はじめたけど駄目だった自由な喫茶店に来てくれた、たったひとりのお客さんのお話。
自分を信じてやってみようとは、半分以上は自分に言い聞かせているようなもので、実際にやってみるときにはドキドキソワソワしているものですし、実際にそれがうまくいかなかったときなどはやってしまったことも含めて落ちこんだりするものです。
「自由な喫茶店」がまさにそんな感じでした。
これは実際には会っていないんだけれど、僕のコーヒーをご自宅で飲んでもらいながらzoomでつないで喫茶店のように気軽な感じでお話できます。というものです。
コロナで遠くのかたになかなか会えなくなって、けれどもきっと体温のある関わり方や、それからただ美味しい珈琲というのではなくて心がスーッと溶けていくような安らぎのようなものは必要とされているんじゃないか。
普段は焙煎したり、珈琲をいれながらライブ配信みたいなことをしながらお話をしているんですけど、それを誰かに届けてみようという気持ちではじめてみたのですが1週間経ってもどなたからもオーダーがなく、ひとりで落ち込んでいた翌週の火曜日あたりにポッとメールが届きました。
注文:自由な喫茶店
「コーヒーの到着が間に合うようであれば、9月15日、16日の17:00〜 または 18:00〜。
間に合わないようであれば、9月21日、22日の13:00〜でお願いします。」
僕のコーヒーをドリップパックを届けるために必要な住所、そして名前をみて、もしかしたらと思って当日つなげてみたらやはり。
注文してくれたのは、僕が学校で教えたことのある教え子でした。
当時小5だった彼はすっかり中学生になり、髪型は相変わらずクリクリ坊主ですが、表情も話し方もすっかり大人っぽくなりハキハキしていました。
話していると、どうも授業で関わらなくなってからも僕のホームページを覗いては近況をチェックしていて、そうしてこないだチェックしていたら自由な喫茶店なるものができていたので、これは久しぶりに会うチャンスだと注文してくれたそうです。
お互いの近況を語り合いながら、彼がバスケをはじめたことや、それから東京のコロナのことや、学校が楽しくて仕方がないことや、最近お笑いにハマっていることなどを話しました。たしかにでっかいマグカップにコーヒーをいれて彼は飲んでいるけれど、ときどきそのカップから思い出したようにコーヒーをすする彼がとても愛おしい時間でした。
彼が聞きたかったんです。とたずねてくれたことがふたつ。
それは外国で珈琲をいれてみたときの現地の反応はどうだったのかということ。
彼はどうやら僕の韓国でのフリーコーヒーの記事を読んでくれたようです。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5dfdefe5e4b05b08bab62257
「メディアの報道では決していいイメージではないと思うけれど、
正直に偽りなく、僕が国旗をつけて滞在しコーヒーをいれた3週間、一度も韓国のひとから悲しい言葉を投げ掛けられたことはなかったよ。」
そう話したとき、彼はあーやっぱりそうなんですねーと大人っぽく頷きながら、なにかを噛みしめているようなそんな表情でいました。
あとは最近ハマっていること、を聞いてくれました。
僕はYOUTUBEでNBAのプレーオフを観ることとお笑いを観ることと伝え、彼はなんと自分が好きな芸人は上沼恵美子さんというまさか、現代の中1が上沼恵美子を知っていることも、彼女が好きだということにもおったまげて「最近の若者」なんて決して言えないなぁと思いながら噛みしめていました。
zoomの途中で弟くんが帰ってきてマンションの鍵をあけていたり、きみのことSNSで書いていい?と聞いたら、PTAの会合からかえってきたお母さんに聞きにいっていたり、なんだか彼より自分のほうが楽しんでしまった気持ちになった自由な喫茶店でした。
もう2年も経つのに、こうして覚えていてくれて、見守っていてくれてありがとう。
気持ちが落ち込んだり、失敗したかなと思うこともあるけれど、たったひとり君が参加してくれたことで、やってよかったと思えたよ。ありがとう。
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自分が自分でいられること。
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