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【一生をともにできる】と言い切れるくらい素敵なモノにあなたは出会ったことがありますか?

【あかいりんご】
という分厚い鉄でできたヤカンがあります。鉄瓶って知ってる人じゃないとイメージできないと思うのであえて書きます。
いまどきお湯を沸かすことなんてティファールでいいし、ステンレスのヤカンなら錆びることもありません。
けれどもこの鉄瓶は重いんです。そして水を入れっぱなしにするとすぐに錆びます。
なんとも面倒くさいこの鉄瓶。過去の遺産。伝統工芸としてなんとか残ってる。

悪口っていくらでも書けますよね。だって悪いところをわざわざ見つめてるんだから。
人もモノも同じです。悪いところを見るとそればっかり見えてくる。
そしてそれは自分がどうそのものごと、ひとを見るか、とらえるかで変えられるのです。

という話を今日はしたいのではなくて。今日は鉄瓶のお話。
僕はこの面倒くさいものが大好きになったのです。

白湯がおいしい。コーヒーがまろやか。
こういうのはよく聞きますね。けれどもはっきり言うと、それすらどっちでもいいくらいに、僕は鉄瓶を火にかけてお湯を沸かして、ブクブクなったら中身をそっくりそのままポットに移すまでが大好きなのです。

そこにはひとつの所作、といえるなにかがあるんだと思う。
自分でやっていても美しい所作だと思う。
だから僕はコーヒーを点てるときに、鉄瓶を使います。

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日本のフリーコーヒーの旅で僕が大切に使っていた、そのあと韓国にも香港にも持っていった鉄瓶はどこかに旅に出てしまいました。

コロナのときに自分がフリーコーヒーをしに行くことができないので、それでもなんとか人に安らぎを届けたくて【旅するコーヒー】というのを思いついたんです。僕のバックパックにありったけの思いのこもったコーヒー道具を詰めて旅に出す。そしてそれを受け取った人がコーヒーをいれて、楽しんだら次のひとにバトンタッチする。

これぞ旅するコーヒー。自分のお気に入りだった月兎のインディゴカラーのポット。
ネパールの銀職人モハンさんが作ってくれたコーヒースプーン、山梨の文子さんが旦那さんからプレゼントしてもらったザッセンハウスのコーヒーミル、それから葉山にある鉄鍋専門店クックアンドダインの山口さんからプレゼントしてもらった南部鉄器の鉄瓶。

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ぜーんぶ僕の大切な道具なんですが、こんなときだからテキトーではなく、サイコーに思いの詰まった道具をバッグに詰めて旅に出したんですが、最初のふたりだけ連絡もらっていたから所在確認していたんですが、その後はどこに旅にいったのか、もう分からなくなってしまいました。

旅に出すときから、いつか帰ってきたらぐらいに思っていたのでこれでいいとも思うのですが、やはり友だちが作ってくれた大切なものだったり、それから誰かの形見だったりするものってやっぱり気持ちの整理もつきにくかったりしますね。

僕のところに戻ってこなくても、誰かが気に入って使ってくれていたらそれでよしとしましょう。もしこのブログを読まれている読者のかたで心当たりのあるひとがいたらご連絡くださいね。無事に旅していることを知れるだけでも嬉しいですから。

masa@earthride.jp


さて、そんなわけで僕はいま次の歩き遍路をしながらのコーヒー旅の準備をしているのですが、当然のごとくお気に入りだった鉄瓶はありません。あるのは1.5リットルもお湯を沸かせるお家専用のでっかい鉄瓶だけ。

どうしたものかと1週間ぐらいメルカリでいいのがないかなぁと探していたところに、急に思い出したんです。

後輩で岩手県にインターンで1年間住んでいて、向こうですっかりコーヒー職人になってしまった美有が「自分のためにこの職人さんが作ったりんごの鉄瓶を注文したんです!」って徳島で再会したときに僕に見せてくれた写真の鉄瓶。

あれサイコーのたたずまいやったなぁと早速【鉄瓶 リンゴ】と入れたら出てきました。

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これだ。もうこれにしよう。
予算とかいえないくらいに高いけれど一生の相棒にできる。
そうして注文画面を見て、ショック。

「受注生産のため3、4ヶ月かかります」





あかん。あかんけれどあきらめきれへん。

これを見てしまったらもう他のものは全く欲しくなくなってしまいました。
なので、注文ページのところに問い合わせフォームがあったので、メールを送りました。

これまでコーヒーと鉄瓶とともにフリーコーヒーを続けてきたこと。
一杯のコーヒーで世界はつながるかもしれないという思い。
誰かに思いを伝えるために、自分にとって最高に思い入れのあるものでコーヒーを
点てて振る舞いたいこと。

もし手配いただける在庫があれば。
中古でもいいので購入させていただけるものがあれば。
どうかお願いします。

と送ったら数日後に代表の田山さんからメールが届きました。

はじめまして。
kanakenoのブランドを運営しているタヤマスタジオ代表の田山と申します。
あかいりんごのお問い合わせ、有難うございます。
西川さんのご活動、YOUTUBEをメンバーで拝見しました。

文化的な背景が違う人同士がコーヒーを通じて繋がる様子、
また現代ではみんなが忙しすぎてコーヒーを淹れている時間すら惜しいところ、
コーヒーを淹れている時間が余白を作り、会話や理解や笑顔を創っている様子を拝見して、経営会議中にみんなほっこりしてしまいました笑。

私達の販路としても中国や香港、台湾など海外もありますが、文化的な人との交流においては、皆とてもフレンドリーでお互いの尊敬の土台の上でコミュニケーションが成り立っていることを実感しているところです。

我々のお話を少ししますと、南部鉄器の職人は、藩政時代、城下町の町人生活を作る際に必要な鍋釜などの道具を作ること、また、初期段階は上流階級のコミュニケーションの場を作る道具としての茶の湯釜、後にはその文化が町人にも手軽な煎茶道として伝わり、その際の道具としての鉄瓶を作ってきました。その文化が現代まで約400年続き現代につながっております。

現代では、単に湯を沸かす道具という意味合いが一般的ですが、我われは我々の先人が辿ってきた背景から、社会に、人々に鉄瓶が湯を沸かす以外にも、何かを届けられるのでないかという想いで「くらしをつくる」「コミュニケーションをつくる」道具として、鉄瓶を捉え直し、活動をしているところです。

鉄瓶にはそういう背景もございますので、西川さんが我々の想いの乗った鉄瓶で、ご活動されることを想像するととても嬉しく思います。
是非、あかいりんご をご提供したいと思います。

本当は直接お渡ししたいところですが、今月下旬にご出発の予定ですと、お送りした方が良い気もします。
数日で発送は可能かと思いますが、お送り先をお知らせください。
ちなみに色は黒でよろしいでしょうか。

お返事をお待ちしております。



(T . T)

(T . T)

(T . T)

(T . T)

(T . T)

もう完全に僕がしたいことと世界観が一致してはりますやん!

しかも、しかもー!提供てー!なんてこった!

もうそれは嬉しくて涙が出そうで、けれどここで

「じゃあ送ってください!」

と返事しては旅人として失格だと思うので、田山さんに会って僕のコーヒーを飲んでもらって、それからあかいりんごを受け取りたいと思うので岩手まで行ってきます。

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