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世界に通用する生ハムを作る [vol.3 / ham]

そんなこんなで、小豆島発酵ハムという言葉の意味合いを聞くことができて興奮収まらぬわたくしですが、その興味は生ハムの作り方から三好さんご本人に向けられ、そもそもなぜ生ハムを作ろうと思ったのか、小豆島出身の三好さんがなぜ小豆島に戻ってきたのか、そしてこれから何をしようとしているのかなどを伺ってみました。

--- 石川
小豆島発酵ハムの作り方、とても興味深かったです。そもそもの話なんですが、三好さんは小豆島の出身なんですよね?

--- 三好さん
そうですね、小豆島で生まれ育ちました。それこそ小さい頃は近所の友人たちと醤油蔵の杉桶のある場所でかくれんぼをしたり、海で遊んだりしてましたね。ただ、島は醤油臭いし、オリーブは苦いし、夏になれば毎日そうめんばかりだし、たまには違うものも食べたいなって思ったりしてて、こんな田舎な島早く出ていきたいと思ってたんです。

--- 石川
そうなんですね。小豆島に住んでいると一度外から島を眺めないと分からないことってありますよね。

--- 三好さん
大人になってからは東京でとある会社の食品開発の仕事をしてました。主に肉、その中でも鶏肉が多かったですが、外食産業の方々と一緒に商品の開発をしていました。

そんな中、もっと自分をストレートに表現したいという気持ちもあり43歳の時に飲食で独立しました。その後キッチンカーをやるようになって、青山のファーマーズマーケットに出店するようになり、同じ出店者たちと話しているとなんかすごく羨ましいなって感じたんですよね。一つのものに情熱をかけてそこまでやってるんだっていうところが。みんなそれぞれやっていることは違うんだけど、本物を追求しているっていうのがあって、自分もそういうことができたらなと思ったんですよね。

で、自分の年齢と、両親と、このまま飲食を続けるにあたって体力的な不安もあって、色々考えた時にもう一度原点に帰ってモノ作りしたいなって思ったんです。

若い頃はこんな何もない島と思っていたんですが、歳をとってみるとこんな素晴らしい島ないなって思ったんですね。なんかやっぱりモノの見方が変わってくるんでしょうね。

海があって山があって、醤油、そうめん、オリーブなど素材もあって、なんでこんなところ出ていったんだろうっていうぐらいすごく素敵な場所に見えたし、3万人もいない島でこれだけの産業が根付いているのはきっと何があるのだろうなと。

そういうこともあって最後の人生、小豆島で何かしたいなと思って55歳の時に小豆島に戻ってきました。

--- 石川
小豆島に帰ってきてからはすぐに生ハム作りを始めたんですか?

--- 三好さん
帰ってくる時には何をやるかまだ全然決めてなくて、醤油やオリーブ関係かなと漠然と考えていたんですけど、そんなある日、鈴木さんの放牧豚に出会ったんです。農場を見にいった時に非常に衝撃を受けて、地面を駆け巡っているのでこのお尻の部分が非常に美味しそうに見えて、鈴木さんにも「これ美味しそうだねぇ」って言ったのを覚えてるんですけど、その時にあっ、これで生ハム作ったら面白そうだなっていうふうにぱって思い浮かんだんですね。

今までやってきたジャンルとは違うけど、なぜかこれいけそうだなってその時ふと思ったんですよね。だから放牧豚がいなかったら生ハムは作ろうとは思わなかったでしょうね。

鈴木農園の放牧豚たち

--- 石川
そこが小豆島発酵ハムのスタートだったんですね。

--- 三好さん
そうですね、そこから4年ほど個人的に試作を繰り返し、2019年12月に工房を構えて生産を開始して今年で4回目の仕込みをしています。

今で7年目ですが、まだまだ発展の途中だと思っていてもっと美味しい生ハムを作りたいと思っているし、小豆島だからできることや、小豆島の自然に即してこれからも作り方を模索しています。

--- 石川
まだまだ美味しくなる可能性があるってことですね。それは楽しみです!そう言った意味ではこれからどのようなことをこの小豆島でしていきたいですか?

--- 三好さん
まず生ハムで言えば、世界に通用する生ハムを作る。というのはまず一つあります。それは豚から考えていかないといけないですし、作り方ももっと改善していきたいです。

もう一つは小豆島の食という分野を底上げできる一助になりたいし、観光地なので観光の要の食のボトムアップにも生ハムだけじゃなく関わっていけたらなと思っています。小豆島の食産業は世界に通じるものがもっとあると思うし、もっといけるんじゃないかなと思っていて、世界を目指そうと思えば、やるべきことが見えてくるんじゃないかなって思います。

ーー

日本だけでなく、世界に通用する生ハムを作る。その言葉を聞いた時なんだか身震いしました。さらなる美味しい生ハムを目指して貪欲にアップデートし続け、生ハムだけでなく小豆島の食の分野のボトムアップに関わっていきたいという三好さんの姿は60歳を過ぎているようには到底思えず、ただただ素敵だなと素直に思いました。

きっと三好さんの作る小豆島発酵ハムは毎年毎年新たなチャレンジをしながらレベルアップしていくのでしょう。その過程を毎年味わいながら間近で感じられることはとても幸せなことで、いつか世界に羽ばたく小豆島発酵ハムを想像しながら今日も今日とて三好さんの生ハムを食べながらグラスを傾けるのです。

次回は美味しい生ハムの食べ方をご紹介!
美味しいワインや日本酒を準備して作ってみてくださいねー!

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