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アート⊿ライフ

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旅先で、レストランで、はたまた自宅で、 そこでデジタル筆を使って、またはスマホの写真で、それとも文章で、 その瞬間を切り取り。
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#小説

アート⊿ライフ001 : つるに会う旅 (釧路)

アート⊿ライフ028 : 小説『王』

中学一年生の息子の、自作ショートショート3部作、その3。 『王』 その町では文字はもちろん、火なども無い時代。あるものといえば、身分格差くらい。その決め方は、見た目でも、力の強さでもなく、想像力だった。周りには少量の草や、岩などしかなく、人々は何かを想像する事くらいしかやることがなかったためだった。  狭い範囲内だったので、支配者は一人しかいなかった。名をアースといい、アース王と呼ばれていた。アース王の発想力、想像力は群を抜いていて、成長すると共に身分は上がっていき、やがて

アート⊿ライフ027 : 小説『眼鏡』

中学一年生の息子の、自作ショートショート3部作、その2。 『眼鏡』「やった!遂に完成したぞ!」  ここは地下二階の薄暗い部屋。一人で部屋に閉じこもっていたエフ氏は、完成した喜びと、復讐する企みとの、不気味な笑みをうかべていた。復讐というのは社長のこと。エフ氏は社長を恨んでいた。いや、恨んでいる。話せば長くなるが─  十年前のことだ。医師試験に落ちた俺は、仕方がなく中小企業の会社に務めることにした。しかし、運の悪いことに、そこはブラック企業だった。毎日残業続きで、給料も安い。

アート⊿ライフ026 : 小説『武勇伝』

 元旦に机に向かい、親指を素早く動かして、中学一年生の息子がスマホにフリック入力していた。何をしているのかと覗き込むと、スケッチブックに書いた自作のショートショートを入力していた。そう言えば、すでに三作品できているとの事で、共有してもらった、作品その1。 『武勇伝』台風は勢力を上げ、間もなく上陸しようとしていた。その中に台風の円から抜け出した風があり、畑の中の小さな風力発電へと向かっていた。  その時、豪雨の中一人で立つ人間らしきものが感じとられた。  名を鈴木敏郎。二十年