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「経済を回す」という黒魔術の呪文

ドイツの人がなぜ可処分所得が低くても豊かに暮らせるのか?みたいな節約術の話を聞いた。

ドイツの人は、なんでも買うんじゃなくて自分でやる、というマインドがあるということが紹介されていた。

日本で「できるだけお金を使わないで自分でやる」という話をすると、「それじゃ経済回らないじゃないか」と反論されたことがある。

確かに完全自給を目指すのもよいけど、コミュニティでの助け合いなど、人との関わりもあった方がいいとは思うけど、その反論の真意はそういうことではない。

世の中は「経済を回す」という呪文のもと、さまざまな黒魔術を使おうとする輩に溢れていて、みんなその黒魔術にかかってしままっている。その結果の強迫観念。

「やっぱり、D通の仕業だな」と、うちの猫が言うので、昔、広告関係の仕事をしていた時のことを思い出した。

最近話題の「令和のリクルート事件」で、また注目されてしまったR社で働いていた時代があった。その頃はバブルの末期ぐらいという時期。まだイケイケで残業も多かった。コピーライターなどが花形職業で、糸井重里なんかがもてはやされていた。

その頃は「おいしい生活」とか、なんだかよくわからない、ふわっとしたイメージのコピーライトで、みんながふわっとしながらお金を使えるほど余裕があった時代なんだなと振り返ってみて思った。

しかしながら、最近はおそらく、そんなふわっとしたコピーライトに振り向く人などいなくなった。

アテンションエコノミーのような、センセーショナルな言葉を振りまき、目立ってお金儲けをするYou tuberのようなものが登場。そういう言葉にさらされているので、より刺激を求める人が増え、そのような感性に訴えかけるためには、より人間の欲望を刺激し、行動に移させるような、えぐい言葉遣いがますます増えるという悪循環。

ふわっとしたことでは人は注目しないし、お金を使わないし、行動しないので、人間の欲望の本質を突くような言葉が白昼堂々と闊歩している。つまり、黒魔術が堂々と行われている。

経済回さなきゃ、お金のブロックを外しなさい、自己実現しなさい、と、その呪文はどんどん内面まで蝕んでいく。

こわいこわい。

ドイツ人の暮らしの話に戻ると、そんな欲望とは全く関係のない、非常にメンタル的な暮らしが紹介されている。それを紹介していたYou tuberの人は「僕はめちゃくちゃ共感しました!ご覧になっている皆さんはいかがでしょうか?」と問いかけていた。

共感というか、パーカル族にとっては普通だから。



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