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BOSS CH-1の修理

BOSS CH-1 SUPER Chorusの修理です。

1989年に販売以来、現在も現行機種のコーラスペダル。

中身のバージョンが色々あって、一つの大きな違いは、BBD素子を使ってるバージョンか、デジタルのチップを使ってるバージョンか。

BBD素子が生産終了してしまって、やむえない処置です。

今回修理するバージョンは、デジタルのチップが使われてる物になります。

症状

症状を確認していきます。

音が全く出ません。スルー音もエフェクト音も。

電源のLEDもうっすら光ってるだけです。

電源に何か問題がありそうです。

中身の確認

裏側の4本のネジを外して、裏蓋を取り外します。

裏蓋が取れて、中の絶縁用の透明のシートを見ると焦げた跡が。

場所的に電源部分っぽいです。

基板を起こして、電源部分を見てみます。

電解コンデンサが爆発した跡があって、コンデンサ自体が無くなってます。

電解コンデンサが爆発してると、綿みたいなのが飛び散ります。

他にも色々焦げてて、ダイオードが焦げて無くなってます。パターンもかなり怪しい状態。

ここで作業がやりにくいと思い、ボリュームの基板も全部外しましたが、あまり変わらず、意味なかったです。

パーツの交換

ここから壊れてるパーツを交換していきます。

まず電解コンデンサを取り外し。

ここでハンダ自動吸い取り機のTP-100が壊れるというトラブル。
ヒーターが壊れました。
これは後日ヒーター交換をして動画にもしたので、気になる方は見てください。

仕方ないので手動のポンプ式を使います。
ホーザンのPT-109です。

なんとか取れたので、ここで周辺を掃除します。

電解コンデンサの中の電解液は基板を腐食させるので、全体的にフラックスクリーナーで根入り掃除します。

ここで電解コンデンサを先に取り付けてしまうと、他の作業の邪魔になるので、最後に取り付けます。

次は丸焦げ状態のダイオードを取り外します。

取り外したらテスターで色々チェックします。

チェックした結果、R36とQ6がショートしてます。

どっちが壊れてるのか判らないので、抵抗から外してチェックします。

抵抗を外しても、基板上のQ6がショートしたまま。
という事で、次はQ6を取り外します。

Q6のトランジスタを取り外して、基板上をテスターでチェックした所、ショートは解消してました。
トランジスタが壊れてました。


トランジスタが壊れてるのが判ったのはいいが、型番が全く判らず。
消失してたダイオードも型番が全く判りません。

デジタル版の回路図を持ってたらよかったのですが、アナログ版しか持っておらず。

アナログ版の回路図をボーッと見てて、ある事に気がつきました。
電源部の回路は殆ど一緒でした。

アナログ版にも安定化のトランジスタが付いてました。

アナログ版は2SC1685。パッケージは勿論普通の自立式のTO-92なので、この基板には付きません。

これに似た特性のチップのトランジスタを探さなくてはなりません。

ここで家に偶然あった2SC2712 BL。

店舗があった時代の鈴商で購入

データシート見たらhfeが若干高いだけでほぼ一緒。
足の順番も確認したら、基板上と全く一緒。

という事で、この2SC2712 BLを使います。

ダイオードは最近のBOSS製品には40V 1Aのショットキーバリアダイオードが使われてるみたいなので、同じ仕様の物を付けようと思ったのですが、手持ちがない。

探してあったのが、SS2040FL。40V 2Aのショットキーバリアダイオード。

かなり昔に秋月電子通商で購入

どーせ9Vしか繋がないので、これぐらいの仕様の差は大丈夫。

SS2040FLを使います。

外した抵抗を戻して、ダイオードを取り付け。
ダイオードは方向を間違わないように。

ここで、剥がれてたパターン周辺をチェックしてたら、スルーホールになってるパターンが断線してる事が判りました。

調べてみると、グランド部分です。

これを先に直しておきます。

パターン修正用の細いケーブルを表面のグランド部分に繋げます。

この部分は裏側のグランドにも繋げってるの確認済み。

次はトランジスタの取り付け。

最近のBOSS製品には2SC4117が使われてるので、元に付いてたのもこれかもしれない。

回路図が発見でき、トランジスタは2SC4116GRでダイオードはGS1Gでした。

次は電解コンデンサ。上のボリュームの基板に干渉しそうなので、背の低い物を使いました。
ニチコンのMW、オーディオ用の物です(生産完了品)。

電源部の作業が終わったので、仮のチェックです。

電源入れて不具合が無いか見ます。
前に直したEBS MULTI COMPは煙出たからね。

煙も出ず、LEDもちゃんと反応しとりあえずOK。

音のチェックしたいので、ボリュームの基板も戻します。

交換後のチェック

直ってるか確認します。

音は出るようになったが、エフェクトが掛からない。

エフェクトを切り替えてもドライ音のまま。

エフェクト部分に何か問題があるみたい。

5Vレギュレーター

ここでバラしますが、デジタルのICを動かすには、大抵3.3Vか5Vなんですよ。

このデジタル部分が追加されてるということは、レギュレーター的な何かの回路が追加されてるはずなんです。

しかも今回電源部分が壊れてたので、ここが壊れてるだろうと予測してた。

コーラスのデジタルICがES56028という物で、ここの1番ピンが電源。

基板左下の大きいICがES56028

ここに5V来てるはずが、2.3Vしか来てない。

正確には2.344V

5Vを作ってる所があるはずなので探したらありました。

S812-50SGという5VのCMOSのレギュレーター。

お初にお目にかかったS812

正直、初めて聞くパーツ。

これ実はめちゃくちゃ焦った。

聞き慣れないパーツだったので、手に入るのかがめちゃくちゃ心配だった。

そしたら、秋葉原の秋月電子通商であっさり見つかりました。

8個入りでこの値段

ただし、細かい型番が違うみたいなんだけど、どっちにしろこれしか手に入らないので、付けて試すしかない。

壊れたレギュレーター外して、新品を取り付け。

取り付け終わり、音出す前に電源計ります。

5Vきっちり来てます。

1/100の誤差もなくキッチリ5V


動作チェックします。

エフェクトも無事に掛かり、各ノブも反応してます。

やっと直りました。

長かった。


最後は掃除して組み立て。

焦げた後は拭いても取れなかった。

組み立て終わって、これで修理完了。

音のチェック

修理が終わったので音のチェックします。

気になる方は動画の方で実際の音をチェックしてください。

アナログ版も持ってたので、今回のデジタル版と比べてみました。

録音環境だとあまり差がなかった2台

実際のアンプで弾いて、自分の耳で聞き比べたらもうちょっと違いが判ったかも。

使ってる環境、特にUAのOX AMPが良い音なんだけど、あまり繊細な音ではない。

録音される音も限界あるので、音の違いは聞き分け出来なくなっちゃう。

そんな感じなので、参考程度にしておいてください。


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