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私の声を聴くこと・あなたの声を聴くこと【9/12~9/19】

朝早くオフィスに着いた。いつもの会を朝8時から始めることにしていたことに加えて、ウインドイーグルとのコールを7時から予定していたから7時前には着いていた。こんな早い時間、会社にはまだ誰もいないはずと思っていたら、階段を掃除する誰かがいた。常務だった。びっくりした。靴屋の小人の物語に出てくる小人を目撃したような気持ちになった。掃除をしているその姿に「俺常務やけど早くきて掃除してますねん」みたいなぞんざいさというか傲慢さが微塵も感じられなかったことに気づいてまた驚いた。立場や役割が与えられるとそれに応じて自分を大きく見せようとする人はいっぱいいるけど、立場や役割があってなお靴屋の小人のプレゼンスでいられる人はなかなかいない。そういう人を私は心から尊敬する。彼が階段掃除をする姿には、まるで農家の人が土や野菜に触れる姿と同じような尊さがあった。「想い」とは、勝手に滲み出るのだなあ。

ウインドイーグルは私たちがこの会社でやっている取り組みをとても嬉しそうにたくさんメモをとりながら聞いてくれた。素晴らしい試みね、今はどんな状況なの?みんなはどんなフィードバックをくれているの?と、真剣に興味を持って質問をしてくれた。ウインドイーグルは、ティーチングの時やこういうミーティングの時、ものすごくたくさんメモを取る。以前不思議に思って、何をメモしているんですか?と聞いたら、「みんなの言葉をそのまま書き留めてるのよ。みんなが言った言葉を変えずにそのまま覚えておくために。」と言った。私はこのウインドイーグルの言葉に感銘を受けた。私も人の言葉をちゃんと聴きたい。変えずに覚えていたい。だけど私は思い込みが激しいので、そんなつもりがなくても解釈を加えたりして言葉を変えてしまうことがある。その時それは私の言葉になってしまう。真っ直ぐ聴く練習がしたい。そのためにウインドイーグルのやり方はとても良いやり方だと思って、それ以来まとめたり省略したりせず人の言葉をそのまま書き留めることを続けている。

早朝会社に集合して私たちふたりと社長で河川敷に向かった。気持ちよく晴れて、風が涼しく吹いていた。社長の話を聞いていて、その話はじめから、ああ今日はとても良い日になると思った。この日を迎えると決めた前回から今までの間に社長が過ごしてきた時間を想った。覚悟とはこういうことだ。その覚悟がどこから来ていて、どこに向いているのかを明らかにするために私たちは4時間を太陽の下で過ごした。終わる頃、ひでと社長は見事に日焼けした。私は元が黒いのでさらにちょっと黒くなった程度だと思ったけど、早朝会った常務の彼には「焼けたねえ」と言われた。思ったより焼けてたみたい。

その日の午後のプロセスは、何をしたかを説明するととても簡単だけど、この日の空気を説明するのはとても難しい。人は人と本当に一緒にいようとする時、いろんな気持ちになる。ウキウキしたり、嬉しくなったり、聞いて欲しくなったり、わかって欲しくなったり、わかりたくなったり、わかってもらえないってなったり、悲しくなったり、情けなくなったりする。人と人が出会う時、そこには生命のたくさんの表情がある。その表情が会社という場所で、取締役の人たちの間で現れる様は、こここそまさにこの会社の命の中心地という感じがした。

毎度祭壇を整えて、これを囲んで話します

その日は会が終わってからもなお、みんなの佇まいが忘れられなかった。良いことを言うことは簡単だ。能力を誇示するのも簡単だ。だけどその時、靴屋の小人みたいなプレゼンスは現れない。誰にも言わなくても、誰にも気づかれなくても、人や会社への想いをひとり胸に持ち続けて立ち続けてきた厚みって、年輪みたいだ。あなたが長い年月を、雨風の中も嵐の中もひとり立ってきたことに敬意を払いますという気持ちになった。大きな樹に出会うと祈るような気持ちになるのはそういうことなんだなと知った。

翌日は移動と、朝夜合わせて3つのミーティング。私たちがとてもありがたいのは、ミーティングがどれも心が震える響き合う時間になること。そういう人と一緒に仕事をしましょう、はたらきましょう、私たちにできる貢献について真剣に話していきましょうと話し合う時間をミーティングと呼べることに、有難くてたまらない気持ちになる。近々の話から、来年以降の話、再来年の話と時間軸は色々だけど、どれも虹みたいだ。光ってて、色が違う。
ミーティングの合間に嬉しい偶然で、友達と会えた上に、友達のおかげでドイツフェスティバルでウインナーもビールも買えた。前後の予定があったし突然だったのもあって15分くらいしか顔を合わせる時間は取れなかったけど、その15分で子どもたちといたずらやへっぽこな裁判ごっこをして、たっぷりあそんだ。私たちの周りの人はみんなどうしてこんなにかわいいんだろう。

南知多のファーストピースサークルは、ホーリーバジルのいい香りに包まれた。持ってきてくれた彼女がお茶の淹れ方も教えてくれて、それをみんなで飲んだ。あったかくて、いい香りで、美味しかったなあ。

その日は南の方角の知恵を味わう時間を過ごした。この方角のプラクティスは「エゴを越える」。エゴって言葉にはいろんな正しさとか善悪がくっついていて、それによってエゴは大抵の場合悪者にされているけど、この古代の叡智ではそうは見ない。エゴを手放せともエゴを捨てろとも言っていない。「エゴを越える」というプラクティスをしましょうと言っている。その意味を11人で深く感じ分かち合った。この日の始まりのビーズの輪(輪になってひとりずつ順番に話すセレモニー)は、この南知多のサークル史上一番長かった。想いが溢れてくること、沈黙も長くとられること。言葉がまだあるのかどうかをハートに確かめる時間。私たちは、そこにみんなで一緒にいる。

この日朝から大きい大きい虹が出た。感動して写真を撮ったけど、南知多観光ホテルの宣材写真みたいなのが撮れた。なんかちょっとちゃうかなと思ってみんなには送らなかった。もしもこれを関係者の人が見つけたらその際はどうぞ連絡なく使用していただいて大丈夫です。

南知多観光ホテルとメイツ内海東浜のロマンティックなツーショット

来年3月にひらくファーストピースサークルに、早々に人が集ってくれた。オンラインと対面で行うもので、北は北海道、南は屋久島から参加してくれる。私の古くからの友人たちも参加してくれる。そして、古くからの友人の1人である私の大切な人の娘も、参加してくれることになった。

今小5になった彼女を、私は幼稚園の頃から知っている。かしこくてやさしい、元気なしっかり者のむすめ。器用で不器用な少女。彼女とのズームではファーストピースとは何なのかを話した。そして私が彼女と一緒に過ごしたいと想っていることについて話した。彼女は私の話をとてもしっかり聞いてくれた上に、いくつか質問をしてくれて、不安も打ち明けてくれた。途中、画面の向こうで彼女は涙を拭いているように見えたけど、私たちはそのことには触れず会話を終えた。

終わった後、彼女の母である友人からメッセージが来た。

「里菜ちゃんにあなたと過ごしたいです、って言われたらわたくし泣いちゃった 笑」って冗談みたいに言ってた。

私はこのメッセージを読んで、また胸がいっぱいになった。私の言葉をまっすぐ聴きとってくれてありがとう。人の言葉をまっすぐ受け取る力、あなたの贈り物だと思うよ。すごいね。本当にありがとう。あなたが大きくなるところをずっと見てるし、応援し続けさせてくれてありがとう。私の想いがあなたに伝わって、しかもあなたがそれに応えてくれていることは、私を大いに力づけます。ありがとう。あなたと、あなたの子どもやその孫たちが住む未来にいっぱい栄養を贈れるように、私たち心を込めてはたらくね。一緒に生きていこうぜ。

今回の旅から帰ってきて夜眠りに落ちる間際に、どうして私たちの周りにいてくれている人たちってこんなに軒並みみんなかわいいんだろうと思った。幸せな気持ちで眠りについたその夜、優しい叔父に夢の中で死ぬほど怒られて土下座して謝り泣く夢を見た。目が覚めて、その意味を考えた。夢の中で怒る叔父も泣いて謝る私も私だと思った。私の内側にはずっと「いなくならないで」という声がある。最近この声をぞんざいに扱っていたかもしれない。この声をもっとちゃんと聴こう。繋ぎ続けていたい手が現れるたび、私の中のこの声は声を上げる。私は頑張りたいけど、頑張るってことはこの小さな声を振り払うことじゃない。叱りつけることじゃない。この声に何かをわからせることじゃない。この声の隣にいて、ちゃんと見て、ちゃんと聴こう。慰めず、ただ本当に共にいよう。この私の中の小さな声といつも一緒にいてあげられるのは、世界にこの私しかいないんだから。大切な人を大切に抱きしめる気持ちで、私は私の声を聴こう。プラクティスは続く。

Earth Partner 里菜

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