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怪文書

2020年11月にJR●崎線某駅付近に貼られていた怪文書です。
これは実在した怪文書です。
怪文書に興味をお持ちの方、鋭意収集中の方はどうぞお役立てください。


怪文書1
怪文書2

貼った本人以外、この掲示物にどんな意味があるのか、何を言いたいのか、恐らくほぼわからないと思います。
怪文書にも様々な種類があり、特定の誰かを攻撃するものや、捜索するもの、有象無象の何者かからの襲撃を訴えるものや、スピ系の勧誘などなど、一見して目的の分かるものが大半でしょう。
怪文書とはいえ、ある意味でメディアの一種です。前衛文学のように意欲的な好事家や研究者がその真意を読み解かなければならないメディアは、その機能を瞬時に果たしているとは言えないでしょう。
そんなメディアとしては半人前どころか人体を何分の一かに分けた断片程度のレベルと言っていいこの怪文書ですが、読解力を逞しくして読み解くと、恐らくこういうことでしょう。

「自分は原因の分からない頭痛に長いこと悩まされていた。そこでスマホのカメラで頭部を拡大して撮影したら、抜け毛しているのが分かった。それが分かったら頭痛も落ち着いた。さあ、みんなもスマホのカメラで頭を拡大して撮ろう!」

私は何度読んでもこの結論にしかならないのですが、恐らくこれは怪文書としてはずいぶん平和でおめでたい部類の代物ではないでしょうか。「高額医療費の見直し」というのは、つまり頭痛の原因が抜け毛だということが、スマホで毛根を撮ったことによって判明し、高い治療費を払わずに済んだ、とこの人は言いたいのでしょう。なるほどそれは結構なことです。素晴らしいことです。見ているこちらもたちどころに微笑ましい気持ちになり、どこぞの知らないおっさんの脂まみれの毛根や白髪混じりのまばらな頭を見せられても、現代社会の一奇跡の光景と思えてきます。ワア、サッカーボールを鼻先に乗せられるなんてステキー、かっこよすーってなモンです。

さて。

見ての通り写真は一部加工してあります。一枚目の「マルフク」の下にはばっちりと電話番号が、二枚目の「お問い合わせ」の欄には人名と住所、Facebookのアカウント名がありました。この写真の人物のかどうかは分かりません。ついでに言えば「マルフク」がこの一連の文書と何の関係があるのかも分かりません。しかしその常人の脈絡を完全に無視して独自の法則性のもとにこのような文書を作成し、大勢が往来する場所に勝手に掲示してしまうその行動力こそが、たぶん怪文書の醍醐味なのでしょう。
次はアナタが怪文書を作る番です。
私はもう作りました。

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