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混じり気のないエネルギー【12/19-12/25】

名古屋の会社のリーダー3人の場に午後から同席させてもらった。男性3人のやり取りには、時に長い沈黙があった。考えや感じていることの熱のこもった応酬があった後には、鋭い問いで風が吹いた。全てのやり取りは決して軽快なテンポではない。何度も何度も、これじゃない、あれじゃないともがきながらこの会の源である彼から最後に出てきた言葉は、会社のお偉いさんっていう肩書とか、かっこいい言葉とかそれっぽい言葉とか正しい言葉とかそういうことじゃなく、「その人そのもの」の言葉だった。

人間に限らず生き物は取り繕うより集中していたり真剣でいたりという意味で「素」でいる時こそ魅力的に見えるということは、私たちがよく知っていて、そしてとにかく私たちが忘れたり信じられなくなってしまうことのひとつ。

私とひでがふたりで最初にひらいたセレモニーのことを思い出す。最初のセレモニーは、自然の中でただただ自分の真ん中に触れながら話し続けるという語りの場だった。何時間もかけて、地球と一緒に互いの声に耳を傾け続けた。今ではすっかり私の心の親友になっている彼女と出会ったのもあのセレモニーだった。

雨が降っていた。夜の時間だったと思う。木々の葉っぱにかろうじて守られながら、私たちは焚き火を囲んでいた。かっぱを着た彼女は話しながら泣いていて、彼女の整った鼻からは鼻水が垂れていた。彼女はそのことを自然に気に留めながら、拭うことはせず、自分の真ん中に触れることに心を一身に向けながら、彼女の物語を話し続けた。

森の中、雨の音、美しい女性の鼻水と涙。

私は、「すごい鼻垂れてるな」と思いながら、拭いてあげたいような、触れるのもおこがましいような、これはなんだかすごいぞっていう気持ちに圧倒されて、話が全く入ってこなくなって、鼻を垂らした彼女に見惚れていた。太鼓の音がどんどん大きくなっていくみたいに湧き上がってくるこの気持ちは一体なんなんだと言葉を探した。一番当てはまるのは、畏敬の念だった。

彼女が放つ存在感に圧倒された私は、彼女のスピリットがどんな世界を望んでいるのかが鮮やかにわかったような気がした。どんな世界を望んでいるかを彼女が明確に言葉にしたわけではない。ただ私には「わかった」ような感覚があって、言葉や何かで証明しようがない圧倒的な信頼がその時からずっと続いている。

話は戻って、同じことが名古屋の会議室でも起きた。この会の源である彼は、最後の最後にこう言った。

「お互いがお互いを好き同士でいたいんです。」

何度も何度も自分の真ん中に手を伸ばしてやっと辿り着いたところから発せられた彼の混じり気のないエネルギーは、立派な建物の立派な会議室に集った立場のある男性たちの間に染み込むように響いた。

彼の言葉を受けた2人のリーダーは、

「そうじゃないより、そっちの方が絶対いい」
「そうできたら確かにそれがいいよなと思う」

と言った。同じ会社に勤める、スーツ姿の男性リーダーが3人。みんな、源の彼の言葉にただ同意していた。難しい言葉を使う人は1人もいなかった。

混じり気のないエネルギーは、スピリットの切望からやって来て、身体を通してこの世界に現される。その時私たちは、素直に同意してしまったり、「お祝い」や「恋」や「祭り」のような気持ちになったり、震えたり、畏敬の念を抱いたりする。それは全部、理屈じゃなくて感じる世界で起きている。私たちってすごく神秘的な生き物だなあ。

Earth Partner

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ビーズの輪を紡ぐ会
2023年、沖縄・関東・関西で開催します。


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