”英語のハノン”に思うこと

世紀の誤訳 "You would be so nice to come home to" をググっていたときに、「この文を一目でネイティブ並みにパッと理解できるようになります」とかいう謳い文句にひっかかって、『英語のハノン』に手をだしてしまいました。
今、amazon で確認したところ、購入は8月6日と8月9日となっていました。
なんで2つも、購入日があるかというと、例の謳い文句がのっていたのが、”上級編” で、買おうかどうしようか、さんざ迷って(結構、お高いので・・・)
「よし!」と決心して、初級編をクリックしたつもりが、上級編をクリックしていて(どっちも薄いクリーム色なんですよ・・・)(ちなみに、よく見たら上級編は少し色が濃くて、文字色がブルーですね・・・)。OMG。

もちろん、上級編、トライしてみましたとも。
読むだけならこれでもいいんじゃね?と。

結果、口がまったく回らない。
終わる気がしない・・・

で、仕方なく ”初級編” を買い直したわけです。3日後に。
(つまり、3日は上級編をがんばってみたってことですね)

今、私の kindle には、ハノンの上級編と初級編が仲良く並んで表示されています。
ああ、うらめしい・・・

で、ハノン(初級編)。
ハノンといえば、昔、懐かし(くもないけど)ですね。
子供のころ、ピアノを習っていた人だったら、「あーーーーー」という
苦い思い出とともに、よみがえってくるものがあるのではないでしょうか?
(私はそうです・・・)
もー、おもろないわ、退屈だわ、でも練習しないと先生に叱られるわ、で、
ろくなもんじゃない。
でも、あれって、ベートーベンとかショパンを弾きこなすためのレッスンだったんですね、て、
先生、私は、今ごろになって、ようやく理解しましたよ。
(先にそれいっといてよーーーーー)

ピアノの練習は、もう、サボりまくっていたので、ハノンにしてもブルグミュラーにしてもチェルニーにしても、できるまで、何回も何回も、先生が繰り返しバツをつけるので、バツの数が5個や6個っていうのが、珍しくなく、そして、いつまでも同じ教則本を使っているので(脱出できない)、
私の本は、どれもボロボロだった記憶があります・・・(かつ、カラフル)

3歳から習いはじめて、高校生のころに、なんとか、ようやくベートーベンにたどりつきました。
(先生には、もうショパン弾いてないとおかしいって言われてました)
でも、たどりついたはいいけど、私は身長のわりに手が小さくて、指も短いので、ベートーベンでも弾ける曲がかぎられてしまって、ほとんど、有名どころ(まあまあ、私の好きな曲)は無理で、弾けたのは、マイナーな曲ばっかりで、「じゃ、次はこれね」とレッスンで先生が課題曲を選ぶたびに、「えーーーー、、、そっち・・・」って思ってました。
結局、ショパンにはたどりつけずじまいで、ピアノはやめてしまいましたが、おそらく、ショパンはもっと曲が限定されたかと・・・
先生が私の手をみて、「水かき切ったら?」っておっそろしいこと言い出してたんで・・・(ショパンを弾くなら、という前提です)

で、ピアノをやめるっていう、最後のレッスンの時に、
「せっかくここまで続けたんだから、ハノンだけでも練習してね」って、
先生は、言ってくれました。
「そしたら、また弾きたくなったときに指が動かせるから」って。

ええ、もちろん、私は、やっと、レッスンから解放された喜びでいっぱいで、ハノンなんて、やるわけがない。
むしろ、一番、やらない。

そう、
ハノン・・・って聞いただけで、これだけの思い出が、こみあげてきます。
ハノンってそういうものです。
でも、ハノンやらなきゃ、ピアノ弾けるように(弾きこなせるように)ならないんです。
普通の人は。

ピアノの前に座って、楽譜をセットして、鍵盤の上に右手と左手をのせたら、
「はい、スタート」
まあ、楽譜見た瞬間に、楽譜に書かれてあるとおり、正確に再現できるかどうかは、また別の話しですが、
まず、楽譜に書いてあることがわかって(頭の中で再現できて)、
それを自分の指を使って、鍵盤の上に再現していく。
そのときに、楽譜にかかれてあることがわからなくてはダメだし、指が動かない、なんて、論外。
ましてや、どの鍵盤がどの音かなんて、いちいち考えるまでもない。

あと、たまに、暗譜っていうのもさせられてました。

暗譜とは、まさに暗記で、1曲まるまる、楽譜をみずに弾けるようになるまで、繰り返し練習します。
そして、レッスンでは、つまったら、またはじめから、やりなおし。
2回くらいまでなら、ミスとして許されるけど、それ以上つまると、練習してないことがバレて、バッテンくらってしまいます。

レッスンの時、突然、先生が言うんですよ、こともなげに
「じゃ、この曲、暗譜で」って。
いやーーーーーーーーっって、内心、叫びまくりです。

なぜかというと、暗譜しようとすると、練習時間が長くなるから(ただでさえ、練習、嫌なのに!)。
そして、練習時間が長くなるのは、指に覚え込ませるために、その分、
たくさん弾く(練習する)必要があるからです。

でも、ハノンやブルグミュラーなんかは、暗譜させられることはありません。
(いや、ブルグミュラーあたりから、たまに、暗譜あったかも)

とくに、ハノンは、練習前の指ならしみたいな感じなので、
まず、ハノン弾いて、チェルニー弾いて、それから、モーツアルトとか、ベートーベンの曲を練習します。
なので、暗譜は、モーツアルトとか、ベートーベンの練習曲ですね。
(そーいえば、モーツアルトの練習曲も、えんえん終わらなかった気が・・・)

その意味では、ハノンに恨みは感じませんが、
でも、ハノンって、もう、名前聞くだけで、
「ええ、また、アレやるの・・・」と、気分ダダ下がり。

いや、もう、とにかく、おもろない。退屈。
(指の練習ですから、そりゃそーなんですけど)

で、
8月9日に購入した、英語の『ハノン(初級編)』ですが、
案の定、Unit 0 から脱出できていません。
(ちなみに、Unit 0 は レッスンにはいる前の、前フリの章です)
もう3週間くらい、(思い出したように)練習しておりますが、
まったく、終わる気配がありません。

いや、こーゆーとこ、ピアノと一緒だ、なんて。
(ピアノはとにかく練習サボってたのが原因ですけども)
(バレるんですよねーーーー、なぜか、練習サボると)

でも、ハノンがどれだけ大事だったかって、今ならわかります。
今はもう、ピアノを習っていた期間よりも、やめてからのほうが長くて、
楽譜も読めなくなっているし、何年か前にピアノの鍵盤を触ってみたら、
ものすごく重くて、びっくりしました。
鍵盤が重いなんて・・・思ったことなかった(さすがに)。

それにしても、なんで、ハノンなんでしょうね?
バイエルじゃなくて?
そこまで、初級じゃないってこと?
たしか、ハノンにいくまでに、バイエルとか(赤と黄色だったかな?)
なんかブルーのヤツもあった気がします・・・(それはブルグミュラー)
つまり、4冊くらい終わらせてから、ハノンだったような・・・
おそらく、ハノンはモーツアルトとかとセットだったような・・・
(なんか、あいまいすぎて、すみません^^;;)

とにかく、ピアノのレッスンでは
「げーーーっ」とか「うげーーーーっ」とか「うげげげーーーっ」と
内心叫びまくっていた記憶しかないので、
そして、ピアノを弾くということが、ピアノの前に座って、楽譜を見れば、
ほぼ自動的に指が動いている状態だったことも覚えているので、
(一応、目は楽譜を見ていますが、感覚的に、脳を経由せず、直で、指にいっていた感じ)
(ちなみに、弾き間違うと先生から「ちゃんと譜面見て!」とか「譜面見なさい!」って叱られていたので、なんか「読む」って言われるとピンときません)
(なんで、こんなふうに叱られてたかというと、そこそこ長く習っていると、いちいち譜面見るのがめんど臭くなって、曲の途中とかで、自分で勝手に「作曲」しちゃうんですよ、多分、次はこんな音じゃない?って)
(これも、結構、ピアノ習ったことあるあるかも)
(ほんと、譜面もめんど臭いんで・・)

なんにせよ、やっぱり、楽譜には「読む」よりも、「見る」ですね。
そのほうが、より、直接、見たままを、指で弾くって感じがします。
やっぱり、脳は経由してない気がします。
ちょっと変な表現ですが(脳は経由してない)、もしかして、英語を話す(話せる)っていうのも、そういうことなのかもしれないですね。

ちなみに、ピアノのレッスン(あんなに嫌いだったのに)を続けたのは、
親がやめさせてくれなかったからで、
なぜ、やめさせてくれなかったかというと、「習いたい」と言い出したのが、どうやら、私のほうからだったらしく(そーいえば、”エリーゼのために”を弾きたいとか思ったような思わなかったような)
「一度、やり始めたことをやめるのは、教育上よろしくない」という判断だったから、と、聞かされたことがあります。
その時、私が思ったこと。
「3才児が言ったことをいちいち真にうけんなよーーー」でした。
そして、かなり早い段階で、”エリーゼのために”には、弾けるようになっていたので(記憶的には小学校2,3年くらい?)あとはもうほんと惰性・・・

それにしても、ハノン・・・
ハノンというからには、やっぱり、練習前の指ならしならぬ、口ならしとして、毎日やらなきゃかも。
ちなみに、練習をさぼりまくっていたというのは、一応、ピアノの前には座ってはいるんですけど、ちょちょっと弾いて・・・みたいな、身がはいらないっていう状態のことです。
簡単に言うと、「フリ」ですね。
練習している「フリ」。
音がでているからといって、鍵盤の上を指が動いているからといって、
それが、本当に練習しているかというと、そんなことは決して、ない。

これも、思い出しました(思い出してしまいました)。

まさに、自分への戒めですかね・・・ハノン。
まさか、そんな理由で、ハノンって名付けられたわけではないと思いますが・・・。

とにかく、毎日、できるようになるまで。

もうバツをつけてくれる先生はいませんが・・・
(発音チェックはgoogle先生がやってくれますが・・・)
今、ちょっと思ったのは、ピアノの先生が大好きだったってこと。
すごく厳しい先生で、間違うと容赦なくピシャッと手をたたかれていました
(今だと完全アウトかも)
でも、子供心ながらに、先生が自分と真剣に向き合ってくれてることが伝わってきて
(でないと、わざわざ、3歳児や4歳児の手をたたかないと思う)
すごくコワい先生だったけど、同時に大好きだった。
ピアノをやめる時も、実は、先生とお別れすることが、すごく悲しかった。
先生、お元気かなぁ。

ああ、せめて、英語のハノンは、がんばろう。
もう8月終わっちゃいますけどね・・・
まあ、私のピアノもそんなペースだったんで、そんなもんか、と。

それが、私が「ハノン」と聞いて思うことです。
(あれ?ちょっと違うか?)



追記:
とにかく今は口が回らないので、DL した音声をバラバラに録音して、それをまとめて、PC のメディアプレーヤーに保存しています。
(メディアプレーヤーだと倍速を落とせるので)。
御本家で推奨されているのは、ポーズのあいだに一文を言い切ることですが、今はまだそんなことは夢のまた夢。
とにかく、今は、舌がしっかりと定位置を覚えてくれるまで、倍速をあげることはできません。
舌の定位置とは、つまり、L は前歯の裏につけるとか、th はチョロっとだすとか、f は前歯に下唇をあてるとか、そういうことです。
あと、普段話している日本語よりも、かなりベッタリと舌を下口蓋(?)につけてスタンバイさせます。
とにかく、口の中で、舌をフラフラさせないことに、全集中。
(舌は下!舌は下!ですよ、いや、マジで)。
さらに、単語とか、文章の場合、コンビネーションでくるわけです。
単語だと、たとえば、father の場合、舌は下の前歯上あたりにスタンばって、 f で下唇をもちあげて、a を発音したあと、すばやく前にチョロっとだして、th というやいなや、後ろに思いっきり(日本人的には、思いっきりです)ひいて、eR・・・という動きをしなければなりません。
(いや、もう、father だけでも100回くらい言わないと、発音なんてできません)

さらに、ストレス・アクセント。
これがどうにも、上手くいきません。
お手本(0.5倍速の)と一緒のときはいいんですが、自分だけで読み上げるとき、なんか、音程がヨレヨレになります。
日本語は、ピッチアクセントといって、高低差をつけて発話する言語らしくて(しかも、私は生粋の関西人)、ややもすると、ストレス・アクセントとピッチ・アクセントが混ざって、なんかすごいことになってしまいます。
ぶっちゃけ、この先、どこで英語をしゃべるんだってこともあるんで、
もう適当でいいんじゃない?と思わなくもないけど、

her(映画です)の中で、スカジョが、わざと、ロボットっぽい話し方をふざけてするシーンがあって、その時の読み方が、まるで、今の私にそっくり
(だと思った。文章なんて、単語区切ってしか発音できません)。
そのときに背筋に走った寒気を思い出し、なんとか正気をたもっています・・・

しかも、相手はハノン。
ピアノの練習も、譜面と、指運びとのすり合わせでした。
さすがに、いちいち鍵盤は見なくてよかったけど(音を聞けば譜面と違うってわかるし、だいたいの場所くらいはわかっていたので)
最初はゆっくりゆっくり、何回も何回も練習して、やっと曲っぽくなってくる・・・。
とにかく、まずは、指運びです。
そこから、流れやら、強弱やらをつけて、だんだん曲に仕上げていく。
もちろん、初見でぱっと弾ける人もいます。
だから、ハノンも、ぱっといえる人もいるんだろうなぁ、とは思います。
うらやましい。でも、私はできません。

なので、例文に、発音記号をつけてプリントアウトしたものに、
ストレスをおく位置も書き込んでいます。

つまり、舌の位置とストレスをおく場所を確認しながら、0.5倍速のお手本と一緒に、例文を何回も読みあげる。
これが、今現在の私の「英語のハノン」です。

できなければ、できるようになるまで、練習する。

もしかして、親がピアノをやめさせてくれなかったのは、
そういう単純なことを、身体に覚えこませるためだったのかもしれません。練習をやめなければ、必ずできるようになるんです。
(時間かかるけど)
こんな難しい曲、無理って思っていても、最終的には 〇 がもらえて、
次にすすんでいました。
その繰り返しです。

今は、もう動かなくなった指に、ハノンの偉大さを、あらためて思います。
もう、指は動かないけど、舌は、なんとか動かせるようになりたいです。















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?