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「大西さんところの奥さんな、昔プリキュアやってんて」

「いやここだけの話やけどな。大西さんところの奥さんやはるやろ、あの人昔プリキュアやってんて」
「いやホンマかいな。ほな変身しゃはんの」
「今はどうか知らんけど、昔はようしてはったらしいよ」
「いやー、そんなん旦那さん大変やんかぁ」
「せやでアンタ。人目もあるしなぁいうて」
「いくつくらいまでしてはったん」
「結婚してすぐくらいまで。子供できてからしてはらへんらしいわ」
「ホンマぁ、まあでもあそこ二人やはるしな」
「もう一人めのときから、もうその頃からしてない言うたはったわ」
「ほな子供できてから大阪きゃはったん」
「そうらしいよ。一人めできるまで東京住んでたって」
「大西さんところ、あそこ旦那さんあの人大阪の人やんなぁ」
「そうよ。奥さん標準語で喋らはるやろ」


大阪のおばちゃんって最高じゃないですか。
あの井戸端会議の空気に素材を落としてスイッチを押すだけで、自動的にコントが成立するんですよ。
たまらんですよね。
よその家のことなんてそっとしておけばいいのに、ずっと心配してる。厳密には心配してないんですけどね。話の種になるだけで。
おばちゃんに限らず、あのおっちゃんがタイムマシーンの話してたらおもろいやろなぁとか、あのいかにもなギャル二人がずっとソクラテスの話題で盛り上がってたら最高やなとか。お手軽ミスマッチ大阪。最高やね。
「なにわの」ってつけたら、その先どんだけかっこよくても全部胡散臭いからね。
なにわのダイソンや! 絶対吸引力変わるでしょ。それか、変わらんけど加減でけへんか。ずっと絨毯吸う。廊下から絨毯ですぐフゴッってなる。

「せやかてプリキュアてアンタぁ、重労働やないの大変よ。若い頃から苦労してきゃはったんやわ」
「ホンマなぁ。ほんでな。子供さんも女の子やしな。プリキュアかもわからへん言うて悩んだはんねん」
「いやぁ、ホンマぁ。名前考えんのも大変やしねぇ。もう桃子や花子や言うてられへんやんか」
「せやでぇ。ドレミちゃんでも古いねんで今は」
「ホンマかいな。言うてみたいわ、あたしドレミちゃ〜ん言うて」
「アンタがいうたら暴走族かなんかの名前や思うがな」
「誰が暴走族やの」

二人共「ぎゃははは」って笑います。

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