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electro-harmonix SMALL STONEの修理

electro-harmonix SMALL STONEの修理です。

某ショップの初期不良品修理シリーズ第三弾!

いつの間にか大きいサイズのSMALL STONEが無くなって、このサイズの物が現行品になってます。

このド派手なデザインになったのもいつからでしょう?

裏蓋のマークが上下逆さまなのが気になる。

症状確認

症状を確認していきます。

エフェクトをONにしても、全く音が出ません。

初期不良なので、予想がなかなか難しい。

分解チェック

とりあえず、裏蓋外してチェック。

ここで私は重大なミスを犯しています。

症状からして、フットスイッチを最初にチェックしなきゃいけません。

なぜチェックしてないのか?それは事前にチェックしてて壊れてないの確認してたからです。はい。

フットスイッチは壊れてないので、基板を取り出します。

BIG MUFFの時と同様、フットスイッチにワッシャーが入って無いので、傷がつか無い様にナットを外します。

基板が取り外せました。

正弦波でチェック

信号がどこまで行ってるのか、ファンクションジェネレーターを使って1Khzの正弦波を入れてオシロスコープで見てみます。

インプットからフットスイッチに行き、その後に抵抗とコンデンサを通って、オペアンプの3番に入ってます。

このオペアンプはバッファーのオペアンプでしょう。

この出力の1番に信号が来て無い。2番にも来て無い。

ここで完全に死んでます。

初期不良でオペアンプが故障してるのは、結構稀なケース。

なんか気持ち悪いといか、変な感じ。

このオペアンプなんですが、基板に型番が書いてあって、TLC2272CDの様です。

これが売って無いんです

半導体不足なのが原因なのか?そもそも日本では全く流通してないのか?
バッファーなのに、なんでCMOSのオペアンプを使ってるのか?

よりによって、なんでこれが壊れてるんだ?

オペアンプ交換

全く同じ物は海外から取り寄せになるので、少数では買えず。買えても高い。

オークションサイトで探したら売ってるのを発見したので、購入しました。

値段は結構しました。これが適正価格なんだと思う。

買ってそのまま使えるかと思いきや、パッケージ(大きさ)が微妙に違ってました。

あまり確認しないで買ったのも失敗なんですけど、どっちにしろ売ってる物がこれしかなかったので、判ってても買ってた。

買った物はSOP8っていうパッケージで、端子のピッチは一緒なんですが、幅が広い。JRCの表面実装オペアンプがこの大きさ多いイメージ。

元々付いてたのはSOIC8というパッケージで、海外メーカーはこの大きさのが多いイメージ。

問題は、基板に上手く付けられるか。これ逆なら全然取り付け出来るんだけどね。

元のオペアンプを基板から外します。

フラックスを多めにして、ハンダをたっぷり盛って、両側の端子を温めながら取りました。

パターンに残った余分なハンダをハンダ吸い取り線で吸い取ります。

ここで一度フラックスクリーナーで綺麗にします。

次は取り付け。足が上手くパターンに乗る様に1箇所ハンダをして、全体をハンダします。

全部ハンダして、動作確認しましたが、見事に直っておらず!

波形をいれたりテスターで導通を調べたりして、オペアンプの1番、2番の先がどこにも繋がって無い状態なのが判りました。

パターンがおかしいのか?と思いつつ、もう一度オペアンプを外す事に。

オペアンプが付いて無い状態で、1番、2番の先の導通を調べたら、普通に導通がありました。

つまり、単なるオペアンプの取り付けミスです。

足の幅が合って無いと、こんなものなのか…。
具体的には、基板のパターンの方に熱が全く伝わって無かったんじゃないかな。

パーツがどっちにしろこれしかないので、なんとか付けるしか無い。

結局、足を内側に曲げて幅を狭くする事にしました。

ラジオペンチで幅を狭めたが、よく見えず

こうすればパターンのハンダ面にしっかり熱も伝わります。
少し浮いた状態で取り付けになりますが、重くも無いので問題なし。

音出し前にテスターでチェックして問題なし。

アンプに繋いで動作チェック。

エフェクトONで音が出る様になったが、フェイザーが掛から無い。

初期不良で2箇所以上壊れてるとは経験上信じ難い。

ここで思った、かなりのハズレを買っちまったと

2つ目の故障箇所

どこが生きてるか一つ一つ確認していきます。

フェイザーというエフェクターは、何箇所かで位相を変化させてるエフェクターで、このSMALLSTONEはNJM13700というオペアンプで位相を変化させてる。

このオペアンプは2回路入りで2個使ってるので、合計で4箇所。4層なんて呼ばれてます。

ちなみにこの前直したMXRのPHASE100は6層です。

ここに音が来てるか正弦波でチェックしましたが、全て来ていて正常です。

そうなると、動作して無いのはRATEの部分。

ここはLFOの回路を使って電圧を上たり下げたり、振幅の幅を調整してると思われます。(回路図を正確に見てないのでおそらく)

その電圧を調整してるのが、出てきましたTLC2272のオペアンプ!

お前はここにも居たか!

これを見た瞬間に私は察しました。

このロットのオペアンプ不良品だらけだったんじゃん!

初期不良の意味が判りました。

ここにCMOSのオペアンプじゃなきゃいけ無い理由は、私には知識がなく、よくわからず。普通のTL072とかでも動きそうなんだけど、どうなんだろ?

とりあえず、2個買っておいたので、前の交換した時と同じく作業します。

修理とか自作とかのパーツは余裕があれば1つは余分に買っておきましょう。

交換終わり動作チェック。

エフェクトも無事に掛かり、やっと直りました。

あとは掃除して組み立て、修理完了。

音のチェック

修理後の音が気になる方は動画でチェックして見てください。

トグルスイッチを上にすると、かなり深くエフェクトが掛かるので、録音機材の方がレベルメーター振り切ってノイズになっちゃいました。

ギターアンプからの音は大丈夫だったんですが。

この辺は機材の相性とかあるかも。


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