猫がほしい。強い思い。
小学2年生のとき、学校帰りに子猫を見つけた。
一目惚れした。
僕は子猫を家に連れて帰り、「この猫飼っていい?」と母親に聞いた。
「うちでは飼えないわよ」「そんな余裕はないから」と言われた。
それでも僕はしつこく、「飼いたい、飼いたい」「なんで、こんなにかわいいのにダメなの?」と聞き続けた。
すると母親は、「じゃあ、今夜お父さんに聞いてみなさい」と言った。
父親が仕事から帰ってきた。
僕はすぐに子猫を見せて、「この猫飼っていい?」と聞いた。
機嫌の悪そうな父親は、「今すぐその猫を捨ててこい」「そうしないと、その猫をベランダから投げ捨てるぞ」と言った。
5階から落ちたら、この猫は確実に死んでしまう。
そう思った僕は、子猫を友達の家に連れて行った。
その猫は、その友達の家で飼われることになった。
当時の僕の夢は、「大きくなったら父親をぶっ飛ばす」だった。
あまり、楽しそうな夢ではない。
でもそのときから僕は、「大きくなったら絶対に猫を飼う」という、ワクワクする夢をもつことができるようになった。
「父親をぶっ飛ばす」という夢は叶わずに終わった。
僕のほうが強いと気づいたとき、それは僕の夢ではなくなった。
でもまだ、「猫を飼う」という夢は持ち続けている。
僕はいま47歳だ。
47歳の僕が、7歳のときの自分の夢を叶えてあげたいと強く望んでいる。
40年前の自分の夢を絶対に叶えてあげたい。
もうこれ以上、自分の夢を先送りしたくない。
「諦めなければ夢は叶う」ということを、みんなにも見せてあげたい。
だから僕は、猫の飼える家に引越します。
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