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一億総発信時代の倦怠(再掲)

 芸能人も、専門家も、高校生も主婦も小説家も、今や自分が具体的に提供できる職能やスキル以外に、自分自身を発信していかねばならないと思わされている時代である。

 しんどい。

 小説投稿サイトも、頻回更新が尊ばれ、その方がフォロワーが増える。フォロワーが増えればいいね数が増え、ランキングが上がり、夢の書籍化……という訳だし、Twitterでそういう道を目指すのはやや道のりが遠いけれど、漫画絵などでは文章よりは比較的スターダムにあがるルートがあるようだ。

 でも、そういうの、細い蜘蛛の糸をよじ登って極楽浄土に行こうとするような行為に思える。私はそこから大声で叫んでいるけれど、他の人も負けず劣らず発信しているのである。世界の中心で叫んでも届かないという徒労感がある。

 そんなわけで今はTwitterのアカウントを消している。今度こそこのまま消してしまうかもしれない。

 Twitter上の議論を見ているのがしんどいとか、Twitterを通じて知り合った人にリアルで会うと大抵うまくいかなくなるという個人的な事情も大きい。創作の発信の場としてTwitterアカウントを活用しようとしてはいるけれど、それもなんだか雲を掴むような感じがする。Twitterの中の人にせよ、文壇にせよ、私は月に手を伸ばそうとするハリネズミで、ハリネズミの片恋は叶わないというようなことを思う。

 自分の実感に限らず、Twitter上で議論をしたところで社会に何か有意義な変化が与えられるかといったらそうではないし、Twitterの中の人はあくまでネット上の付き合いに留めたいという考えの人も少なくないので、その希薄さにやられてしまうのだ。

 実際には、匿名だからこそ救われる側面も大きいし、私もそれを利用して泣き言を言ったりしているわけだけれど、本当はそれもみっともないのでやめたい。

 もう少し社会的な側面で書くつもりだったのに、どうしても個人的な話が噴出してしまい、一時三千字近くなったのを半分以上消した。この元気のなさから、改めて一億総発信時代の病理について語るのはしんどいので、このまま筆を置く。デジタルデトックスは奏功していて、noteの30日更新にもあまり意義を見出せなくなっていさえするけれど、文章を書くことはまだ一応諦めていないので、今日は途切れさせないようにしようと思う。

※note30日チャレンジ12日目?(確かに連続12日投稿なのだけど、どうもおかしい気がする) 累計 19,026文字 (オフライン含め20,856文字)

※操作ミスで消してしまったので、12月20日に投稿したものと同じ内容を再掲します。

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