見出し画像

週末にざっと読むJABA掲載論文Vol1

はじめに

これまでつまみ食い的に読んでいた、応用行動分析学関連の論文を今年は10年分ガッツリ振り返ろうということで、読み進めています。

その中で、へーと思ったものや面白いと思ったものをざっくりと一覧形式で紹介していこうと思います。

普段忙しくてなかなか国際論文読む機会ないなーという方や、この機会に興味深そうな論文を読んでみたいという方は是非ご活用ください。

ちなみに、日本語で応用行動分析学の論文が読みたいという場合には、こちらの発表論文Jstageで読むことが出来たりします。
国際論文に関しては、PMCで探すか、Wiley online libraryなどで探すことができます。またこの人の論文が読みたい、最近の研究内容が知りたいという場合には、ResearchGateを使うと便利です。(登録されていてアクティブな場合には)

今週の論文

Treatment of Self-restraint Associated With The Application of Protective Equipment(プロテクターを利用した自己拘束に関する治療)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1986685/

自傷行為や、自己拘束は身体的危険や時には生命の危機に及ぶため、防止する必要がある。プロテクターと、強化を組み合わせて使用した時に、自傷行為と自己拘束が限りなくゼロに近づいた。 強化子(おもちゃ)単体で自傷行為の減少可能性があったが、重度の自傷行為であるため、事前にプロテクターを外して実験できなかった。追って検証すると強化子単体では自傷行為は減少しなかった。 

Teaching Spontaneous Responses to Young Children With Autism(未就学児の自閉症児に自発的な応答を習得させた)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1986683/

 口頭指示以外で発生する言語行動(例:人が歩いてきたのを見て挨拶する等)訓練を2〜3歳の自閉症児に、DTTでトレーニングした結果、定義した自発的な反応が観察され、般化(訓練を提供した人物以外など)もみられた。 過去の実験群は4~11歳時点での訓練で成果を挙げたのに対し、それより幼少の時にも訓練可能であることを示した。 長期にわたってスキルが持続するかは不明。音声刺激以外のものとして視覚刺激を使用したが、それ以外の刺激に関しては調査が必要。

Further Analysis of Antecedent Interventions on Preschoolers' Compliance (未就学児に対する先行条件を操作するトレーニングの詳細な分析)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1986698/

2〜3歳の発達障害ではなく言語障害もない未就学児のコンプライアンス違反(指示遵守しない行動)に関して、ABIを用いたトレーニングの効果を調べた。結果、有効一人、効果がなく消去が必要だった児童が2名という結果になった。

Applying The Behavioral Economics Principle of Unit Price to Dro Schedule Thinning(ユニットプライスの原理をDROスケジュールを短くする際に応用)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1986697/

自傷行為など即時に自動強化される行動に関してDROがうまく機能しないことがある。強化子の強度を調べどのような条件であれば代替行動を選択可能か調べた。結果、強化子の強度を緩やかに増加させながら、強化スケジュールを短くした時だけDROスケジュール短くすることができ、逆に伸ばす最終的にDROで定めたスケジュールに到達する場合には一定のユニットプライス(反応と強化子の相対価値)を維持する必要があることが確認できた。

A Comparison of Performance Feedback Procedures on Teachers' Treatment Implementation Integrity and Students' Inappropriate Behavior in Special Education Classrooms(特別支援学級における、教師による治療の完全性と児童の問題行動に対するパフォーマンスフィードバックの方法を比較)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1986691/

 心理職がコンサルタントとして、学校教師にフィードバックを行うことによる、治療の完全性への影響とその際に児童の行動がどう変化するかを調べた。結果、治療の完全性を一定担保する方法が明らかになり、児童の行動も治療の完全性に伴って変化することがわかった。 教師による治療の完全性を担保するのは毎日対面してMTGすること以外にも、書面でのフィードバックや目標設定、リハーサルで担保できることがわかり、また、何かしらの方法で継続的に教師自身のパフォーマンスをフィードバックすることが重要だということも示唆された。さらに、教師からのフィードバックにおいても、この方針の受容可能性に関して高い評価が得られた。

The Effects of Videotape Modeling on Staff Acquisition of Functional Analysis Methodology(機能分析の技術習得におけるビデオモデリングのこ効果)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1868815

行動の機能分析を教師に習得させる際の手法それぞれの効果を調べた結果、講義型、部分的にビデオモデリングを使用した際にはそこまで技術習得が見られなかったのに対して、フルにビデオモデリングを使用した場合には高い確率で手法の習得が確認された。ただしそれはモデリングに使用するビデオ内にセラピストによるお手本が豊富に含まれている場合に限定されていた。

A Preliminary Evaluation of the Emergence of Novel Mand Forms(新しいマンド 形態の出現に関する予備的調査)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1868824/ 

言語獲得のトレーニングにおいて般化は非常に重要であるため、どのような条件の時にマンド に関して般化が起きるのか調べた。プロンプトおよびDRを使用して、1〜2個のフレームありのマンド (例:車が欲しい、等)を訓練してみた結果、参加者全員において、他のものに関してもマンド が発生することが確認された。

Establishing a Generalized Repertoire of Helping Behavior in Children with Autism (自閉症児の支援行動の般化レパートーリーの確立)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1868822/

自閉症児の支援行動(大人の手伝い)の般化レパートリーの確立実験をした。ビデオモデリング、プロンプト、強化を使用して訓練した結果、訓練中に使用した弁別刺激がある環境下で支援行動の般化が確認されまた、訓練されていない刺激に関しても支援行動発生する頻度の上昇が観察された。  この治療パッケージは、自閉症児の支援行動の般化レパートリーを確立するのに効果的だが、多要素介入の複雑さにより、特定の環境で適切に実施することが困難になる場合がある。 

Enhancing Early Communication through Infant Sign Training(サイントレーニングを用いた幼児の早期コミュニケーション能力の拡張)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1868823/

 過去の研究において音声言語をまだ獲得していない状態でサインランゲージを学習することのメリットが示唆されていた為、幼児へのサインランゲージの学習を通じたコミュニケーションスキルの向上を実験した。遅延プロンプトと強化を組み合わせて簡単なサインを教えた結果、泣き声ではなくサインランゲージをコミュニケーションに使用するようになった。  

*2007年のものから振り返るため、最新の説と内容が異なる可能性があります。またあくまでざっくりとした内容となっている為、より詳しく正確に知りたい方はリンクより一次情報をご確認ください。

サポートしていただいたお金は、「試す事」に充てさせていただきます。