好きなアルバム:The Life of Pi'erre 4
このアルバムは私がPi'erre Bourneを聴き始めた入口のアルバムである。
このアルバムの最大の特徴は曲間がシームレスであるということ、つまり、アルバム全体を通してひとつの曲のような形になっているということだ。
クラシックではこのことをセグエと言うらしく、ノンストップ・ミックスともまた違った独特な感覚を味わうことができる。
似たような作品を出すと、ピンク・フロイドの中期の作品のようにレコード回しっぱなしで録音してて曲間が繋がっているあの感じだ。
しかし、この現代に、それも他ジャンルと比べて1曲に掛かるコストが少ないことから、生産ペースの速さ、シングルといった要素が重要視されがちなピップホップという畑で、それをやってしまおうという考えに至ったPi’erreはやはりセンスが数次元先を行っている。
それでいて、全曲ビートメイク、レコーディング、ミキシング、プロデュースを自分ひとりでおこなった完全自己完結アルバムだというのだから凄い。
というかむしろ、自己プロデュースだからこそこんなにも攻めたことができたというのもあるのかも。
ともかく、彼のサウンドの特徴は、少し聴いただけで彼のビートだと判る、ハイパーポップにも少し似た、ゲーミング感あるチカチカした電子音、または、ハイパーポップとは少し一線を画すような独特の浮遊感のある808、そして、無駄のない洗練されたドラムスだろう。
また、このアルバム内の楽曲「Horoscopes」や「Romeo Must Die」のMVから判る通り、日本のサブカル文化にも興味を示しているのが判る。
かわいい。明らかにGoogle翻訳って感じのガバ翻訳と無駄にファンシーなフォントが渋滞していて日本人からしたらカオスも甚だしいMVだが、曲のかっこよさとPi'erreが私たちに歩寄ってくれているその感じのいとしさがなんともマッチして大変面白いMVとなっている。
恐らく世界で初めて「富良野市交通安全協議会」という文言をMVに登場させたラッパーだろう。てか肖像権とか色々大丈夫なのかってなるけど途中でそれを忘れるくらいとにかく曲とロケーションがカッコよすぎる。
ちなみにアルバムで一番好きな曲は「Be Mine」です。
Pi'erreの魅力ってもうすでに言語を超えたところにあると思っている。
言葉で腹パン喰らったような衝撃。
その隣に、
何言ってっかわかんねえけど音楽そのもので顔面ストレート喰らったような衝撃が並ぶのって
すごい素敵でワクワクする。
それでは。
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