アート⊿ライフ027 : 小説『眼鏡』
中学一年生の息子の、自作ショートショート3部作、その2。
『眼鏡』「やった!遂に完成したぞ!」
ここは地下二階の薄暗い部屋。一人で部屋に閉じこもっていたエフ氏は、完成した喜びと、復讐する企みとの、不気味な笑みをうかべていた。復讐というのは社長のこと。エフ氏は社長を恨んでいた。いや、恨んでいる。話せば長くなるが─
十年前のことだ。医師試験に落ちた俺は、仕方がなく中小企業の会社に務めることにした。しかし、運の悪いことに、そこはブラック企業だった。毎日残業続きで、給料も安い。