見出し画像

electro-harmonix Q-TRONの修理

electro-harmonix Q-TRONの修理です。

エレハモのQ-TRONって、色々なバージョンが存在します。
エレハモあるあるかもしれません。

こちらのバージョンはセンドリターンが無いロゴがグリーンのモデル。

現在は生産されてないグリーンロゴ

日本エレクトロハーモニクスのHPの更新情報で見ると、2008年に掲載された様ですが、Q-TRON+の後なんです。
現在はこのグリーンロゴのQ-TRONは販売終了してるんですが、Q-TRON+よりも後に販売されて、先に販売が終了したのかな?
この辺は詳細不明です。

ある意味レアなQ-TRONなのかもしれない。


症状を確認していきます。

どこかで見た症状

電源は入っている様ですが、エフェクトが掛からず、ドライ音も出ない状態。

そして、フットスイッチの調子も悪そう。

この症状、覚えている人は居るだろうか?
以前に修理したMICRO Q-TRONと全く一緒なんです。

修理は経験値

バージョンは違えど同じメーカーの同じモデルで同じ症状。
同じところが壊れてると考えるのがスジです。

以前も壊れてたロータリースイッチが一番怪しい。


分解してチェックしていきます。

裏側の4本のネジを外して裏蓋を取ります。

電池が入らないのは電源が18Vだから

基板の裏側が見えました。
ここでロータリースイッチの端子も見えるので、まず最初に確認していきます。

テスターでチェック

以前も壊れてたモード切り替えのロータリースイッチをテスターで確認したところ、下側が通電無く壊れてる事が判りました。

ここで1箇所ショートさせて音が出るか確認する事にしました。
クリップが引っかからないので、直接配線を繋げる事に。

端子同士をバイパス

ここで一旦音を出して確認、音は出る様になったんですが、何か変。
OVERLORDのLEDは反応してるんだけど、可変してない感じ。

OVERLORDは反応してる

このままではスイッチ交換も調べることも出来ないので、基板を外します。

ボリュームノブ、ナット、ロータリースイッチのナット、フットスイッチ、ジャックのナットを取り外します。

11mm、12mm、14mmのレンチが必要

ここで、思わぬ落とし穴。
基板がケースから外れない。

基板が外れない

ジャックの飛び出た部分がケースに引っかかって取れないんです。

物理的に考えると、基板を内側に曲げて、ケースの穴からジャックの飛び出た部分を外すしかないんだけど、そんな簡単には出来ん。
基板が破損したら元もこうも無い。

15分くらい色々試して答えが判りました。
イン、アウトのジャックにプラグを挿します。

プラグイン!

そうすると、プラグの外側の部分からジャックに力が掛かって、基板が曲がってケースの穴からジャックの飛び出た部分が外れる。

世紀の大発見

ただ、挿しっぱなしだと、勿論基板は取れません。
ケースの穴からジャックが外れた時点でプラグを抜いて、基板を引き出します。
これも素直には外れず、両側を少しずつ持ち上げてやっと基板が外れました。

凄い達成感

基板を外すのにこんなに苦労するとは…

外した基板をよく見ると、パーツが付いてない箇所がいっぱいある。
Q-TRON+と共通の基板なんですね。

基板はQ-TRON+と共通の様です


まず、モードのロータリースイッチを交換します。
これを交換しないと、音が出ないので、他の症状も確認出来ないんですよね。
それと、ALPHAの新品のスイッチがあるんですよー。

このスイッチはALPHAの2回路4接点。

値段も安い

なぜか秋月電子で売ってます。

秋月電子さん、2回路3接点と2回路2接点のスイッチも取り扱ってくれ!

ただし、このスイッチはそのままでは使えない。
なぜか土台のネジの部分の長さが違う。

軸の長さは一緒なのに固定の長さが違う

なんで秋月さんで売ってるのは仕様が違うのかは判りません。

とにかく、そのままでは使えず、土台以外の中身を入れ替えるしかないんです。

まずスイッチを基板から外します。

外したスイッチを分解します。

この作業はたぶん1度しか出来ない。2度目は爪が折れそう

4本の爪を起こすと外れます。
予想通り、スイッチの接点部分が外れてました。

これを固定してるプラスチックが取れてます

土台のケース部分以外を新品から移植します。
軸の方向が決まってるので、組み立て時は要注意です。

軸の方向は必ず確認

これでスイッチが完成。
取り付ける前にテスターで動作確認。

付ける前に必ず確認

動作OKだったので、このまま取り付け。

取り付け終わり、音が出るか確認します。

音は出たが完璧では無い

音は出ましたが、やはり可変してないです。

修理あるあるなんですが、壊れたパーツは全部怪しい。
という事で、他のロータリースイッチも調べる事に。

案の定、SWEEPのスイッチが片側反応せず。

やはり死んでる…

試しにクリップでショートさせてみます。

こうすると音が変化します

そうすると、見事に音が可変しました。

SWEEPのロータリースイッチも壊れてました。

これだけロータリースイッチが壊れまくってるって事は、全てのロータリースイッチが怪しいって事。

ここで大問題が出てきます。
このSWEEPのロータリースイッチ含め、他の2個も2回路2接点。
どこ探しても売ってない。

4接点を改良するか、2接点を修理するかの2択になります。

4接点のスイッチが手元に無いっていうのもあったんですが、2接点の修理の方をやってみる事にしました。

本番をする前に、壊れた4接点の方を試しに修理して見ます。

捨てようと思ってた残骸を練習台に

色々な修復方法を考えたんですが、樹脂系を強力に接着できる接着剤を探して、プラリペアに行き着きました。
プラリペアを使って外れた接点のパーツを付けたいと思います。

接点は穴が空いてて、ここに樹脂というかプラスチックというか、それが溶かされて止まってる状態。溶着っていうのかな?
これが劣化して緩くなって取れちゃう。
この穴部分にだけプラリペアを付けても面積が小さくて強度が心配。
という事で、この穴を広げてプラリペアを流す事で接着する面積を稼ぎます。
これは車の樹脂系のバンパーとか直す時にも使うテクニックです。
ピンバイスで穴を広げて、位置決めでちょっとだけ多用途接着剤使って、プラリペアを流します。

ピンバイスで少し大きめの穴を開けます

ここで気がついたんですが、周りの縁というか枠にも着く様にすれば強度が増しそうなので、そこまで広げました。

プラリペアを穴に流して薄く広げる

30分ほど経って、接着した結果を見ます。
かなり強力に付いてます。

ピンセットで揺らしてもガッチリ固定されてるのが判る

明らかに元の状態より強力。
プラリペアはプラスチック、樹脂意外にも金属もある程度着くという事が判りました。
これは凄い。

端子が正常に動作するかスイッチを組み立ててチェックします。
テスターで調べたところ、問題無し。

必ずチェック

この作業でロータリースイッチの修理はいけます。

修理方法は分かりましたが、これを3個、2接点ずつやるという、まさに地獄の作業。
もうやるしかないです。

動画内ではあっという間に終わってますが、ダラダラ作業してました。

作業してる元データは残ってる

全部の作業が終わり動作チェック。

全て正常に動作。気持ちいい〜

全部のツマミ、スイッチが動作して、勿論、音も可変して、完璧です。

そして、忘れてはいなかった、フットスイッチの交換。

これは単純に取り外してALPHAのフットスイッチに交換しました。

端子が大きいのでホーザンのPT109使ってます

そしてハンダをした部分をフラック掃除して組み立て。
取り外す時に散々苦労した基板は、割とあっさりケースに入りました。

入れるのに苦労すると思いきや

やっと修理完了です。

遂に修理完了


直ったので音のチェックをしてみます。

音は良いです。使ってて面白い。
ツマミやスイッチが沢山あるので、色々な音が作れます。
音も太い様な気がします。

持ってたMICRO Q-TRONとも比較してます。

音はQ-TRON、使いやすさはMICROって感じ

これはどっちも甲乙付け難い。
両方とも、微妙に音の位置が違うので、好みが別れそう。

音が気になる方は動画の方でチェックしてください。

YOU TUBEでは他にも色々エフェクターを修理しています。
ぜひ、チャンネル登録宜しくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?