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おやすみプンプン感想【人はいつだって幸せになれるのではないか】

昔から気になっていた漫画だったがやっと読めた。(今劇場で公開している『デデデデ』を見る前に読んでおこうと思って)
僕にはこの漫画を面白く紹介できるほどの知識と文才がないので今回は殴り書きのミニ記事で。(初見で読んだ感想を残しておきたいという気持ちが強いので)

〇小学生編について 
やはりプンプンの心情を説明するモノローグが特徴的であり心に来る。
このモノローグはプンプンが成長するにつれて次第に少なくなっていくのだが、そこがリアルである。
また、大人の人物で明らかにテンションが変な人物がいるのだが(プンプンの担任、校長、教頭、町の外国人など)プンプンという子供目線で見た大人はああ見えているのかもしれないという描写もうまい。(こちらもプンプンが成長するにつれて次第になくなっていく)

個人的には離婚するときに父親が最後に「プンプン~愛してるよ~」と言ってくるくだりで泣きそうになってしまった。

また、この章でプンプンが星や宇宙に対して持っているあこがれは今後非常に重要なシーンである。

〇序盤の雄一おじさんと翠さんの話について
この漫画において一番最初にハマったのはたぶんこの話である。
自殺をしようとする叔父さんと、それを助ける翠さんのくだりは極上の恋愛漫画みたいであった。(正直ここらへん叔父さんの話が気になりすぎてプンプンの話はどうでもよかった)

雄一おじさん、たぶん読者みんな好きだよね。

結局あんなことがあったのに雄一おじさんは浮気をし、失踪をしてしまい翠さんはああいうことになってしまうわけだが、自分は翠さんがああなってしまったのは雄一おじさんが悪いと思う。(翠さんに寂しい思いをさせたおじさんが悪い)
ネットで翠さんの名前を検索すると「翠 クズ」などと表示されるが、一言でそう言ってしまうのはちょっと短絡的ではないだろうかと思う。

ググったらこんな感じのサジェストが出る

しかしまぁ純真でかわいいこの漫画の清涼剤みたいな翠さんもああなってしまうのだから生きるということはなんとまぁ…

〇お母さんが死ぬ当たりの話について
泣きそうになってしまった。
離婚したプンプンの父が当てていたと思われていた手紙は実は母が書いていたものだというのが分かる辺りや死ぬ前の母の吐露なんてもう…
「一人は寂しい」ということや「恋や愛の素晴らしさ」が描かれた章だったと思う。
コミックスのカバー下の写真も心にズンと来た。

〇教習所で免許を取るあたりの話について
女を抱くためにアパートの隣に住んでいるリア充男の名前を語り教習所で出会った女の子(この子がまぁめちゃくちゃかわいい。作中で一番かわいい。)を抱くあたりのシーン、いや~きついっす。
我に返ったプンプンが「ごめん」と言いそのまま別れるシーンが辛い。作中でも言われているがプンプンは根が優しいのでそこがまた辛い。

〇愛子と再会するまでの話について
この漫画、人の優しさの描写が上手いのだが、幸せになれそうなのにどん底に突き落とされる描写も容赦がない。
アパートの大家さんが万引きの冤罪で下半身不随になるくだりとかもう…

〇愛子との逃亡編について
やはりこの漫画は最終章であるここに集約されると思う。
ヒロインでありプンプンの運命の人である愛子を束縛、虐待してきた母を過剰な正当防衛で殺してしまうことから始まる逃亡編。
もうここらへんがホントキツくて仕事に支障が出そうになった。(いやまぁこの作品はどの巻も鬱々としていて精神にドンと来るのだが…)

人を殺したことによる罪悪感からどんどんおかしくなっていくプンプンと愛子の描写がもうきっついきっつい。
所持金もだんだん少なくなっていくしホテルに泊まった時の領収書の描写とかいちいちリアルすぎて精神にクる。(この漫画は全体的に描写がリアルすぎてそこが精神にクるのである)

https://x.com/ebebebe04/status/1794201328589385788


筆者の好きな作品であるPCノベル『CARNIVAL』の後日談小説でも人を殺したことにより精神に支障をきたし、最後には主人公が首つり自殺をしてしまうが、やはり「人を殺した」という事実は人をおかしくしてしまうのだと思う。

愛子の母を殺してから頭に角が生えたような姿になったプンプン(怖い)が、種子島のロケット発射台を見て昔の姿のプンプンに戻ったところは泣きそうになってしまった。(こういう描写、やっぱり漫画ならではだよなぁと)

ここで罪の意識から心中をしようとするプンプンに「実は母を殺したのはプンプンではなく、とどめを刺したのは自分だった」と吐露する愛子がまた泣ける。ここの愛子はプンプンに罪の意識から解放されてほしいという想いと正直に告白して楽になりたいという2つの想いがあると思うのだが、やっぱり前者の気持ちが大きかったのではないかと思う。

『最終兵器彼女』や『イリヤの空』の逃亡パートでもそうなのだがこういう逃避行は必ず終わりを迎える。
愛子の子供のころからの夢であった鹿児島での生活も愛子の母の死体発見、乗ってきた車が警察に発見というニュースの報道によってあっけなく終わりを迎える。

焦りや母親に刺された傷の痛みからだんだんと精神に支障をきたしていく愛子の描写は本当にリアルだった。

最終的にプンプンと愛子は結ばれるが愛子は罪の意識からか、プンプンをこれ以上巻き込まないようにするためか、首を吊って死んだ。
(PS.後から感想記事を見て知ったんだけど「幸せの絶頂の瞬間に死にたい」という昔からの夢が叶ったから自殺したんだな愛子。それはそれで一種の幸福か)

この後、愛子の死体をおぶって歩くプンプンのシーンが本当にかわいそうだった。

〇この漫画のラストについて
全部読んだ後にこの考察を読んだのだが、なるほど興味深い。
全部が全部この通りだと思わないが、(これだとお母さんと晴見の描写に説明がつかなくないか?)おおむねこれで当たっているのではないかと思う。

自分はあの変な宗教団体はプンプンと幸さんを再開させるための舞台装置的なものだったのかもしれないと思っている。
もしかしたらあの団体が言っていた世界の終わりが本当に近づいていたが、それがギリギリのところで回避され、それが流れ星という形になったのかもしれないとちょっとだけ思ってしまった。(最後の愛子へのモノローグで「世界は滅亡しないのだから生きていくしかない」とプンプンが愛子に語っているため。ここらへんはいつか読み返したときにじっくり考えてみたい)

この漫画の最終話の久しぶりに再会した晴見から見たプンプンたちの描写は本当に感動した。
あんな体験をしたプンプンも晴見から見たらそれなりに幸せな人生を過ごしているように見えたのだ。

プンプンにとって世界で一番大事な人は間違いなく愛子だった。愛子のためにプンプンは幸さんやその周りにいる人を一度すべて捨てた。

しかしその愛子を失ったプンプンを立ち直らせ、ささやかな幸せを与えたのは幸さんたちだったのだ。
なんてすばらしい話だったのだろうと思う。

思えばこのおやすみプンプン、不幸やどん底を味わった人間でも多くの人物が幸せになっている。

離婚をしたプンプンの父親もそう、雄一おじさんや翠さんもそう(雄一おじさんは幸せを得ることに恐怖を感じていますがアレは一生直らないでしょうね(笑))、過去のトラウマから火を恐れていた関くんもそれを克服し、親友である清水を救いました(清水は記憶を失ってしまったんですかね? 死人たちと一緒にUFOに乗っていたし)。冤罪で下半身不随になったアパートの大家さんもラストシーンでは楽しそうに笑っています。

結局自殺をしてしまった愛子がプンプンに「死んだらおしまいだ。死んだらダメなんだ」と言っていたが生きてさえいればそれなりの幸福は得られるのかもしれない。この漫画から私が学んだことはそれである。

〇最後に
雄一おじさんの子供にプンプンが日ごろから見えていた虚構の神様が映っていたり、ラストシーンの子供がプンプンと愛子の出会いのシーンを彷彿とさせたりともしかしたらまた似たようなことが起きるのかもしれない。
でもそうはならないかもしれないという希望もある。(進撃の巨人のラストもこれに似てるよなと)

とにかくこの漫画、最終話の晴見から見たプンプンの姿、それに尽きるなと思います。

まだまだ語りたいことはいっぱいあるのですが、まぁこの作品を良い感じに紹介するのは今の僕にはまだできません。(せめてもう1回読み返さないとだめだろうなぁ)なので今回はこんな感じで。

う~ん、次はあと18話で見終わるバイファムを見て、デデデデ後章を見て、トラペジウムを読むかなぁ…


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