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父を看取れば

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2018年の夏に日本にいる父が脳梗塞で倒れました。そこから約半年の家族のドタバタを通して、日本の「看取りと介護」について考えてみました。
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2021年1月の記事一覧

2. その日は突然に(2) <父を看取れば>

父の病状の詳細を聞くために、私は姉宅(日本在住)にも電話を入れた。父と長年の確執を抱えている姉の反応は...微妙だった。「うーん、なんかフガフガ言ってたよ」。「言語障害が起きてるってことだよね。脳出血だったの?それとも梗塞?」「とにかくフガフガしてて、言ってることわかんなかった(フフ)。」姉の皮肉っぽい薄笑いを聞き、私は頭に血が上った(人が生死の境を彷徨っている時に、その話し方は何!?) 「お義兄さんに替わって!」私の声は怒気を帯びていたと思う(反省)。義兄は理系研究者で、

1. その日は突然に(1) <父を看取れば>

それは2018年8月2日(日本時間)のことだった。母からのメールで、父が緊急入院したことを知った。その日の東京は猛暑で、「足がなんだかフラつくんだけど...」と父は母に異常を訴えたという。「救急車なんて大げさだよ」と渋る父に構わず、母はすぐさま救急車を呼んだ。この判断が父の命を救った(母はこういう時に非常に勘がいい。) 県境の救急病院に搬送された父は、そこで緊急手術を受けた。執刀した脳外科医に「今夜が山」と言われ、母は”万が一”を覚悟したという。 私は海外で暮らしているの