あんまり意味無かったな。

結局全部交換

OFFの時の電源ノイズが気になったので、電源部分の電解コンデンサを交換します。

それとついでというか何というか、10uFの電解コンデンサも全部交換しちゃいます。
ノイズサプレッサー動作時のノイズも気になるので、これで直れば御の字。

そう、1uFの電解コンデンサを交換する時に、全部の電解コンデンサを交換すべきでした。

交換用の電源部分の電解コンデンサですが、100uFの背の低いコンデンサが手持ちで無かったので、120uFの個体コンデンサ使います。
同じく47uFも個体コンデンサにしました。

個体コンデンサ、いわゆるOSコン

10uFはニチコンのUMWです。

ひたすら交換作業します。

全部交換した後の達成感

動作チェックその2

交換が終わって動作テストします。

先程と同じく、DS-1繋げてます。

このDS-1はオペアンプが無くて変なの付いてます

ノイズの量も、動作も先程とは全然違う。

DS-1のノイズもちゃんと除去出来てる。

これがNS-2の真の姿だったんですね。

ギターアンプでチェックその2

LANEYに繋げてチェックもします。

ギターアンプでも問題なく動作

ノイズの量も違うし、ノイズサプレッサーの動作もしっかりしてるし、ミュートした時もノイズも出ない。

普通にちゃんと動作してるだけなのに、感動した。

それくらい、前の状態は酷かった。

でもこれ、気が付かないでそのまま使ってる人とか結構居そう。

まとめ

最後にスイッチの反応が良く無かったので、接点洗浄剤を吹いて修理完了です。

KUREの洗浄剤

電解コンデンサが原因で色々な症状の不具合が出ますね。

長年使ってて調子悪いと思ったら、電解コンデンサの全交換した方が良さそう。

YOU TUBEでは他にも色々エフェクターを修理しています。

ぜひ、チャンネル登録宜しくお願いします。



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