俺の仲良い人を許可なく勝手に紹介するコーナー 第二弾

今日紹介するのはサークルの後輩のヘビーである。ヘビーというのはあだ名である。


生い立ち

こいつの生い立ちはかなり特殊である。彼はもともと韓国の釜山で生まれて生後2ヶ月で顔がとんでもなくアホそうという理由で、実の母親に作りすぎていらなくなったキムチとともにビニール袋に入れられて海に捨てられた。そしてどんぶらこと流れ着いた先が釜山の対岸にある福岡県の糸島である。そこに1人の若い海女さんが通りかかった。うまそうな香りがするなと思ってビニール袋を開けてみたら中に赤ん坊がいるではないか。その海女さんは一回家に持ち帰ってキムチ漬けになった赤ん坊を洗ったが、その顔を見た途端に自分では育て切れないことを確信して、105円で親戚に売った。そのうち5円は消費税として国に納めた。ヘビーを買った親戚のおばちゃんはもう3人の実の子供を育てきっており、暇だし安かったのでヘビーを買った。そのおばちゃんの名字は中原で、キムチ漬けにされてたヘビーは奇無知(きむち)と名付けられた。だから彼の本名は中原奇無知である。ヘビーというあだ名は体重が重そうだからという理由で、小学校の時に担任からつけられ、以降ずっとそのあだ名でみんなから呼ばれているらしい。

ヘビーとの出会い

俺とヘビーとの出会いは埼京線の電車の中である。1年前の俺は何もかもうまくいかず自暴自棄になっていた。そこに中原奇無知ことヘビーが横に座ってきて俺に話しかけてきた。あとで聞いたら俺の顔があまりにも深刻で矢も盾もたまらず助けたいと思い、俺に話しかけという。そこで男はつらいよという映画の話題で俺らは意気投合した。そして仲良くなったので新宿に着く頃に俺はヘビーに「俺が所属する横浜国立大学お笑いサークルわかばに来ないか?」と誘った。最初はヘビーはあまり乗り気ではなかったが、「巨乳のねーちゃんがありあまるほどいるよ。」と言ったらそれまで横にしか振らなかった首を急に縦に振り出してサークルに入ることを即決した。

入会後

彼は入会後第一弾で紹介した末吉と土戸というやつとお風呂場ダンサーホッグアンドパッツ(通称フロダン)というトリオを組み、またたくまにスター街道をかけあがったのだが、半年後にお笑いを頑張っても女の子に全然モテないことに気づいて、つまならなくなりお笑いをやめた。人気絶頂のさなかだった。そして俺に向かって「おい!お前が巨乳のちゃんねーがたくさんいると言ったけん、サークルに入ったっちゃけど、全然女の子にモテないやないか。お前どう落とし前つけてくれるんじゃ。」と言ってきたので、腹が立った俺はいろいろ彼に心無い言葉を言ってしまい、そこから喧嘩別れになってしまった。そしてその日からサークルに彼は来なくなってしまい、連絡も途絶え、行方がわからなくなった。

奇跡の再会

昨日俺がちょっと酒を飲みたいなと思い、高円寺の立ち飲み屋に入ったところそこに髪型が高倉健に似た男がタバコを吸いながらハイボールをグビグビ飲んでいた。呂律が回らないほど酔っ払っていて、明らかに人生に絶望した目つきをしていた様子だった。俺はあまりにもその男が不憫になり、「にいちゃん、大丈夫か?」と話しかけた。その男の顔をまじまじと覗いた瞬間に俺はヘビーであることを確信した。行方をくらましていたかつての友と奇跡の再会を果たした。俺はヘビーにあの時のことを謝った。そしたらヘビーは泣きながら俺に「江端さん、もう許してもらえないんじゃないかと思ってました。俺あなたに会いたかったんですよ。」と涙ながらに言ってきた。あんなに頑なに博多弁しか使わなかった男が、標準語を喋るようになったことに気づき、俺はこれまでのヘビーの苦労を想像して彼を労った。1年ぶりに再開したヘビーはやつれていた。そして、俺に「わかばに戻ってきていいですか?」と聞いてきた。俺は「もちろんだ。ずっと戻ってきてくれることを信じていたよ」と彼に言った。お風呂場ダンサーホッグアンドパッツの逆襲が今始まろうとしている。

ヘビー

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