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マスクと共にはじまった4年間
横浜港に停泊している豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号が、連日ニュースで流れはじめたころ、幼稚園に願書を提出した。
大きな幼稚園で、その年から2歳児クラスを始めるとのことだった。
4月に入り、初登園が近づくころには、世の中が得体の知れない恐怖に包まれてしまった。
必要最低限の活動しか許されず、娘を幼稚園に行かせることが不安になった妻さんから、「入室式どうしよう?」と相談を受けた。
(年少に入園式、2歳児クラスは入室式)
「無理して行かせなくても良いと思うよ」
自分は相変わらず出勤をしていたものの、やはり不安でそう応えた。
2歳の娘に、マスクのつけ方を練習させた。
イチゴが好きな娘のために、妻さんがイチゴ柄のマスクを作った。
幼稚園の先生が、わざわざポストに教材とお手紙を届けにきてくれた。
車の音で気づいた妻さんがほのかを抱っこして、ベランダから先生にお礼を伝えたと聞いた。
都知事がステイホームと繰り返していた。
6月から登園を開始すると連絡があった。
そのころには、マスクを着用することも上手になっていた。
お昼ご飯は自宅なのに妻さんのお弁当で練習をしたり、トイレの練習をしたり。
うちの子、ちゃんと行けるかな。
行き渋りしないかな。
娘が寝てからの夫婦の会話は、娘の心配ばかり。
初登園の日。バスの時間より少し早めに外に出る。
黄色い車体が目の前に停まる。
お迎えの先生が降りてきて、おはようございますの挨拶のあと、先生に促されてバスに乗る娘。
あまりにも自然に、いつものことのようにバスに乗って、窓越しにこちらを見ている娘に、慌てて写真を撮る。
バスを見送ったあと、妻さんに本当はバスの写真撮っちゃダメなんだよと教えられる。
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すんなりと登園する娘に、夫婦で目を合わせて吹き出した。
あれから4年。
明日は、娘の卒園式。
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