見出し画像

DX導入によって、建設現場・建設会社の経営はどう変わるのか?

「DX」というキーワードは、各ビジネスにおいてトレンド化しています。
ただDXは、まだまだ概念が先行し、どのビジネスシーンにおいても十分に浸透しているとは言いがたい。このコンテンツは、建機やそれにまつわる会社に焦点を当て、DX化することによるメリットを経営/財務視点で紹介していきます。

DXが土木建設業にもたらす変化とは?

人手不足の深刻化が顕著な建設業界

総務省が定期的に行っている「労働力調査」によると、2021年における日本の建設業界の就業者数は約485万人。ピークであった1997年の約685万人から30%近く減少しており、建設業界は深刻な人手不足に喘いでいる状況です。

いったい何故、建設業界が人手不足に陥ったのでしょうか?
要因として、主に次のようなものが考えられます。

高齢化にともなう就業者の離職・廃業
建設関連の仕事に従事する人材の1/3は55歳以上であり、他産業より高齢化傾向が顕著です。これに対して29歳以下の人材は1/10程度にとどまっており、このままでは少子高齢化にともなって、就業者数が徐々に減少していくことは間違いないといわれています。

建設業界の若者離れ
以前から問題視されていた「長時間労働」や「危険を伴う作業」などの悪いイメージが根強く、建設業界は若者から敬遠されがちです。また同様の理由で離職率も高く、魅力ある職場づくりや待遇改善に取り組むことが求められています。

人手が減っても現場が減ったわけではない
就業者数は減少の一途を辿っている一方で、建設投資額は回復傾向となっており、建築需要は高まっているといえます。今後もこの傾向はしばらく続くと予想されており、人手不足の解消や一人あたりの生産性の向上が急務であるといえます。

建設業界の問題解決に期待が集まるDX

建設業界におけるDXとは、従来の建設生産プロセスやビジネスモデルをデジタル技術で変革することを指します。

2016年に国土交通省が打ち出した、「i-Construction」もその施策の一つ。ICT導入とそれに伴うDX化によって、生産性を向上させ日本の建築現場を魅力あるものにしようという取り組みです。

建設業がDXに取り組む意義
建設業界は人材不足という問題に加えて、他業界に比べて長らく生産性が向上していないといわれています。

この背景には…
「一品受注生産」
「現地野外生産」
「労働集約型生産」
といった業界特性も透けて見えます。

日本の建設現場は、いまこそ「DX」によってプロセスを変革させるとき。DX化で一人当たりの生産性を向上させ、より少ない人数でこれまでと同じか、それ以上の工事を行えるような変化が業界全体に求められているのではないでしょうか。

残念ながら土木建設業界でDXが進んでいるとは言い難い

日本には、建設事業社が42万社ほどありますが、その多くは社員数10名以下の中小企業や1人で事業を営んでいる零細企業です。規模の小さな企業は、日々の業務に追われがちで、資金的にも新たな設備投資が難しい面もあります。

建設業界にDXが求められているとはいえ、このような状況も関係して、実際に取り組んでいるのは資本の大きな大企業がほとんど。残念ながら土工現場の主力である、中小/零細事業社とのデジタル格差は広がるばかりというのが実情です。

それではここから、具体的に建設事業社において、DXが進まない理由を見てみましょう。

①DX自体を知らない、言葉は知っていても理解するのが難しい

「DX」という言葉を知らない方は、まだまだたくさんいらっしゃいます。
例え知っていても、概念が難しく理解しづらい事業者も多いと言われています。現場で中核を担うのは、経験豊富な中高年以上のベテラン。彼らは、仕事のやり方を変えることや、IT・デジタル化に抵抗を持たれる方が多いこともDXが進まない要因のひとつといえます。

②DX推進によって一部に業務負担が偏る?

DXによって
「現場の効率化が進んでも、経理や事務職などのバックオフィスへの負担が増すのではないか?」
また逆に、
「バックオフィスは楽になっても、現場側の負担が増えるのではないか?」
こういった懸念から社内の反発を受けることも少なくないようです。

③DXは高額投資というイメージが先行している?

DXの目的は「業務生産性の向上」から「働き方改善」「ビジネスモデルの変革」であり、取り組むこと自体が目的ではありません。しかし、DXというと大規模なシステムや設備投資が必要で、高額な費用がかかるイメージを持たれがち。このようなイメージが先行することで、DX導入や取り組む姿勢自体が目的になってしまっている事業社も多いようです。

④費用対効果や損益分起点を見いだせない

DXの必要性はなんとなく感じているものの、費用対効果や損益分岐点がどこなのか、どう算出するべきかが分からず、二の足を踏んでいる事業者も多いと言われています。

⑤他社との連携や複数メーカーが混在する現場特性も影響

通常、現場作業には規模の異なる複数の事業社が参加し、使用する建機も多様です。当然のことながら、工事に参加する業者間でDXに対する認識の違いもあり、建機ICT能力にバラつきがあるとDX化は難しいと考える事業社がいても不思議ではありません。

技術の進化による業態進化で、もはやDX化は必然

DX浸透の過渡期ともいえる今日の状況は、FAXやインターネットが普及していった状況とよく似ています。

かつて手紙によってやりとりされていた文書は、FAXの登場によって距離と時間を飛び越え、インターネットとEメールの登場で紙すら不要になりました。

FAXもメールも導入当初は操作を覚えたり、仕事のやり方が変わったりすることに、抵抗感を示す人も少なくありませんでした。しかし、変化に順応してその便利さを実感すると、以前のやり方に戻ることなど考えられなくなっています。

DX推進も同様に、慣れ親しんだ従来のやり方を好む層との摩擦は予想されますが、建設業のビジネスや業務に不可逆的な変化をもたらすと思われます。

効率化の追求がDXではなく「成功プロセスから生まれた効率化」がDX

DXで誤解されがちなことが、デジタル技術による効率化=DXであるという認識や、DXである日ガラッと業務プロセスが変革するイメージです。

このコンテンツでは、建設現場に焦点を当てDXに関する事柄をご紹介していますが、実は業種業態を問わず、業績が好調な企業はDXを実践しています。ただここで注意したいのが、「成功している企業は、DX実現のために設備投資を行っている訳ではない」という点です。

成功した企業は、業績を向上させるために「利益」と「効率化」を追求します。その業績向上努力の結果、業務のデジタル化が進み、徐々にDX化されていったのです。

マーケティングによる効果的な成功メソッドは「模倣」

他業種の例になりますが、地銀やJAバンクは基盤地域で無償の経営者セミナーを実施しています。農業簿記や事業承継などの実務などのセミナーや、業績好調な農家や事業者の事例紹介などのセミナーなのですが、一つの事例として農業のICT技術などの事例などが紹介されたりしています。DX化、ICT化に取り組んだ結果、事業改革(つまり儲け)につながっていることなどがうたわれています。
DX化を推進しているという事例をセミナーで紹介することは、つまりビジネスモデルの模倣を推奨しているということです。
ビジネスを成功させる有効な方法の1つに“成功者の模倣”が言われています。たとえ業種が異なっても、成功のエッセンスは変わりません。

建設業における最短距離の投資先は
現場「現場に金が落ちている」

工事では作業に先行して多くの人材や建機・運送手段を確保しなければならず、工事完了後収入を得る前に多額の資金が必要です。事業者は工事の規模が大きくなればなるほど先行して必要な資金も大きくなることから、従来は体力のある企業でないと大規模工事を受注出来ませんでした。

しかし、今後デジタル化によって一人あたりの工事能力が上がれば、人を増やすことなく、以前は見送っていた規模の仕事へ入札することができるかもしれません。

昔より、よく「現場に金が落ちている」と言われます。つまり、DX化を推進すれば、先行投資と資金回収のバランスに変化が生まれ、より効率よく収益を上げることができる可能性が広がると言えるのです。

小さく初めて大きく育てるDX化のススメ

インターネットで「建設業 DX 事例」と調べても、大手ゼネコンのDX事例などがヒットすることが多く、中小の事業社は「そもそも予算規模が違いすぎる」と感じて、今ひとつDXに関心を持てなかったかもしれません。

しかし大規模なシステム開発やAIの導入ばかりがDXではありません。


EARTHBRAINの「Smart Construction」

EARTHBRAINがリリースする、Smart Constructionソリューションは、メーカーや大きさに関わらず、既存の建機に後付けでICT建機化できるDXソリューションです。

小さく始められる価格設定
DXやICT導入は中小の建設事業者にとって高額で、簡単に導入できるものではありませんでした。そこでEARTHBRAINは徹底的な市場調査を行い、導入していただきやすい価格を前提に開発を行いました。

安価でも高機能 
低価格でICT建機化できるといえども、“安かろう悪かろう”では普及を見込めません。Smart Construction Retrofitは、3Dマシンガイダンス機能はもちろん、i-ConstructionのICT活用工事の対象建機として利用できる機能を備えています。

誰でも操作できる直感的なインターフェース
Smart Construction Retrofit専用アプリは、スマホゲームなどを制作するゲーム会社がインターフェースを担当しており、IT機器の操作に不慣れでも直感的に操作することができます。

EARTHBRAINのDXに対する姿勢

Smart Constructionソリューションは、デジタル導入の「小さく初めて大きく育てる」を可能にするソフトウェア。DXのきっかけに最適なソフトウェアとして、自信を持っておすすめできる製品だと考えています。

EARTHBRAINは、単にソフトウェアというモノを売るだけの会社ではありません。商品を通じて建設事業者のDXや業務改善などに一緒に取り組む、「コトづくり」の会社でありたいと考えています。

まとめ

日本の少子高齢化は顕著であり、今後しばらくはこの傾向が強まりそうです。少子高齢化にともなう人手不足は、建設業界以外でも深刻な問題といえるでしょう。このような時流の中で、建設事業者が成長を続けるためには、作業員一人あたりの生産性を向上させるDXに取り組むことは急務といえそうです。

未着手の競合他社が多いと考えれば、DXに取り組むのが早ければ早いほど、ビジネスチャンスが増えるという見方もできます。

またDX化によって、長時間労働や危険作業などの問題が解消されていけば、建設業を敬遠していた若い世代にも、魅力的な環境だと捉えてもらえるようになるはずです。将来的にはDXの実現が、社内に新しい職種や部署を生み出すこともあるかもしれません。

EARTHBRAINはDX実現へのパートナーとして、お客さまの業務体制や将来の展望に最適な提案を行います。