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BOSS DD-3A 台湾製 ピンクラベルの修理

BOSSのDD-3の修理なんですが、これは台湾製の初期に生産されていたピンクラベルの物です。

ピンクラベル

DD-3は生産時期によって、色々なバージョンがあります。

日本製のブルーラベルの後に生産された物だと思います(間違ってたらごめんなさい)。

このピンクラベルの物はBOSSの社内ではDD-3Aという型番だったみたいです。


症状を確認します。

LEDは点灯してます

エフェクトが掛かりません。

ONするとドライ音は出てます。


分解して中身をチェックしてみます。

裏蓋の4本のネジを外して、裏蓋を外します。

プラスのネジ4本

早速基板が見え、フラットタイプの大きいICが見えます。

DD-3Aの最大の特徴

このICが日本製のDD-3との大きな違いになります。

日本製のは大きいDIPタイプのICが付いてました。ROLANDのSDE-3000と同じチップと呼ばれてた物だと思います。

基板の表側を見ると、日本製のDD-3と同様に、パーツがぎっしり。

日本製と同じくパーツびっしり


故障箇所を調べていきます。

ここで最初に書いておくんですが、実はこの本体は10年以上前に手に入れた物で、修理しようと思ったんですが、直りませんでした。

その時は、回路図が無く、どこを調べていいのかも判らず、ずっと放置してました。

それが去年のいつだったか、サービスノートが見つかって、ちゃんと調べられるようになりました。

と言う事で、どこまで信号が来てるか調べていきます。

インプット→バッファ→IC2のNE570→IC3のHD14066BPまでは信号が確実に来てます。

IC3までは信号きてます

この出口を見てもよく判らないのと、IC3のHD14066BPとその後のIC5のNJM311Dの新品があるので、交換した方が早かったので、交換してしまいます。

故障箇所を除外する為にも交換

実際交換作業は数分で終わって、直らなくても故障箇所から除外出来るので、やっちゃった方が何かと楽。

交換終わって、動作確認しましたが、直ってませんでした。

直ってなくても成果あり

この時点で、IC7のインプット部分にまでは信号が来てるのは判りました。

IC7自体が死んでるか、IC7から出た信号が、アウトプットのバッファまでのどこかで途切れてるかのどちらかです。

この後、動画でグダグダ作業してるんですが、IC2bに信号来てるの確認してて、E.LEVELの直後の電解コンデンサCO50にも信号来てるのを確認してました。

どういう状況かと言うと、音は出てるんだけど、ディレイが掛かってない状態なんです。

そうなると、故障箇所は2つに絞られます。
BOSSが独自に作ってるIC7のMN51010RBAか
IC6のメモリーDV41464P-10のどちらかが壊れてます。

IC7はDSPやAD/DAやMCUなんかが入ってるICなんじゃないでしょうか?
これはBOSSのICなので、入手は無理だと思って諦めてました。

残る希望はIC7のメモリーです。

これも実は困った事に、サービスノートに書いてあるパーツと違う物がこの本体には付いてたんです。
変換基板が付いてて、DIPタイプになってます。
パーツの入手が困難になって、互換のあるメモリーに変わったんじゃないですかね。

変換基板の付いたメモリー

このDV41464P-10っというメモリーを探したんですが、売っておらず。
当たり前っちゃ当たり前で、クロックも容量も小さいメモリーなんて手に入る訳が無い。
64MBのCFカード探すのと一緒です。

それでダメ元で、サービスノートに書かれてるメモリーを探しました。
型番はM5M4464L-12で、これも無かったのですが、これと似た型番のM5M4464AL-12というのが見つかりました。

以前にDS-1をいじった時にもありましたね。「A」と「AL」。
三菱のICにはあるあるなんでしょうか?

この「A」と「AL」の違いが全く判らない!
たしかデータシート探しても判らなかったんじゃないかなー。

もう一つ困ったことは、このM5M4464AL-12売ってたんですが、2個で900円という、とっても微妙な値段。
900円のパーツを使ってこのDD-3を直す価値があるのだろうか?

直るか判らんパーツに900円は結構な冒険。

数ヶ月悩んで、購入しました。

意を決して購入したメモリー

GOOTのTP-100を使い、メモリーの交換作業は数分で終了。

GOOT TP-100

動作確認をしました。

な、なんと、遂に、エフェクトが、ディレイ音が、鳴ってます!

数十年ぶりに、このDD-3は復活しました!

脳汁出まくりですw

僅かな可能性に賭けてメモリーを交換して大成功。


この後、交換したパーツは全て元に戻して、基板を掃除して、裏蓋を閉めて、修理完了です。

数十年ぶりに蘇った


DD-3のブルーラベルの日本製とピンクラベルの台湾製とグレーラベルの台湾製の音を比べてます。

中身の違うDD-3、3台


気になる方は、動画で音を確認してみてください。

ブルーとピンクはさほど差は無いと感じましたが、グレーは綺麗な音で最近の音って感じでした。


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