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ある対話

A:僕は何をやっても認めてもらえない。どうすれば良いんだ?
B:人の評価とかそういう範疇で生きていちゃだめさ、何がやりたいのか向き合わないと。使い古された言葉だけどね。

A: 政府の出す文章を読んでも分からない。どうすればいいんだ?
B:みんなにわかる簡単な言葉で書かなければならない。必要な誰かに届けるためには簡単な言葉で書かなければならない。
A:僕はそれを聞いて何をすればいいんだ?
B:君は何もできない。君は無垢の人間だからね。

A:彼女と音楽の好みが合わない。どうすれば良いんだ?
C: 人間だれしも音楽の好みがあるだろ、全く音楽を聞かない人以外はさ。俺は昔音楽の好みが合うやつとだけ仲良くしたいと思ってた。だって、気が合うだろ。車に乗ったってどっちも好きな音楽をでかい音でかけれるし、カラオケだって気兼ねなく好きな曲を歌い放題さ、流行り曲を無理して歌うなんてことはしなくて良いわけだよ。
でもね、それじゃあやっぱり終わってるんだなぁっておもったよ。それも結局は多様性の排除なんだ。自分と同じ好みじゃないから彼とは付き合わない。そんなのって肌の色が違うから彼とは付き合わないっていってるのと同じだよ。本質的にはね。おっと、文学かぶれみたいだな、ごめん。まぁ、そういうことなんだよ。だからこそ、そういうのはただの一つのカテゴリだとして認識することが重要なんだ。おれはロックが好きだよな?ロックが好きというカテゴリが俺の中に一つ根付いてるってわけなんだ。他にも、俺は酒が好きだし、自然の中に身を置くことももっぱら好きだ。田舎が好きだし、自分の時間を大切にしたい方だ。こういうのは全部俺のもってるそれぞれのカテゴリにすぎない。で、ここからが重要なところだから、いままでのは忘れても良いから、ここからはどうか俺の話に耳を傾けてほしい。
俺が持っている特定のカテゴリを全て包括する人を世界中から見つけ出すコンピュータがあったとしよう。検索だ、カタカタカタ、エンター。どうだと思う?検索結果は俺だけだ。画面には俺だけが表示されてる、ワンヒットなんだよ。つまり、俺と全く同じやつは存在しない。お前と同じやつも存在しないし、あのウエイトレスと全く同じやつも存在しないんだ。おい、お前いまそんなん当たり前だろとか、言われなくても分かってるって思っただろ。そうかもしれない、でも、おれはそういう誰しもわかると思ってる大事なことが実は分かってない人がかなり多いってことに気付いたんだよ。だから言葉にして普及させてかなきゃならないんだ。話の続きだが、俺と全く同じ奴がいないってことは俺には俺だけの個別性があるってことだ。俺だけを形作るカテゴリの集積がつまり俺になるってことだ。じゃあ、どうだろう?俺ってのはオンリーワンなんだよ、陳腐だけど。だから自信を持っていい。自信を持たないでどうする?違うカテゴリを持ってるやつを羨んだり、それと比べて自分は劣ってるだなんてことを考えるのは甚だ無意味なことなんだよ。違うカテゴリを持ってるやつのそれをお前は持ってないけど、お前はそいつが持ってないカテゴリを持ってるんだ。そいつで勝負すればいい。お前にはお前の勝負の仕方があるんだし、お前の生き方があるんだ。お前が幸福と思う人生は、あのウエイトレスにとっては地獄かもしれない。そういうもんなんだ。だから、他のやつと自分を比べるのなんて、本当に無意味なんだ、分かったか?わかったらくだらないことでクヨクヨ悩むのはもうやめて、おまえ自身の幸せのためには何をするべきか考えて行動するんだな。億劫なら、行動なんてちっちゃい行動でいいんだぜ。行動してたらやりたくなってくるんだ。やりたくないからってやらなかったら一生それをやりたくないって人生だぜ。あぁ、もう論理が破綻してきてるな、お前のターンだよ。
A:気が楽になったよ。
B:ちょっと喋りすぎだけどね。


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