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それでも美人に生まれたかった


私にはとっても美人な友達がいる。
顔の小ささが大きな目を余計目立たせる。
どこか和の雰囲気を纏った
自然体な笑顔が素敵な彼女。

中学の頃からモテていたし
高校でもチヤホヤされ、高嶺の花だった。

一緒に過ごす時間が長かった私は
彼女にジェラシーを感じていた。

高校生の時、わたしには
一歩進んだ関係の男子がいた。

週に1〜2回、放課後薄暗い時間に
公園で待ち合わせ、恋人の真似事をする。
年齢にしては少し大人びた関係だったと思う。  

そんな彼は彼女のことが好きだった。
なんで私じゃないの?


ああ、彼女がとびきり可愛いからか。

どんなに触れ合っても
彼の心は彼女に向いていた。
ただ悔しかった。

今思うと、彼を好きなのではなく
執着していたのだと気づく。
かわいい彼女に負けたくなかったんだ。
自分もかわいいって信じていたかった。

10年以上経った今、
彼女と会う機会があった。
"ごめん、時間なくて眉毛しか書いてないや"
と小走りで来た彼女は私よりもかわいかった。

"昨日、○○からLINEきてさ。"
関係のあった彼は、彼女に連絡をしたようだ。
私には来ないのに。
みんなかわいいあなたのこと、
忘れられないんだね。

興味のない同級生にご飯に誘われる話、
男の人に執着されて困っている話。

美人は美人なりに大変なんだ、
とよくある感想が浮かぶけど
本心じゃない。 

私は全部、ぜんぶ経験したことない。

(美人だったらこんなに
ひねくれなくて済んだのに)



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