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13. EOS R6 Jリーグデビュー(その2)

 僕が初めてミラーレスカメラを手に入れたのが今から約11年前。オリンパスのE-P1というカメラです。アルミを切り出したような高級感溢れる筐体、メカニカルなシャッター音、そしてコンパクトでキレの良いレンズ群。それ以来、物欲のベクトルが一気にミラーレスに集中しました。ただ、そんな中でもサッカーの撮影だけは一眼レフを持ち出し続けました。というのも当時のミラーレスカメラは動きが緩慢で、とてもスポーツを撮影できる代物では無かったからです。それでもいつかはミラーレスでJリーグを撮影する日がくるんだろうな…という感覚はありました。かれこれ10年以上前のことです。
瞳AFの実力
僕がEOS R6に興味をもったのは連写性能とAF性能です。連写に関しては前章で話したとおり、残念な結果となりましたが、AFについては期待以上の収穫がありました。発売前のプロカメラマンによるレビューで瞳AFの出来が良く、精度、スピード共に実用的であるということはわかっていましたが、はたしてそれがサッカーの撮影でも有効なのか?という疑問がありました。というのもサッカーではフレーム内に複数の人物が入り、しかも絶えず入れ替わります。どのようなアルゴリズムで瞳を捕捉し、またそれを撮影者がいかにコントロールするのか?というところが実際に撮影するまでイメージできなかったのです。
 そんな不安も撮影を始めてすぐに吹っ飛びました。瞳捕捉のルールは至って簡単。事前にAFを開始するフレームを選択しておき(サッカーであれば中央で良い)、あとは撮りたい選手に合わせるだけ。それだけでカメラが勝手に人物を把握し、その人物の瞳を探しあて、その後は粘り強く追い続けます。ファインダー内の動きを言葉で説明すると、カメラが人物全体を認識後、合焦フレームがスルスルと人物をよじ登り、瞳まで到達すると食い付く、といった感じです。万が一意図しない選手の瞳を捕捉してしまった場合でも、再度、AFを開始させることで簡単にやり直しがききます。AFは通常、シャッターボタンの半押しでスタートするのですが、僕の場合、親指AFといってカメラの裏側にあるAFボタンを使っています。これによりシャッターとAFの操作を分離でき、慣れるとより速くカメラを操れます。今回、このR6の撮影では以前よりAFの操作が増え、その重要性も増した気がします。R6を使う方は親指AFを使うことを強くオススメします。
余談ですが実は1DXも瞳AFに似たITR AFという機能があります。同じようにAF開始フレームで捕捉した人物を追い続ける機能なのですが、瞳までは判別できず、また食いつきが弱く、いつの間にか別の被写体にピントが移っていることが多々ありました。このように、AFの観点からすると、このR6は1DXを凌駕しており、1DXを積極的に利用する理由が薄くなりました。ただ、当然、1DXが上回っている部分もたくさんありますので、次回はそのあたりも含め、話していきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

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