国宝犬山城 天守閣1

かわいらしい文字で、”国宝犬山城”と彫られた巨大な石碑がある。ここから緩やかな坂が奥へと続いている。城への入り口だろう。眼下に横たわる木曽川が空の色を写して湖面のようだ。カメラマン達が三脚を立て、何やら撮影準備をしている。木曽川が見下ろせるそのスペースは手すりに「犬山城港」とある。遊覧船のりばへの階段が続いているようだ。辺りをぐるり見渡せば定食屋さんの白い壁に赤の文字で「あゆ釜飯」と書かれている。幟には「鮎雑炊」「冷やしきしめん」「味噌かけ冷やし豆腐」と旅情を掻き立ててくれる。

盆休前の平日とあって、天守閣ふもとのキャッスルパーキングはガラガラだった。ニュースでは連日熱中症警戒をひっきりなしに流している。危険な暑さの中、この炎天下で観光する人が減っているのだろうか。早速天守閣を目指す。登る前から汗が噴き出す。三光稲荷神社、猿田彦神社に賽銭を入れ、天守閣を目指すと外国人観光客とすれ違った。やはり外国人にも人気があるのだろう。

ところで、国宝である。
文化庁ホームページを見ると岐阜県には国宝が7件ある。そのうちの一つがこの犬山城であろう。ちなみにトップは意外なことに東京で292件、次いで京都238件、奈良208件。0件の都道府県もある。京都、奈良はわかるが、ト、ト、ト、トーキョー!?令和6年10月1日現在の情報なので最新だろう。東京が多いのは絵画、工芸、書籍の部門だ。美術館や博物館、文人達が集った事を考えれば納得しないでもないが。それにしてもこういったところでも東京がトップである。大臣の職を投げ打ってでも東京都知事になりたい人の気持もわからなくもない。ヨーロッパの小国よりも予算規模、人口が多いのだ。そして今も人口が増えている。再開発も進んでいる。ここでもよく言われる一極集中を垣間見た。

東京への嫉妬を綴っている場合ではない。岐阜である。犬山城である。それくらいこの城には、いや、木曽川を背にした風光明媚な犬山城擁するこの町には、外国人をも魅了する木の文化、穏和でコンパクトで粋で健気で、細部まで趣向を凝らしたきめの細かいJAPANテイストが詰まっているのだ。

つづく

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