なんとも定量化できぬ "弱い価値"、それこそが未来を耕すデザインの指針
デザインをする時に大切なことは何だろうか?
そんなことを気になっている際に、「想いを描き、想いをカタチに。」を企業理念に掲げる TAKT PROJECT 代表 吉泉聡氏に「未来を耕すためのデザイン」についてお話を伺った。その内容がとてもしっくりくるものだった。
吉泉氏は、東北大学工学部機械知能工学科卒業後、デザインオフィスnendo、ヤマハデザイン研究所を経て、TAKT PROJECTを設立。現在は、グッドデザイン賞審査委員も務めている。
目次
1)アウトプットより、ビジョンを大切に
2)誰にも文句を言われぬ強い価値が、本当に正解?
3)Design is “to Cultivate”
1)アウトプットより、ビジョンを大切に
吉泉氏は、企業のビジョンをクリエイティブを通じて、表現することを手伝っている。ミラノサローネに出展した、トヨタグループの自動車部品メーカー アイシン精機のインスタレーションでは、モビリティの新しい時代を拓き、人とクルマの新たな関係をリードしていくことを目指し、「The next frontier in mobility」をテーマとした。
そんな吉泉氏がデザインで大切にしていることは、下記だ。
・よりよくつくる
・新しい価値軸をつくる
では、価値とは何だろうか。
2)誰にも文句を言われぬ強い価値が、本当に正解?
既存の価値軸は、誰にも文句を言われない、疑いようのない価値を指す。
一般的には、このような「確かな正解」を目指していくだろう。
しかし、吉泉氏は、正解かどうかわからない「弱い価値」こそが、「新しい価値軸」となると言う。
▼吉泉氏が小中学校の頃に憧れていたもの。
▼なんとも定量化できない価値
吉泉氏は、既に最適化されたものを考えた際に、なんとも定量化できない価値にこそ、可能性があることを感じ、これまでコンフリクトしたもの、工学を学んでいたが、それからはデザインで埋めていきたいと思ったそう。
3)Design is “to Cultivate”
吉泉氏は、自分が考える役割として、「価値」を発信していこうと設立当初から思っていたそうだ。デザインをサポートするためのものではなく、ドライブするものとして捉えている。
まだ「言語化/定量化」できていない、弱い価値の可能性を
どう現代社会の中で、強い価値と対等なものとして扱っていけるか?
その方法こそが「デザイン」だ。
▼Dye It Yourself / Self-driven Research Projects
吉泉氏は、違いを量産したり、最終製品にこだわりを持つのではなく、ユーザーと製造者との関係性をデザインしていきたいと言う。
情報元:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第9回 吉泉聡氏 2019/09/04