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ドラゴンボールは何故私たちの魂を震えさせたのか【フリーザ編】

父の書斎にあったドラゴンボールを初めて読んだのは、小学校低学年の頃でした──。

1999年(平成11年)生まれの私は、世間的に言えばドラゴンボール世代ではないのですが、父の影響で『ドラゴンボール』や『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』『スラムダンク』など、その他多くの昭和の名作たちに触れてきました。なので、大変おこがましいのですが、自分自身はドラゴンボール世代だと思っています。

ドラゴンボールを読んだ時は小学生低学年だったこともあり、主人公の孫悟空が圧倒的パワーでバッタバタ敵を倒していく爽快王道少年漫画、という印象でした。

しかし、ある時以下のようなX(旧Twitter)の投稿を見て、「今思えばドラゴンボールは物語としても完成されていたなぁ」と感じました。

ナメック星三つ巴ドラゴンボール争奪戦は

・レーダーを持ち、索敵と隠密を行える主人公陣営、弱い
・索敵と隠密はできるがドラゴンボールの場所はわからないベジータ、フリーザ軍幹部クラス
・索敵もレーダーもないフリーザ軍、最強

の情報と強さが反比例した三陣営がごっちゃリしてるのが楽しすぎる

今回はフリーザ編について、物語を振り返りながら、幼少の頃と比べてどのような感じ方の変化があったのかを書いていきたいと思います。

地球組の目的

おかっぱ頭の孫悟飯かわいいですね。ドラゴンボールのキャラは髪型や格好がコロコロ変わるので、そういうところを見るのも楽しみでした。

ベジータ・ナッパの二人が地球に襲来し、ヤムチャ・天津飯・チャオズ・ピッコロが殺されてしまいました。
ピッコロと地球の神様は一心同体のため、ピッコロが殺されてしまった段階で神様も死んでしまい、地球のドラゴンボールも無くなってしまいます。

サイヤ人に殺されてしまった仲間たちを生き返らせるべく、孫悟飯・クリリン・ブルマの三人は宇宙船に乗って、ドラゴンボールがあるという神様の故郷であるナメック星に向かうことに。

  • 孫悟飯:孫悟空の一人息子であり、ピッコロの一番弟子。

  • クリリン:孫悟空と共に亀仙人(武天老師)のもとで修行した仲間。

  • ブルマ:ドラゴンボールの位置が分かるドラゴンレーダーや今回の宇宙船の開発者であり、悟空とドラゴンボールを探す冒険をした仲間。

GTの時にも思ったんですが、ドラゴンボールって面白い組み合わせのパーティにすること多いですよね。当時、悟飯・クリリン・ブルマの三人パーティは違和感しかありませんでした(笑)

ちなみに、孫悟空はベジータ戦の消耗もあり、回復してから追いつくことになります。

フリーザ陣営の目的

ナメック星の神龍は、ナメック語じゃないと願いが叶えられませんでした。
今考えるとかなり良いギミック。プピリットパロ!

フリーザ編の直前のサイヤ人編で、どんな願いも叶えられるドラゴンボールの存在が明るみに出ました。それも、地球だけではなくナメック星にもドラゴンボールが存在していることが公になり、フリーザは「永遠の命(不老不死)」を手に入れるため、軍隊を引き連れてナメック星に向かいます。

先ほど紹介したXの投稿にもあった通り、フリーザは全宇宙最強であり、各星の先住民を絶滅させては、その星を高値で取引するビジネスを展開していました。
惑星ベジータの消滅から生き延びたベジータ・ナッパ・ラディッツも、このフリーザに従属する形で星に攻め込んだりしていました。

ベジータの目的

ベジータはフリーザに恨みを抱いており、フリーザを出し抜いてドラゴンボールで永遠の命を手に入れ、フリーザに復讐しようと画策します。

ベジータは故郷である惑星ベジータでサイヤ人の王子であり、その故郷をフリーザに滅ぼされた過去があります。また、星を滅ぼされた恨みももちろんですが、戦闘民族であるサイヤ人としての誇りを強く持ち、フリーザに服従していることが許せなかったのでしょう。

ベジータはフリーザほどは強くないものの、地球に侵略した時は孫悟空・孫悟飯・クリリン(あとヤジロベー)全員でかかってようやく倒せるレベルの強さであり、地球組が戦って勝つことはまず不可能です。

ドラゴンボール争奪戦の勝利条件と敗北条件

ナメック星でのドラゴンボール争奪戦は、以下の要素を満たすことで勝利となります。

  • ドラゴンボールを7つ集める

  • ナメック語で神龍を呼び出す

  • ナメック語で神龍に願いを言う

そして敗北条件が以下。

  • ナメック星の最長老が死ぬ(ドラゴンボールが使用不可になる)

  • ナメック星人が全滅する(最長老の件もあるが、ナメック語話者がいなくなると神龍が呼び出せなくなる)

これらの条件を踏まえて、続いては各陣営の特徴を見ていきましょう。

各陣営の特徴

それぞれの陣営は、それぞれの強みを持って、三つ巴のドラゴンボール争奪戦を繰り広げます。

地球組の特徴

情報戦の強さでは地球組がトップ
  • 三つ巴の中では最弱

  • ドラゴンボールがどのようなものか知っている

  • ドラゴンレーダーによってドラゴンボールの位置が分かる

  • 気を感じ取ることができ、敵や味方の位置が分かる

  • 気をコントロールでき、気を消して隠密行動ができる

  • 優しい心を持ち、ナメック星人の支援を受けることができる

    • 最長老による力の解放

    • ネイルによる時間稼ぎ

    • デンデの回復支援・神龍(シェンロン)の呼び出し

    • etc…

  • 時間はかかるが、孫悟空という援軍が来る

フリーザ軍の特徴

完全にミーム化してしまったこのシーンですが、当時の絶望感は半端なかったです。
どうやって勝つねんこやつに。
  • 三つ巴の中では最強

    • 第一形態のフリーザの戦闘力は53万あり、格が違う

  • 「フリーザ軍」というだけあり、数の力が圧倒的

    • ザーボン・ドドリアといった側近

    • ギニュー特戦隊のような精鋭部隊

  • 気を感じ取ることができない

  • 戦闘力を計測できるスカウターで敵の位置や強さを計測できる

  • 気をコントロールできない

  • ナメック星人を蹂躙したことで、ナメック星人の協力は得られない

    • ドラゴンボールを揃えても、願いを叶えることができない

ベジータの特徴

超サイヤ人の定義や変身方法が分からなかったのも面白いですね。
ベジータや悟空が超サイヤ人になることができたら、戦闘力がひっくり返るかもしれないという可能性も含め面白い構図でした
  • 三つ巴の中では2番目の戦闘力

  • フリーザ軍だったこともあり、フリーザ軍の戦力や船の構造などの知識を持つ

  • 地球侵攻を経て、気の読み取り、気のコントロールを覚えた

    • スカウター無しでの索敵

    • 気をコントロールしての隠密行動

  • フリーザ戦では地球組と共闘ができる

  • 超サイヤ人になれる……かも?(戦闘力が逆転する可能性)

非対称性のある三つ巴の戦い

前述したドラゴンボール争奪戦の勝利・敗北条件と各陣営の特徴を持って、本紙の流れを見てみましょう。

ナメック星人を蹂躙してドラゴンボールを集めるフリーザ軍

フリーザ軍はナメック星人を脅して、殺して、ドラゴンボールの位置を聞き出して奪います。
ナメック星人たちは、悪き心を持ったフリーザ軍に最初こそ抵抗しますが、ナメック語を使えないフリーザ軍では願いを叶えることが出来ないため、ドラゴンボールをフリーザに渡すことにします。

ナメック星人の協力が不可欠にも関わらず、そのことを知らないフリーザ軍は次々にナメック星人を殺していきます。

フリーザ軍はスカウターを使い、ナメック星人が住むであろう集落を見つけることはできましたが、ドラゴンボールを一度隠されると発見することはできませんでした。
また、悟飯やクリリンが気を殺して近づいても、フリーザ軍のスカウターでは捕捉できず、フリーザ軍は彼らに動きをずっと監視されることになります。

情報の優位性・隠密でフリーザ軍を出し抜く地球組

悟飯やクリリンは戦闘で勝つことができないと早々に悟り、基本的にドラゴンレーダーでドラゴンボールの位置を、気でフリーザ軍の位置を確認しながらドラゴンボールを集めます。

ドラゴンレーダーがかなり優秀で、ベジータが海(湖?)に隠したドラゴンボールも奪取することに成功します。ベジータはこの時慢心しており、悟飯の持っていた機械をドラゴンレーダーだと見抜けませんでした。

また、ナメック星人であるデンデを助けたことで、ナメック星人の全面的な支援を受けることができるようになります。
最長老に力を解放してもらったことで、戦闘面でもかなり戦えるようになったり、フリーザの足止めにネイルが手助けしてくれたり。

フリーザはデンデを見て木端だと見逃したりしていましたが、これが命取りとなって神龍を呼び出されてしまいます。全てを把握して動いている地球組とフリーザの対比がとても面白いです。

頭の回転が良く、状況に応じて適応するベジータ

ベジータは戦闘面では地球組の脅威であり、気のコントロールや気による索敵が可能です。

目まぐるしく変化する盤面で、幾度となく適応して立ち回ります。

初期は隠密しながらフリーザ軍の戦力を少しずつ削ります。気のコントロールで隠密したり、油断させたりしながら、幹部クラスのキュイ・ドドリアを倒していきます。

ザーボンとの戦闘で負けた時も、情報の優位性(ベジータが隠したドラゴンボールの在処)を生かして回復させ、隙をみてフリーザ軍のドラゴンボールを奪取します。

その後、ギニュー特戦隊との戦いの際には、地球組と結託して戦うことで生存していますし、長い目でどう戦うかを考えて動いているなと感じます。

フリーザ変身・悟空覚醒

VS. ギニュー特戦隊で悟空が到着し、勝利した地球組とベジータは、ドラゴンボールも全て揃え、デンデが合流して準備万端です。

この時はベジータが仮眠している時を見計らって、クリリン・悟飯・デンデが神龍を呼び出し、ピッコロを復活させます。
二つ目の願いでピッコロをナメック星に呼びますが、ベジータ・フリーザに気づかれてしまい、ナメック星の最長老の寿命が来てしまったことによりドラゴンボールも使用できなくなります。

ここからは、フリーザ VS. ベジータ・悟飯・クリリン・ピッコロ・デンデの戦いが始まりますが、デンデが回復役として暗躍します。

なぜフリーザはいっぺんに地球組を倒さないのか、と思っていたのですが、この時ピッコロは戦闘タイプのナメック星人であるネイルと同化して、第二形態のフリーザと同等の力を手に入れていました。

サイヤ人は瀕死の状態から生還すると力が数段上がる、という特性を利用したベジータ。
デンデがベジータの回復を躊躇ったりするシーンは心理描写がしっかりしていて良かったです。

ただし、第三形態を経て最終形態になったフリーザは、デンデとベジータを殺してしまいます。悟空が参戦したものの、苦しい戦いを強いられ、界王拳や元気玉を使ってもなかなか倒せず……。

クリリンが殺されてしまったことをきっかけに、悟空は超サイヤ人に覚醒します。

有名な話ですが、超サイヤ人が金髪なのは黒髪のベタ塗りが面倒だったかららしいですね(笑)

ここからの戦いは、今回特に触れたいところではないので割愛します。
ドラゴンボール争奪戦 → フリーザ戦 → 超サイヤ人覚醒の流れは、あまりにも綺麗で完成されているなぁと、大人になった今でも感じます。

まとめ

小学生低学年の時に読んだドラゴンボールは、「強い悟空、カッコいいー!!」くらいの感想でしかなかったんですが、大人になった今も違った魅力に気づける、不朽の名作だと感じました。

実は自分が一番好きなのはセル編なので、時間がある時にセル編についても書いてみたいなと思いました。
稚拙な文章で読みにくかったかもしれませんが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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