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さくらひとひら
風がひとひらの花びらを運んできた。
僕は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。
君は気づくことなく、全身で桜の季節を感じている。
僕は、君とキミのうしろ姿を、春の陽射しのように穏やかな気持ちで見ている。
「来年は、3人で見れると良いね」というと
「来年"も"だよ」と、お腹をやさしく撫でる。
「さくら、きれいだねぇ!」とキミが笑う。
右手はパパ、左手はママと繋いで、生まれてから3度目の桜の季節を感じてる。
「もうすぐ幼稚園だね」
あっという間に、僕はパパで、君はママで、キミがいる。
そのうち、僕はパパからお父さん、君はママからお母さんになるのかな。
もっともっと先には、僕はじいじ、君はばあばになるのだろうか。
そうだとしたら、キミはママだね。
風がひとひらの花びらを運んできた。
僕は、白髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。
それに気づいた君がふりかえる。
僕は僕にもどり、君は君にもどる。
そんなことを想いながら、
満開の桜を眺めた。
◇
もつさんの記事を拝見していて、企画のことを知りました。
最近書くことが出来ず、中途半端な下書きばかりがストックされる状態が続いてた私にとって、これはありがたいと思った次第です。
出だしと、終わりが決まっていて、あいだを創作する感じ。何書いてもいいよ!と言われるのもいいですが、ちょっと決まってるのもいいなと思いました。
企画されたのは、yuca.さん
さっそくチャレンジしてみて感じたことは、出だしと終わりが決まっていることで、日常の切り出し方が変わったこと。
そして、切り出し方が変わったことで文章がスーッと導き出されたこと。
とても面白い経験をさせてもらいました。
きっかけをくださったもつさん、yuca.さん、ありがとうございました。
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