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覇王型覇王魔術師-先攻2枚初動の解説

皆さん初めまして。note.初投稿です.
YPの沙里葉(さりは、Sariha)と申します。
(X,旧TwitterID:https://twitter.com/EasternYumemi)

今回本記事では、タイトルにもございますように遊戯王OCG2023年11,12月環境のtier上位デッキである「覇王型覇王魔術師」の「先攻」の「2枚初動」の展開パターンについてまとめていきたいと思います。

覇王魔術師の存続と発展に寄与するため,本記事は全文無料です.お時間よろしければ,ご覧いただけますと大変嬉しいです.



自己紹介(読み飛ばしてもOKです)

少し私の自己紹介をさせていただきます.

私自身は人生の大半を遊戯王と共に過ごしておりましたが公認やCSなどの大会経験どころかマッチ戦すら経験したことが無く、完全にカジュアル勢でした。
しかし私の好きな「魔術師」デッキの発展系である「覇王魔術師」デッキが環境入りしていることを知り、いても立ってもいられず覇王魔術師デッキを携えてOCG復帰を果たし、同時に競技遊戯王の世界に足を踏み入れました。

覇王魔術師デッキを用いて「つりおカップ」と呼ばれる初心者向けCSに計3回出場し、3回全てにおいて4戦のスイスドロー予選を突破し本戦(トーナメント)進出を果たし、3回目で準優勝することが出来ました。
あと一歩で優勝には届きませんでしたし、準優勝とはいっても正直に申し上げると運の要素も強かったと思いますが、準優勝したことによってX(旧Twitter、以下X)上でも色々な人からお声かけいただくようになりました。非常にありがたいことです。
それもこれも、覇王魔術師というデッキがあったからこそです。
私に、競技としての遊戯王という新しい世界を見せてくれた、そして現在進行形で見せてくれている覇王魔術師デッキには本当に感謝しています。


覇王魔術師デッキについて

覇王魔術師は非常に強力なデッキです。(2023年12月現在,炎龍や魔封じの流行により環境における立ち位置はあまりよくないですが.)
正直自分でもまだ構築力、プレイング、カード知識、どれをとってもまだまだほかの覇王魔術師使いの皆様には遠く及ばないと感じておりますが、余りあるデッキ自体の強さとプレイの奥の深さが覇王魔術師デッキにはあります。

覇王魔術師デッキが認知を得て普及してからそれなりの時間が経過しているので何番煎じか分かりませんが、従来主流だった「EM魔術師」との大きな相違点は、なんといってもやはりその「自由枠の多さ」でしょう。
紫毒の魔術師や黒牙の魔術師、星刻の魔術師など従来型の魔術師で主流だったパーツを外し、少数精鋭のサーチカードに留めることで、空いた自由枠を手札誘発や妨害などの後手用のカードに割くことができます。
環境で戦い抜くにはこの「自由枠の多さ」というのが非常に大きな強みとなるのは、皆さんも想像に難くないと思います。

覇王魔術師には現在大別して2通りの「流派」のようなものが存在すると考えています。(完全に私の主観です.)

1つは、星霜のペンデュラムグラフ、調弦の魔術師、賤竜の魔術師などの魔術師側のパーツを採用し展開力と継戦能力を重視する「魔術師型」
もう1つは、覇王眷竜ライトヴルムや超天神龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン、光翼の竜などの覇王側のパーツを採用し安定感と妨害力を重視する「覇王型」の2つです。
(これ以外にもズァーク採用型や、紫毒と黒牙を採用する型もありますがここでは便宜上この2つを取り扱います。)
どちらがどう違うのか、という話は以前私がXのポストで解説しておりますのでそちらをご覧下さい。

本記事では、現在私が使用している「覇王型」を基準として取り扱います。
魔術師型を使用されている方はガッカリされるかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば魔術師型にも応用は利くはずです。

ちなみに、私が覇王型を使用している理由はいくつかありますが、
・魔術師型で採用する調弦、賤竜はあまり初動に関与せず事故率という意味での安定感が低い点
・自由枠を多く使え、ドロバやニビルなどの強力な妨害と除去が採用可能になる点

を重く見ています。が、好みによる部分も大きいと思うので必ずしも私の考えに共鳴する必要はありません。

ちなみに余談ですが,2024年2月23日に発売予定のQUARTER CENTURY CHRONICLE(クォーター・センチュリー・クロニクル) side:UNITYにおいて,「魔術師」関連カードの再録が決定しました.


これは,覇王魔術師使いの私にとって非常に嬉しいニュースであります.
特に,「虹彩の魔術師」はペンデュラム・レボリューションのストラクチャーデッキのみの収録で長らく再録がなかったため¥1,000前後と高額で取引されていたので,これらのカードが値下がりしてくれるのは非常に大きいと思います.
これを機会に,覇王魔術師使いが増えることを願ってやみません.


注意点(長いので読み飛ばしてもOKです)

思ったより長くなってしまったので,そんなのいいから早く内容知りたい,という方はこの項目は全て読み飛ばしていただいて結構です.

本記事の概要


先に述べた通り、本記事では「覇王型覇王魔術師」の「先攻」の「2枚初動」に焦点を絞って解説していきます。
よって、「構築の根拠について知りたい」という方や、「後手の巻き返しが知りたい」という方にはあまり役に立たないと思います。
そのうちそれらも作るとは思いますが、今回はXにてご質問いただいた「先攻2枚初動」に特化した記事とさせていただきます。
構築についての話は,時間が経てば環境も変わるため古くなるのも早いですが,基本展開であれば環境が変わったり新カードが出てもその考え方自体は応用が利くことを重く見て,今回は構築ではなく展開の話とします.

カードの仕様および能力について

本記事では覇王魔術師の構築に採用されているカードおよびその効果について読者の皆さんは全て知っているものとみなします.
理由は,多くのnote.記事ではまずカードの説明に多くの時間を割いていることと思いますが,本記事は展開解説でありメタ読みや構築の話は最小限とするため,カードそのものの解説を詳細にすると文章量が多くなりすぎてしまいます.
さらに,言ってしまえばカードの効果はニューロンや公式のDATABASEを検索すれば調べられることなので,調べればわかる内容をわざわざ詳細に説明するのは冗長だと私は考えました.(ついでに,それを踏まえて解説している先駆者のnoteもたくさんあるので,それを私が解説しても新規性はないと考えます)

したがって,本記事ではカードの説明は基本的にしません.
ですので「覇王魔術師なんて見たことも聞いたこともないけどちょっと気になる」,という初心者の方ないし他のデッキのユーザの皆さんには残念ながらあまり向かないスタイルかもしれません.
ただ,それでもよいという方で覇王魔術師の展開ルートを知りたい,また覇王魔術師対面の相手の動きが知りたいという方はぜひお読みいただけると嬉しいです.

相手の妨害と除去の扱いおよび本記事の対象者像

しつこいようですが,本記事は,飽くまでも先攻2枚初動の解説です.
よって,この解説の性質上,基本的には「相手のデッキタイプは考慮しない」「展開中に相手の妨害が飛んでこない」ものとして展開し動画を収録しています.

がしかし,現在のOCGの環境で相手の妨害も除去も一切ないということはほぼあり得ません.
勝ちたいのは相手も同じです.
当然妨害や除去は飛んでくることでしょう.

したがって,本記事では
「(動画上は妨害はないものの)可能な限り相手の妨害と除去の受けを考慮した展開」
をご紹介するつもりです.

ゆえに本記事は,覇王魔術師の採用カードの効果についてある程度理解があり,覇王魔術師の基本展開について知りたい方,および,相手の妨害や除去を考慮した立ち回りを知りたい中級者向けの内容となっております。

本記事で紹介する展開パターン

本記事では(独断と偏見で)厳選した11の展開パターンのみを解説いたします.

今回紹介する11パターン以外でも,ご質問があればいつでも共有可能ですので,コメントやDM等でお問い合わせいただければと思います.

本記事に誤りやご指摘事項がある場合


残念ながら,私も人間です.
本解説は私がほぼ独学で築き上げた考え方であり,完璧ではありません.
間違いもきっとあるでしょう.

もし間違いやご指摘等ございましたら,その際はコメントないしDMでお問い合わせいただければ幸いです.
ぜひ,一緒に覇王魔術師を研究していきましょう.

本記事で取り扱う構築

こちらが本記事で取り扱う構築です.
2023.12.16の太陽CSで使用した構築となっております.

現時点での私の構築


太陽CSでは,参加者12名と非常に少ない参加人数ではありましたがベスト4に入賞することができました.(形式上は3位となっていますが,3位決定戦の相手がドロップして不戦勝のため実質は同率3位のようなものです)


構築は,私の師匠であるrootさん(https://x.com/cover___?s=20)にいただいたものをベースに私自身がチューンしたものです.
主に蛇眼炎王対面を強く意識しつつ,マッチ戦一本目のメイン戦から先手後手問わずに勝ちにいくことを想定した構築となっております.


ご覧いただければ分かる通り,
調弦の魔術師
賤竜の魔術師
星霜のペンデュラムグラフ
紫毒の魔術師
黒牙の魔術師
亡龍の戦慄-デストルドー-
上記のカードは全て不採用です.

理由は先ほど述べた通り,覇王型の方が初動に安定感があり,自由枠が多くなるからです.

本記事ではこちらの構築をベースに話を進めていきます.ご了承ください.

本記事で使用する略称

本解説では以下の略称を使用します. 先攻展開で使用する主なモンスター,魔法罠をpickしたはずですが,ここにないカードは別途ご質問ください.

覇王眷竜ダークヴルム→ダーク
覇王眷竜ライトヴルム→ライト
EMドクロバット・ジョーカー→ドクロ
光翼の竜→光翼
超天神龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン→レボ
慧眼の魔術師→慧眼
虹彩の魔術師→虹彩
アストログラフ・マジシャン→アストロ
竜の霊廟→霊廟
おろかな埋葬→おろ埋
覇王門零→零
時空のペンデュラムグラフ→時空
ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム→エレク
奇跡の魔導剣士→奇跡
軌跡の魔術師→軌跡
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン→クリスタルウィング
I:Pマスカレーナ→マスカレ
召命の神弓-アポロウーサ→ウーサ(攻撃力の上2桁で打点を表現します)
覇王眷竜スターヴ・ヴェノム→スターヴ
オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン→アブソ
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン→ボルテ
深淵に潜む者→深淵
ヴァレルロード・サベージ・ドラゴン→サベージ

また,考えられる相手の妨害・除去を以下のように表現しています.
灰流うらら→うらら
増殖するG→G
ドロール&ロックバード→ドロバ
原始生命態ニビル→ニビル
ライトニング・ストーム→ライスト
拮抗勝負→拮抗
超融合→そのまま
サクリファイス・アニマ→アニマ
S:Pリトルナイト→リトルナイト
閉ザサレシ世界ノ冥神→ギアス


加えて,必要に応じて
通常召喚→Normal Summon,NS
特殊召喚→Special Summon,SS
デッキから手札に加える→サーチ
EXまたは墓地から手札に加える→回収
シンクロ召喚→S
エクシーズ召喚→X
ペンデュラム召喚→P
リンク召喚→L
チェーン→省略
リバースカードセット→伏せ
アドバンテージ→アド


と表現しています.


展開解説

大変お待たせいたしました.
いよいよ展開解説に入っていきます.
厳選した11展開に絞って展開解説をしていきます.

#1.霊廟+ドクロ(拮抗受け)


#2.霊廟+ドクロ(ニビル・超融合受け)


#3.霊廟+慧眼

#4.霊廟+ライト

#5.霊廟+誘発(拮抗受け)


#6.霊廟+誘発(超融合受け)

#7.光翼+ドクロ(ドクロ初動)

#8.光翼+ライト


#9.光翼+慧眼


#10.ライト+覇王門

#11.ダーク+ドクロ

展開のコツ

相手の除去と妨害を意識する


先ほども申し上げた通り,当然の事ながら勝ちたいのは相手も同じです。よって、先攻で展開が確実に出来る保証はないですし、仮に展開ができたとしても相手が除去で巻き返してくる可能性が非常に高いです。

具体的には、
妨害:
うらら、G、ドロバ
除去:
ニビル、ライスト、拮抗、超融合,アニマ,リトルナイト,ギアス

あたりが筆頭でしょうか。

ここで、これらのカードに対する回答(展開とプレイのポイント)を整理しましょう。

うらら受け:

うららを食らっても差し支えないカードから先に切りましょう。具体的には、以下のような使用順です。

先に切るべきカード:
レボ>霊廟>ドクロ、ダークNS>光翼

正確には霊廟は出来れば通したいカードですが、ダークを落としてSSするという性質上先に打たざるを得ません。
また、できればうらら相手の墓穴は余程うららを止めないと展開不可能な手札でない限りは温存した方がよいでしょう。
相手がGやドロバを切ってくる可能性が残っているからですね。

G受け:


残念ながら,覇王魔術師はG相手に突っ張って先攻展開ができるデッキではありません
5,6妨害程度構えたところで,相手の有り余るリソースで突破される可能性が高く,先攻でG相手に突っ張って展開するのはまずオススメしません
基本的には,大人しくバグースカで止まるのが賢明な判断だと思います.

ダークをバグースカの素材にすることで,仮にバグースカが除去されたとしても,そのターンにリーサルをされない限りは返しのターンでダークを蘇生して巻き返せる可能性はあります.

また,覇王魔術師はG受けがなかなか厳しいデッキなので,抹殺や墓穴はできればGもしくはドロバに割いた方がいいでしょう.

ドロバ受け:


ドロバも非常に厳しい相手です.
アストロや虹彩のサーチができなくなるため,撃たれると展開がまるで伸びなくなります.
使えるリソースが限られ,ボルテなどに繋げづらくなるので,奇跡+闇属性星4P+手札にライト,の相手ターン覇王クリアの構え,くらいで止まるのが賢明な判断かと考えます.

また先ほどにも述べた通り,墓穴や抹殺はドロバに割いた方がいいでしょう.
特に,Gが見えずにドロバだけを切ってきた場合,Gが無いのがほぼ確定(ドロバの効果でGのドローができなくなるためドロバ先出しはほぼ発生しない)ので,この場合はドロバは止めた方がいいでしょう.

そして,ドロバ受けを考慮すると光翼は温存して後から切った方が強いです.
光翼は速攻魔法であり,ドロバにチェーンして撃てるためですね.

ニビル受け:

ニビルはご存じの通り,展開系相手にめっぽう強い最強クラスの妨害+除去カードです.
当然,覇王魔術師もニビルの影響は受けますが,対策のしようがないわけではありません.

ここまで読み進めていただいた方の中にはお気づきの方も多いと思いますが,ニビルの対策の一つが「P前エレク,P前ウーサ」です.

P前にエレクから奇跡,ウーサとリンクを繋ぐことで,リンク先にPできるだけでなくウーサの効果を使ってニビルを止められます.
もちろん,相手もそれを考慮して,奇跡着地時もしくは奇跡効果使用→着地後に撃ってくる可能性はありますが,もしそうされたとしても覇王門のP効果温存からP効果起動+アストロ起動から軌跡に繋げることで,ニビル後であってもPからリンク値を大きく伸ばせます.それができるのも,「Pを温存しているから」ですね.
確かに,常にP前エレクをするのが難しいのは重々承知ではありますが,可能な限りPは温存しておいてニビル後のことまで考慮できるとよいでしょう.

ライスト、拮抗受け:


覇王魔術師デッキはライストや拮抗に比較的強いデッキといえます.

というのも,サベージやボルテ,場合によってはバロネスが立ちやすいのでライストや拮抗は止めやすい相手だからですね.
そのため,覇王魔術師相手にライストや拮抗をそもそもサイド後に採用していないケースもありますが,だからといってこれらのカードが弱いということもなく完全に不採用になるわけではないですし,ライストと拮抗も考慮した立ち回りができるとベターです.
具体的には,至極単純な話で可能であればサベージかボルテのうち一体は立てられるとライスト,拮抗に強くなりますね
もちろん相手も,いきなりライスト・拮抗を撃っても止められるのはわかってるはずなのでブラフを張り巡らせてライスト・拮抗を通そうとしてくるはずです.

サベージ,ボルテ,バロネスなどによる妨害をどこに切るかは,覇王魔術師使いの腕の見せ所です.
その解説もそのうち作るかもしれませんが,そこはぜひ対戦を重ねていく中で答えを見つけていただければと思います.
だんだん妨害の切りどころがわかってくるのも,覇王魔術師デッキの楽しいところですね.

超融合受け:

はい,超融合は言うまでもなく超強力な除去カードですね.
ガルーラ,ドロゴンの登場により,相手の場だけで超融合の素材を完結できるようになりました.
サイドデッキにはもちろん,メインデッキにも入っている可能性が十分にあるカードです.

よって,超融合を考慮した立ち回りも必要になります.

具体的には,「同じ属性のモンスターは(一部の例外を除き)2体並べない」ということに尽きます.
具体的には,覇王魔術師の場合には
「ウーサ+ボルテ」
「サベージ+マスカレ」
「深淵+アブソ」
が並ぶことは極力避けた方がよいです.(ただし,「深淵+アブソ」は深淵がフリーチェーンかつアブソの墓地効果でボルテが出せるため,この並びはまだアリなほう)
ここで,「一部の例外を除き」と書いている理由は,例えば機会は少ないものの

「ウーサ+ボルテ+深淵+マスカレ+サベージ+時空」

のような非常に強力な布陣が立てられる場合は,仮にウーサ+ボルテないしサベージ+マスカレに超融合を喰らったとしても妨害は残せるため,超融合受けを考慮して妨害数を減らす必要はないと考えます.

超融合を採用するということは,EXに空きが作れるデッキである必要があるため,必ずどのデッキにも入るカードというわけではありません.

それでも,チェーンが不可能で非常に強力な除去として機能するため,超融合の受けも考慮した展開は必要です

アニマ受け:

アニマも,採用デッキこそ限られますが強力なカードです.
よって,アニマの受けも考慮する必要があると私は考えます.

アニマを受けるには,
「使っていないEXモンスターゾーンの下には極力何も出さない」
というのがポイントになります.

私含めついついやってしまいがちなのが,サベージやボルテをウーサのリンク先以外に出すことを考えるあまり,使用していないEXモンスターゾーン下に出してしまうことですね.
確かに,ウーサのリンク先にPしてアドをとることを考えるとその選択も間違いではありませんが,ウーサの残りのリンク先を使って十分リーサルはとりにいけるはずなので,やはりEXゾーン下は空けたほうがよいでしょう.
どの道,手札にドクロやダーク,ライトあたりがいればそれらのカードをEXゾーン下にNSすることになると思うので,あまり差はないと考えます.

ちなみに,実際にアニマを出された場合どう対処すべきかということですが,「リトルナイトに繋げさせない」ことを考慮すると,ウーサやサベージを切るよりも時空,ボルテで確実に破壊するのを私はおすすめします.

リトルナイト受け:

覇王シリーズの新規と同期で登場したリトルナイトも,非常に強力なカードです.
先の超融合やアニマとは異なり,その用途の広さと使い勝手の良さからどのデッキにも採用されている可能性があります.

リトルナイトを受けるには,「そもそも相手にリトルナイトを出させない」というのがおそらく最も有効であると私は考えます.

具体的には,例えば相手がリンクリボーやアニマを出してリトルナイトの効果を使うための素材である融合・S・X・Lモンスターを盤面に並べ始めたら,それらのカードにボルテや時空,あるいは覇王クリアを切って破壊してLをさせないのが賢明な判断と考えます.

実際にリトルナイトを出されてしまうと,リトルナイトの除去能力に妨害を切ってもエスケープされてリトルナイトが残ることになり,仮にそのエスケープ能力に妨害を切ろうと考えたとしても,「リトルナイト1体に2回妨害を使わされる」という事態になります.
それは非常にコストパフォーマンスが悪いので,私はあまりおすすめしません.
したがって,そもそもリトルナイトは出させない方がよいと考えます.

ギアス受け:

基本的にはリトルナイトと同じ考え方です.
ギアスは,一度出されてしまうと実質冥王結界波のような能力によりこちらの妨害をほぼ全て無力化されてしまいますし,ギアス自体も「対象をとる効果以外を受けない」モンスターのため,ギアスにチェーンしてサベージやボルテを切っても意味がありません.
よって,「ギアスをそもそも出させない」のが有効です.
ギアスは,確かに強力ですがリトルナイトと比べ要求値が高く,こちらにマスカレやリトルナイトのようなL2モンスターがいたとしても盤面に3体は並べる必要があります.
よって,3体盤面に並ぶ前にボルテ,時空,マスカレ→リトルナイト,覇王クリアを切って盤面に3体並ばないようにするのがよいと考えます.

「相手にリンク値を稼がせない」,というのはどのデッキでも共通して使える考え方ですので,押さえておくとよいでしょう.

以上で「除去と妨害」に対する考え方の解説を終了します.

覇王門のP効果を可能な限り温存する

もちろん,覇王門をSSしないとP前エレクムーヴができなくなる場合もあるので常にそうする必要はないですが,もし可能であれば覇王門のP効果は温存した方がよいです.

理由は,そうすることで奇跡で回収したアストロを起動できるためです.
これにより,先ほど述べた通り仮に奇跡着地時にニビルを撃たれたとしても軌跡に繋げやすくなり,またP前ウーサ+ボルテの並びも作りやすくなるので相手がニビルと泡影を重ね引きしていた場合にも強くなります.アストロの再起動によりアドも大きく伸ばせます.

よって,覇王門のP効果はできれば温存しておいた方がよいです.

アストロのサーチ先を常に意識する

エレクとアストロは,言うまでもなくこのデッキのキーカードです.
有効に活用すれば,絶大なアドを確保できます.

重要なのは,「アストロのサーチ先を常に意識する」ということです.

先ほど展開紹介でもお話しした通り,例えばダークやライトなどの2枚採用カードはアストロの効果で2枚目をサーチすることを考えた方がよいです.
逆に,零のようなピン採用が多いカードは破壊してもアストロでサーチができないので,安易に覇王門を零に張り替えてしまうとエレクの破壊対象にしてもサーチができません.
よって,この場合は先ほども述べたように覇王門のP効果は温存してエレクの破壊対象に覇王門を選択した方がよいでしょう.

また,慧眼を破壊後にSSしておらず(破壊後にSSすると「破壊された」という情報が消えるのでアストロでサーチ不可能になります),慧眼も虹彩もどちらもアストロでサーチ可能である場合があると思いますが,この時覇王門のP効果が未使用で覇王門がスケールにいる状況であれば慧眼をサーチした方がよいです.

理由は,途中で覇王門を零に張り替えると慧眼のP効果が使用不可になり,慧眼の価値が落ちることになるため,デッキ圧縮を兼ねて慧眼を優先的にサーチした方がよいからです.

「デッキに不要なカードを残さない→デッキ圧縮」も,地味ではありますが重要なポイントです.覚えておくとよいでしょう.

Pによるアドの確保およびPの温存

覇王魔術師デッキはペンデュラムデッキであり,武器はP(ペンデュラム召喚)によるアドの確保です.
よって,「Pでどれだけ効果的にアドを確保できるか?」「Pをどれだけ活用できるか?」を常に意識するとよいでしょう.
具体的には,先ほどニビル受けの項目でもお話しした通り「P前エレク,P前ウーサ」の動きは必須と考えてよいです.
これにより,結果的にニビル受けになるだけでなく,ウーサのリンク先にEXからPできるため絶大なアドバンテージを確保できます.

また,Pを温存しておくことにより,仮にウーサまで繋げる前に相手がニビルを切ってきたとしても,P権利さえ残していればまだ建て直せる可能性は十二分にあります.

したがって,このデッキの武器であるPを活用することを考えるのが重要です.

おわりに

いかがでしたでしょうか.
本記事では,覇王型覇王魔術師デッキの先攻2枚初動について解説いたしました.
今回解説した内容以外にも,
・構築の根拠
・後手の巻き返し
・サイドチェンジ
・プレイ中に考えること
など,まだまだ紹介しきれていない要素が山積みです.
もし反響が大きければ,追々それらについても解説していきたいと思います.

覇王魔術師デッキは,現状環境的に不利とはいえ,
・2024.01の規制を全く喰らわず,
さらに
・2024.02に再録が確定している
などの理由で,今非常にアツいデッキです.

本記事が,今日と明日の覇王魔術師の使い手に貢献し,覇王魔術師の使い手が増える,強くなることを願ってやみません.

それでは,またお会いしましょう.
Good luck.

余談(大会での覇王魔術師使用者が減っている件について)

ここまで覇王魔術師について熱く語ってきたのにこういうことを言うのもなんですが,大会での覇王魔術師使用者は間違いなく減っています.
参考資料として,2023.12.20開催の第161回ネクストプレイ杯のデッキ分布および2023.12.24開催の第247回太陽CSのデッキ分布を提出します.

おわかりでしょうか?
そう,覇王魔術師使いが一人もいないのです.

理由はいくつかあると思いますが,私の考察では先ほどから何度か述べておりますように
・蛇眼の炎龍(以下炎龍)の台頭
・サイド魔封じの芳香(以下魔封じ)の流行
・サイドコズミック・サイクロン(以下コズサイ)の流行
などが大きいと考えます.

炎龍

炎龍は,蛇眼および蛇眼炎王の切り札に相当するカードです.
このカード1枚でマスカレを簡単に(間接的に)蘇生できたりしますが,Pデッキである覇王魔術師デッキにとって最も厳しいのは「Pゾーン封殺」です.
こちらがうららやG,ドロバなどの誘発を切るだけで,それらのカードを簡単に炎龍でPゾーンに置かれてしまいます.
こうなると,ライストが使えなくなるだけでなく,P自体できなくなります.これは非常に厳しいです.
突破するには,
・大嵐
・コズサイ
・ツインツイスター(ツイツイ)
・禁じられた一滴(一滴)
などが有効と思いますが,それでもこれらの札が引けていないことには非常に厳しいですし,炎龍1枚のためにこれらの対策札が要求されるのはなんともコスパの悪い話です.

魔封じ

覇王魔術師だけでなく,R-ACE,炎王,神碑,ピュアリィなど,最近の環境上位デッキは魔法を多用するデッキが非常に多いです.
よって,それらのデッキの展開を止めるために魔封じもサイドに多く搭載されています.
確かに,魔封じによって自分の首を締めることにもなりますが,それを考慮しても強力なカードです.

覇王魔術師は,コズサイなどが引けない限り魔封じ1枚でほぼ詰みます.

コズサイ

これらのカードに対する回答として最近注目されているのがコズサイです.
先ほど構築の項目でもご説明した通り,私の構築でも3枚サイドに採用しています.

味方にすると頼もしいカードですが,覇王魔術師にとっては敵に回したくないカードです.

相手が先攻でコズサイを伏せていた場合,慧眼や覇王門のP効果にチェーンしてコズサイを撃ってくる可能性がありますこうなると,EXゾーンにPモンスターを貯めてアドを稼ぐ覇王魔術師にとっては非常に厳しいです.

はい,このように現在の対戦環境やメタゲーム,サイドの流行を考慮すると,覇王魔術師は「選択してはいけないデッキ」とまで言うと言い過ぎですが,「何もわざわざ選択することはないデッキ」と言えると思います.
実際,私の周りでも「今の環境で覇王魔術師使う人はちょっと…」という声も耳にします.

来季,2024.01環境を迎えたとしても,炎王と蛇眼,さらに篝火に規制がかかっていない以上炎王の天下になる可能性が高く,残念ながらこの状況は容易には覆らないことでしょう.

この話を聞いて,

「なんだ覇王魔術師弱くね?」
「使うのやめるわー」

という考えを持つ人もきっといるでしょう.私は,その考えも否定しませんし,大会で勝つために「より勝てる」デッキを選択するのも立派な考えだと思います.

しかし,もしも,もしもこのような逆風であっても覇王魔術師を使いたいという熱い意志をお持ちの方がいれば,ぜひ私と一緒に覇王魔術師を研究していきましょう.

いつでもご連絡お待ちしております.


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